TinySAでSSGの信号を観測
投稿日 2021年01月24日
SSGの10MHz 0dBmの信号をTinySAで観測中
0.1 - 50MHZ、10dB/DIV、REF LEVEL 20dBm、外部ATT 20dB、内蔵ATT 30dB、RBW AUTO(362kHz)
NanoVNAに引き続き登場したTinySA(タイニー・スペクトラム・アナライザー)。ひとつ持っていても損はないかなと思い購入してみました。AMZで約8000円でした。CN出荷なので届くまで2Wくらいかかりました。早速分解してシールドされているか確認したところ、幸いにもきっちりシールドされていました。一安心です。
さて、このTinySAのスペックですが、https://tinysa.org/wiki/pmwiki.php?n=Main.Specification に詳細が書かれています。細かいことはさておき、2.8"のフルカラータッチモニター、LOW/HIGH二つの入力があり、LOW入力は、大まかには周波数レンジ100KHzから350MHz、内部アッテネーター 0dBから31dBを1dBステップで設定可、最大入力は+10dB(10mW)まで(内部アッテネーターが0dBの場合)、RBWは3, 10, 30, 100, 300, 600kHzから選択可。といったところです。ZERO SPANも備えています。HIGH入力は240MHzから960MHzが扱えます。
TinySAは何と言っても小型軽量。バッテリ内蔵ですから携帯性も優れています。Windows用のソフトも用意されているので大画面で見たり、画面のスナップショットを撮ったりすることもできます。中古でも数十万するスペクトラム・アナライザーは高嶺の花でしたが、TinySAはアマチュアの周波数遊びをある程度満足させてくれそうです。
今回はHPの古いSSGの出力信号を計測してみました。長く校正していないSSGですが、その点はご容赦を!
まずSSGの周波数を設定します。今回は10MHzとしました。出力レベルは0dBm(1mW)としました。変調は加えません。次にTinySAの設定を行います。
MODE: LOW INPUT
CAL OUTPUT: OFF
START FREQ: 0.1MHz
STOP FREQ: 50MHz
REF LEVEL: 20dB
SCALE/DIV: 10dB
UNIT: dBm
ATTENATOR: 30dB
RBW: AUTO(362KHz)
SSGの出力は最大でも10dBm(10mW)ですので、TinySAの最大入力(10mW)を超えることはありませんが、念のため外部アッテネーターをつないで計測します。また内部スプリアスの発生を抑えるためあまり強い信号を入力することは良くないので、今回は減衰量20dBに設定しています。もちろんSSG側で出力を下げてもよいのですが。
計測信号は十分強力な単一信号なのでノイズフロアに埋もれることはありませんので、RBWを狭くする必要はありません。AUTOにすると362KHzとなりました。REF LEVELは画面が見やすいように上端が20dBmになるようにしました。AUTOでもよいかと思います。
SSGの出力をLOW入力に接続します。なおSSGの出力は直流分を含まないことが保証されているので、直流カットは行いませんでした。
Windows用のTinySA-Appで信号を観測
Marker 1: -19.16dB、10.100MHz
スプリアスは無いようです
今回はSSGの出力をBm(1mW)とし、外部アッテネーターで20dB減衰させていますが表示は-19.16dBです。当局は精度の高い高周波電力計を保有していませんのでこの結果を信じるしかありません。スプリアスは幸い認められません。ボロいSSGですが、なんとか使えそうです。
8000円ほどのスペクトラム・アナライザーですが、アマチュア的好奇心を満足させるには十分なようです。有料の計測センターでもない限り、アマチュア的には計測値の絶対値を正確に得るのは至難の業であり、追及すれば指数関数的にお金がかかります(笑)。もともとスペクトラム・アナライザーは電力の絶対値を正確に得るためのものではなく、周波数ドメインにおける高調波等との相対値を見ることに主眼があると思います。何百万もするスペクトラム・アナライザーとTinySAの限界値はおのずと違いますが、このコストパフォーマンスは革命的といえます。これで壊れなければ、便利な測定器として道具箱の一員となりそうです。
(JF1VRR)