FT-401S なつかしいリグ

投稿日 2025年02月02日

八重洲無線 往年の名機 FT-401S

今回は八重洲無線のHF機FT-401Sです。VFO以外の主な回路は真空管で構成されているトランシーバーです。1971年販売ですから、すでに54年も経っています。その頃のトリオはTS-510の時代だったでしょうか。当局が開局した当時はまだFT-401シリーズも販売されていましたが、どちらかというとトリオのファンだったので出始めたTS-511を購入して開局しました。そのためFT-401の使用感などはわかりません。このFT-401Sは最近になってオークションで購入したものです。往年の名機を約50年も経って入手したわけで感慨無量です。このリグはきれいで広々としたシャックに、堂々たる風格で鎮座しているのが似合うリグで、ラック等に様々なリグがごちゃごちゃと積み重なって置かれているようなシャックには似合いません。hi

FT-401のモデルにはSとDがあり、FT-401Sは10W、FT-401Dは100W(ほかマーカー発振器付属)です。受信回路は標準的なダブルスーパーヘテロダインです。つまり中間周波数が二段になっており、第一中間周波数が6.020MHz、第二中間周波数が3.180MHzとなっています。FT-401Sには100W改造キットが用意されていますので、パワーアップは可能です。標準のSSB用フィルターは帯域幅3KHzですが、オプションで帯域幅500HzのCWフィルターが用意されています。

ブロックダイアグラムを以下に示します。

FT-401Sのブロックダイアグラム
取扱説明書より
FT-401Dは電力増幅(ファイナル)の6JS6が2個になり、マーカー発振器、JJYの水晶発振子が標準です

復調はSSB、CWのみでAM、FMの回路はありません。RF増幅は定番の6BZ6を使用しています。これはトリオのTS-510, 511も同じで、その受信性能はさすが6BZ6という感じです。

各回路要素と使用真空管、トランジスタは次のようになっています。

受信部
 RF増幅 6BZ6
 局部発振 6BA6 (送信部と共有)
 第一ミキサー 6CB6
 VFO 3SK22, 2SK19, 2SC372 (送信部と共有)
 バッファアンプ 6BA6 (送信部と共有)
 第二ミキサー 6BE6
 IF増幅 2SC711
 IF増幅 6BZ6 (送信部と共有)
 IF増幅 6BA6
 キャリア発振 12AU7 (送信部と共有)
 検波 12AU7
 トーン発振、増幅 6U8
 AF増幅 6BM8 1/2
 AF電力増幅 6BM8 2/2

送信部
 マイク増幅 12AX7 1/2
 マイク増幅 12AX7 2/2
 VOX増幅 12AT7 (1/2)
 リレー制御 12AT7 (2/2)
 キャリア発振 12AU7 (受信部と共有)
 平衡変調 7360
 IF増幅 6BZ6 (受信部と共有)
 VFO 3SK22, 2SK19, 2SC372 (受信部と共有)
 バッファアンプ 6BA6 (受信部と共有)
 第一ミキサー 6CB6
 局部発振 6BA6 (受信部と共有)
 第二ミキサー 6AH6
 励振 12BY7A
 電力増幅 6JS6

FT-401Sの内部
基板の上に真空管が所狭しと
真空管のシールドケースは外してある

各バンドと局部発振周波数の関係は以下のようになっています。局部発振は6BA6を使用したクリスタル発振器です。受信信号と第一ミキサでミックスされ第一中間周波数 6.020MHzが作られます。例 7MHzバンドの場合13.020MHz - 7.000MHz = 6.020MHz

3.5MHz 9.520MHz
7MHz 13.020MHz
14MHz 20.020MHz
21MHz 27.020MHz
28MHz(A) 34.020MHz
28MHz(B) 34.520MHz
28MHz(C) 35.020MHz (オプション)
28MHz(D) 35.520MHz (オプション)
JJY(10MHz) 16.020MHz (FT-401Sはオプション)

第一中間周波数に変換されるとすぐにBPFを通過します。このBPFは5.520から6.020MHzの帯域幅500kHzのBPFです。BPFを通過すると、第二ミキサーでVFO出力とミックスされます。VFOはデュアルゲートFET3SK22、2SK19、2SC372の構成で、9.200MHzから8.700MHzの500KHz幅を発振します。第一中間周波数とVFOsy津力が第二ミキサーでミックスされた結果、第二中間周波数 3.180MHzが作られます。したがってSSB用のクリスタル・フィルター(XF31A)の周波数は3.180MHzから3KHzの帯域幅のものが使用されています。オプションのCW用クリスタル・フィルター(XF31C)の帯域幅は500Hzです)

オプションやアクセサリーには、FTt-401Sを100Wにする改造キット、FT-401S用マーカー発振器(FT-401Dは標準装備)、28MHzCバンド(29.000から29.500MHz)、Dバンド(29.500から30.000MHz)用局部発振用水晶発振子、FT-401S用JJY受信用水晶発振子、クーリングファン、外部スピーカー(FT-401はスピーカーを内蔵していない)、スタンドマイク、外部VFO、50MHzトランスバーター、リニアアンプなどが用意されています。

FT-DX401の回路図(FT-401とほぼ同等) 1/2

FT-DX401の回路図(FT-401とほぼ同等) 2/2

こういう回路図を見るとわくわくします。子供の頃家にあった白黒テレビの回路図を見てわくわくしていた自分を思い出します。テレビほどのごちゃごちゃ感はありませんが、真空管がずらっと並ぶ回路はいいですねぇ。FT-401はほとんど真空管で構成されていますが、ちらほらとトランジスタがちりばめられています。中でもVFOはトランジスタで構成されています。(回路図 2/2の中央左寄り) このトランシーバーで興味深い回路は何といっても7360による平衡変調でしょうか。別の機会に勉強してみたいと思います。

(JF1VRR)

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