10DE7 出力波形のシミュレーション
投稿日 2010/11/09
Eg-Ep特性曲線のデータを用いて、エクセルで出力波形をシミュレーションしてみました。
MS-Excel を用いて真空管のEp-Ip特性グラフから出力波形と歪率を算出する方法を参考にさせていただきました。
シミュレーションを行う手順は、以下のようになります。
①Ep-Ip特性曲線上に負荷線を引く
②負荷線上のEgとEpの変化を数値に変換する。(負荷線上のデータを取り出す)
③バイアス電圧を基点にした負荷線に変換する。
④③の負荷線の近似曲線とその多項式を得る。
⑤波形一周期分(0-360度)分のサイン値に入力電圧のピーク値を乗重した値を計算する
⑥多項式に⑤の値を入れて出力波形を計算する。
⑦⑥のピーク値(90度)でサイン波を計算する。(比較用)
以上の手順のうち、①と②は多少面倒なので、Eg-Ep特性(動伝達特性)曲線を利用します。
今回は、PL(プレート負荷)50KΩ、Eb(プレートB電源)250Vの曲線を使います。
PL 50KΩは手持ち抵抗の関係で決めました。(最適負荷かどうかは別問題)
Eg-Ep特性は、異特性複合三極管 10DE7(6DE7)の特性を計測するで計測して得たものです。10DE7 複三極管のユニット1のデータです。これは増幅率16倍程度の電圧増幅三極ユニットです。
10DE7 ユニット1のEg-Ep特性データ
赤枠の部分のみ取り出します。
今回は、バイアスを-6Vとしたので、-6Vを中心に数V分取り出しました。
灰色で消した部分は250Vです。(Ipが流れていない部分)
10DE7 ユニット1のEg-Ep特性グラフ
グラフでいうと、Ep 250Vの青い曲線を取り出すことになります。
元データとバイアス-6Vを中心に変換したデータ
基準点を-6Vとするため、-6Vを0として±の変化量に変換します。
下のグラフで表示させた多項式の各次数の係数を取り出しておく。
上のデータをグラフ化したもの
近似曲線を重ね合わせる。今回は6次関数で近似しました。
近似曲線はグラフの曲線を右クリックし、近似曲線の追加を選び、さらに近似方法を選ぶことで得られます。このとき、その近似曲線の多項式を表示させておきます。
入力電圧波形と出力電圧波形を計算する
波形一周期分のサイン値に入力電圧を乗重して入力電圧波形を作ります。
今回の入力電圧は±2V(4Vpp)としました。
多項式に入力電圧値を代入して出力電圧波形を計算します。
比較のため、90度の値をピーク値としてサイン波を計算しておきます。
最終的に得られた波形グラフ
入力2Vに対して最大約31V。よって増幅率は約15倍です。
今回はほぼ直線の部分のみで計算しましたが、曲線部分も含めて、過大入力のときにどのように歪むかなどを見てみたいと思います。
実際の波形を観測して比較したいと思います。
歪率についても計算してみます。
(JF1VRR)