6AQ7GT 共通カソード双二極・三極複合管
投稿日 2016/10/29
SYLVANIA 6AQ7GT 共通カソード双二極・三極複合管
共通カソードのダイオード2つと高μのトライオードをもつ
6AQ7GTは双二極部と三極部の複合管です。2つの二極部のカソードは共通ですが、三極部とは独立しています。三極部は高μの電圧増幅用です。双二極部と三極部の複合管としては6SQ7という球もあります。6SQ7は二極部と三極部のカソードが共通ですので、MT管の6AV6に近いと言えます。
6AQ7GTの二極部はちょっと変わっています。プレートが棒状です。一般的な二極管はヒーター&カソードの周りをプレートが筒状に囲んでいる構造ですが、6AQ7GTでは、プレートが単なる棒で、ヒータ&カソードの両端に立っているだけです。一見プレートのように見える外側の筒は、カソードにつながっています。
よく観察すると、その構造は三極部のグリッド巻き線を取り除いた構造と同じです。このため6AQ7GTは一見すると双三極管のように見えますが、実は一方のユニットは、グリッドを巻かない三極管構造の、グリッド用の支柱をプレートにしたものと言えます。(下図参照) さらによく観察すると三極部のグリッド支柱のカソードからの距離と、二極部のプレート棒のカソードからの距離が違います。(二極部の方が近い)
6AQ7GTは一見双三極管に見えるが、一方は双二極部になっている
二極部のップレートは棒状で、三極部にグリッド線を巻かない構造と同じ
製造コストを下げる目的があったのではと思われる
真空管は精密な加工が必要であったりや部品数が多いと製造コストがかかり高価になります。その点同じ部品が二極部と三極部で共通に使えるメリットは大きいかと思います。
この球は、双二極部をFMの検波、三極部を電圧増幅や低周波の発振等に用いられたようです。オーディオでの利用はないようです。
形状はオクタルベースの一般的な小型GT管です。ベースピン配置は8CKです。8CKの球は6AQ7GTのみです。6AQ7GTにヒータバリエーションはありません。
Pin1: Diode 2 Plate
Pin2: Diode Cathode
Pin3: Diode 1 Plate
Pin4: Triode Grid
Pin5: Triode Plate
Pin6: Triode Cathode
Pin7: Heater
Pin8: Heater
この球はオクタルベースですが、ヒーターがPin 7, 8になっています。
ヒータは6.3V 0.3Aです。三極部のμは70です。
今回はSYLVANIA製の6AQ7GTで三極部のEp-Ip、Eg - Ip特性を計測してみました。
SYLVANIA 6AQ7GT Ep -Ip特性(実測)
SYLVANIA 6AQ7GT Eg -Ip特性(実測)
6AQ7GT SYLVANIA製
Class./Const. Duplex-Diode High-mu Triode
Outline T-9
Base 8CK
H.V なし
Hv 6.3V Ha 0.3A MaxPw 1.0W MaxPv 250V
実測:
Hv/Ha 6.3V / 294mA
Ecg -0.5V Ep 100V
Ip 1.24mA
rp 62500Ω
gm 1220us
μ 61.2
Ecg -1.5V Ep 160V
Ip 0.98mA
rp 62500Ω
gm 1300us
μ 72.0
Ecg -3.0V Ep 250V
Ip 0.64mA
rp 83000Ω
gm 1140us
μ 71.6
ご注意
この計測はどのくらい使用されたかわからない中古の球で行われています。
6AQ7GT SYLVANIA No.403
(JF1VRR)