WD-2201 ミリワット・メーター
投稿日 2022年12月23日
クラニシの終端型ミリワット・メーター WD-2201
1.8 ~ 500MHz レンジ20mW/200mW/2W インピーダンス 50Ω
-23dBのモニター用出力付き
WD-2201は株クラニシ(KURANISHI)の終端型ミリワット・メーターです。もう30年も前(H3/12 秋葉原の富士〇〇電機さん)に購入したものです。
当局はどちらかというとQRP派。あまり大電力の送信は好みません。無線機器を自作するとしても500Wや1KWのリニアなんてものは眼中にありません。(汗) むずかしいしね。作るとしたら10W止まり。いやいや数Wならデバイスも入手しやすいし作りやすい。そんな訳で若い頃ミリワット・メーターがほしくなり購入しました。
WD-2201の仕様(取扱説明書より)
周波数範囲 1.8 ~ 500MHz
測定電力 20mW/200mW/2W切替
インピーダンス 50Ω
残留定在波比 1.15以下
指示誤差 FS±10%以内
接栓方式 N型 モニター出力(-23dB) BNC
寸法 140 x 150 x 85
重量 950g
周波数範囲はHFからVUHFあたりを運用するアマチュアにとっては十分です。測定電力はMAX 2Wですが、これはもう少しほしいところですがミリワット・メーターですからね。入力がN型コネクターですが、最近はいろいろ変換(M -> N ,BNC -> N, SMA -> N)アダプターが出回っているので困りません。モニター出力として-23dB(1/200に)の信号がBNCで出ています。スペアナ等をつなぐのに便利です。測定電力の切り替えはプッシュ・スイッチ式です。
このような終端型電力計は、自作しようと思えばできないわけではありません。高周波用のダイオードで検波した出力でメーターを振らせればよいわけです。実際、高周波回路の自作では、そのようなもので十分間に合います。WD-2201の回路も同じです。ただし絶対値を正確に測ろうとすると至難の業ですので、アマチュアとしては機器の調整などの際に、このような電力計の針を見ながら最大点に合わせるなどの軽い用途向けです。つまり端から正確な値には期待しない範囲で使う訳です。
WD-2201の内部
検出部はアルミケースでシールドされている
あまり使われることのない当局のWD-2201ですが、使ってやらないとメーターなどがさび付きます(笑)。そこでまず、SSGから所定の信号を入力してメーターの指示を校正してみることにしました。SSGが出力をdBmで設定できるものであればよいのですが、電圧でしか設定できない場合は、以下のようになります。各レンジの目盛に対応する入力電圧値です。メーター指示は内部の半固定抵抗で調整できます。
信号の波高値、実効値と電力の関係(インピーダンス 50Ω 正弦波)
20mWレンジ
1mW 0.316Vpp 0.224Vrms
3mW 0.548Vpp 0.387Vrms
5mW 0.707Vpp 0.500Vrms
10mW 1.000Vpp 0.707Vrms
15mW 1.225Vpp 0.866Vrms
20mW 1.414VPP 1.000Vrms
200mWレンジ
20mW 1.414VPP 1.000Vrms
50mW 2.236Vpp 1.581Vrms
100mW 3.162Vpp 2.236Vrms
150mW 3.873Vpp 2.739Vrms
200mW 4.472Vpp 3.162Vrms
2Wレンジ
0.2W 4.472Vpp 3.162Vrms
0.5W 7.071Vpp 5.000Vrms
1.0W 10.000Vpp 7.071Vrms
1.5W 12.247Vpp 8.66Vrms
2.0W 14.142Vpp 10.000Vrms
ただし、校正を試みましたが、各レンジ、各W数での指示に差が大きく、あまり校正になりません。
つぎに、ミズホ通信の7MHz 1W送信機 QP-7をWD-2201で調整してみました。
QP-7はオーソドックスなトランジスタ式送信機で、水晶発振 + バッファ・アンプ + ファイナル + フィルター(50Ω)の構成です。水晶発振子(XTAL)は7.025MHzを使用しました。(外部VFOでも使えます) 電源電圧は12Vです。出力にWD-2201をつなぎ、各段の同調コイルを出力電力が最大になるように調整を行いました。調整の結果、ファイナル出力が1.5Wほど得られています。(QP-7の仕様では1W)
1W 7MHz送信機 ミズホ通信のQP-7
各段の同調コイルを調整
最終的に1.5Wの出力が得られた
この手のアマチュア用の機器では絶対値の精度は望むべくもありませんが、高周波電力計は高周波の電子工作では必須のアイテムです。発振回路や送信機の調整に重宝します。一方、自作で十分とも言えます。高周波関連の書籍のあちこちで作例を見ます。
(JF1VRR)