シールバッテリ 1A定電流充電
投稿日 2011/05/31
HP6632B 0-20V 5A プログラマブル電源
シールバッテリ WP8-12 (LONG) 8Ah 12Vを、HP(Agilent)のプログラマブル電源6632Bで充電してみました。
1Aの定電流充電とします。
接続については、電源の保護のため逆流防止用のダイオードを入れるだけです。
ダイオードは手持ちのPS2010R 1000V 2Aを使用しました。(2Aだと充電電流が1A流れている間は、少し熱くなります。) アノード側をHP6632Bにつなぎ、カソード側をバッテリにつなぎます。
HP6632Bの設定は、操作パネルだけでもできますが、充電中のデータを記録するためエクセルVBA + easyGPIBでプログラミングします。(プログラムソースは最後にあります。) SCPIコマンドは使わずHP6633Aとコンパチモードで動かします。設定手順の()内がコマンドです。
定電流モード(CC)で充電中
以下が設定手順です。
○HP6632Bの出力電流(ISET)を1Aにセットします。
○出力電圧(VSET)は14.48V(12 x 1.14 + 0.8)に設定します。0.8はダイオードの電圧降下分です。
○過電圧保護(OVSET)に15.0Vを設定します。
○バッテリを接続し、出力をイネーブル(OUT 1)にします。
以上の設定で充電が開始されます。
充電電流が1Aを超える間は、自動的に定電流(CC)モードになり、充電電流が1Aを保つよう、出力電圧が自動的に低く調整されます。
充電電流が低下し始め1Aを下回ると、出力電圧は徐々に高く調整され1Aを保ちます。出力電圧(VSET)の14.48Vに達すると定電圧(CV)モードとなり、出力電圧がVSETの14.48V一定に保たれます。このため充電電流は徐々に減少していきます。
充電電流が徐々に減少し、充電完了に近づくと数10mAとなるはずです。
充電中の出力電圧(VOUT?)と、充電電流(IOUT?)の変化はGPIB経由でパソコンのエクセルに直接記録し、グラフ化します。
以下が実際の計測データのグラフです。
今回は10時間(36000sec)で強制終了するようにプログラミングしました。
グラフのように充電電流はきれいなカーブを描きました。
充電電流が1Aを下回る(下降点)のは充電開始から2.5時間後
最終充電電流は96mA(まだ減少する傾向があります)
充電直後の無負荷開放での端子電圧は13.63V これは数時間放置すれば13.06Vくらいに落ち着くものと思われます。
室温は23度くらいでしたが、バッテリ本体は充電電流が1A流れていても温度上昇は感じられませんでした。(冷たいままです)
エクセルVBAのプログラムは以下の通りです。easyGPIBを使用しています。
Sub BATT_SpeedCharge()
HP6632B_ADR = 7 'GPIB Address
eg.CardOpen
eg.Delimiter = eg.DELIMs.CrLf
eg.ActiveAddress = HP6632B_ADR
eg.AsciiLine = "CLR"
eg.AsciiLine = "ISET 1" '電流制限 1A
eg.AsciiLine = "VSET 14.48" '印加電圧 14.48V
eg.AsciiLine = "OVSET 15.0" '過電圧保護 15.0V
eg.AsciiLine = "OUT 1" '電圧印加スタート
'アクティブシートにヘッダを書き込む
Cells(1, 1).Value = "経過時間(s)"
Cells(1, 2).Value = "充電電圧"
Cells(1, 3).Value = "充電電流"
Interval = 10 '計測間隔 10s
i = 1
low_count = 0
period = 0
eg.WAITmS = Interval * 1000
Do While period < 36000 '10時間で停止
i = i + 1
eg.AsciiLine = "VOUT?" '現在の印加電圧を得る
v_value = eg.AsciiLine
eg.AsciiLine = "IOUT?" '現在の充電電流を得る
i_value = eg.AsciiLine
