12BH7Aの三定数(rp,gm,μ)
投稿日 2010/09/22
12BH7Aの三定数を計測してみました。
真空管の三定数(rp:内部抵抗、gm:相互コンダクタンス、μ: 増幅率)は、真空管のハンドブックなどに参考値が記載されています。
今回参考にしたのは、「ナショナル真空管ハンドブック」(誠文堂新光社)です。
これによると12BH7Aの三定数の参考値は以下のようになっています。
ナショナル真空管ハンドブック(誠文堂新光社)より
Ep 250V Eg -10.5V Ip 11.5mAにおいて
rp 内部抵抗: 5300Ω
gm 相互コンダクタンス: 3100μモー
μ 増幅率: 16.5
これらを実測してみようという試みです。(中古の12BH7Aです)
まず各定数の算出方法ですが、
rp = ⊿Ep/⊿Ip 二つのEp間のIpの変化
gm = ⊿Ip/⊿Eg 二つのEg間のIpの変化
μ = ⊿Ep/⊿Eg Egを変化させたときに、Ipが変わらないためのEpの差
ですので、Ep-Ip特性から算出可能です。
ただし⊿をなるべく小さくしなければなりませんが、電源の精度に限度があるので、今回は、
Ep プレート電圧を2Vステップ
Eg コントロールグリッド電圧を1Vステップとしています。
また、Ep, Egは参考値の測定条件の周囲のみ。今回はEpが200Vから300V、Egが-9V から-11Vの範囲に限定して計測しています。
なお、12BH7AはTriode(三極)が2ユニット組み込まれてますので、各ユニットについて計測しました。
12BH7A UNIT1
ユニット1の三定数
rp: 6494Ω
gm: 2410μモー
μ: 15
上記のrp, gmは、Ep-IP特性データを計測し、その結果からエクセルで自動計算しています。
ただし、μについてはEp 250V Eg -10VのときのIpに近いEg -9VのEpとの差から計算しています。
Egの差が1Vなので、Epの差がそのままμとなります。
各EpのIpは、Pp プレート損失近辺までとしています。
⊿が大きいので精度はそれほど見込めません。
12BH7A UNIT2
ユニット2の三定数
rp: 11111Ω
gm: 1230μモー
μ: 15
ユニット2のEp-IP特性グラフは、明らかに寝ています。これはrp 内部抵抗が高い(参考値のほぼ倍の11111Ω)ことを示します。
ユニット1はEp 250V Eg -10Vのとき、Ipが10.77mAですので、参考値の11.5mAに近い値になっていますが、ユニット2は6.7mAしか流れていません。
よって、この12BH7Aのユニット2は不良ということになります。
12BH7A関連の参考記事:
12BH7A A 56
Ep-Ip
(JF1VRR)