Cells(i, 1).Value = (i - 1) * Interval 'アクティブシートに記録
Cells(i, 2).Value = v_value
Cells(i, 3).Value = i_value
If i_value < 0.05 Then
low_count = low_count + 1
Else
low_count = low_count - 1
End If
If low_count < 0 Then low_count = 0
If low_count > 30 Then Exit Do '充電電流が連続30回 50mA以下を検出したら停止
period = priod + Interval
eg.WAITmS = Interval * 1000 '計測間隔
Loop
eg.AsciiLine = "OUT 0" '電圧印加を停止
End Sub
(JF1VRR)
- 初めまして、HP6632Bに関する記事を拝見させて頂いている一人です。最近HP6632Bをネットで手にしたのですが操作・設定が理解出来ませんでしたが幸い日本語マニュアルが入手でき大まかな機能は理解できました。中古品入手のせいでしょうか設定とメータ表示に誤差が伴います、20V設定で表示が19.985Vなります低電圧設定でもほぼ同程度の差が発生します。マニュアル記載の校正操作で多少の補正が可能の様ですが具体的な設定・操作が良く理解出来ません、もし情報をお持ちならご教授頂きたく一方した次第です。ハード的調整も有るのでしょうか!全く判りません。バッテリ充電や定電流負荷としても使用したいと考えています。多忙でしょうが、宜しくお願い致します。 [ hisa ] 2014/7/30(水) 午後 4:57
- hisaさん、しばらくお待ちください。2014/7/31(木) 午前 4:21
- hisaさん HP6632Bのスペックによると最大出力電圧(20V)時、出力電圧の仕様は、出力電圧の±0.05% + 10mVとなっていますので、19.980Vから20.020Vの範囲です。 フロントパネル・ディスプレイの表示は、出力電圧を計測して表示していますが、表示にも誤差があり、±9mVとなっていますので、19.971Vから20.029Vの範囲の表示は仕様ということになりす。お持ちのHP6632Bは優秀ではないでしょうか。わたしので見てみます。(JF1VRR) 2014/7/31(木) 午前 5:50
- hisaさん 私のHP6632Bで見てみました。20.000Vをエンターすると、表示は20.017Vです。0.000Vをエンターすると、0.002Vです。
(電源オン後10分程度 室温28度) こんなもんです。キャリブレーションについては勉強しておきます。(JF1VRR) 2014/7/31(木) 午前 6:24 - JF1VRR局 OM 早速のHP6632Bに関するアンサーを頂き有難うございます、返信時間がAM4~6時と拝見し恐縮しております、私も仕様書を見ていましたので電圧設定確度(0.05%±10mV)・測定確度(0.03%±3mV)ですからJF1VRR局ご指摘の電圧範囲であれば仕様内と云えますので私も理解しているところです。マニュアルにはセンシング端子使用と書かれておりました。出力端子電圧を6桁1/2DMMで測定したのですがほぼ同様の結果でした。キャリブレーションの件ですが仕様ではHP3458A(校正済)が良いようですが私には現状無理です。校正による補正が可能であればより各種試験で有効利用が出来ると素朴に考えるところです。今後とも何かとお世話になります有難う御座いました。 [ hisa ] 2014/8/1(金) 午前 11:06
- この手の電源ではあまり精度は望めないかと思います。最初に書かれていたように充電や、簡単な定電流電源としては十分かと思いますが、あまり精度を要求する用途には向かないと思います。たとえ無負荷で厳密にキャリブレしても、負荷によっては数十mVくらいは簡単に変動します。一定の負荷の場合で、センシングを使って調整しておけば、その負荷においては前記の仕様の範囲内で少しはよくなるとは思いますが。
mVレベルの精度を電源に求められる場合は、精密電源の類を用意する必要がありますが、そのような電源の場合数A流せるとなると非常に高価と思います。精度のよい環境を整えるのは大変ですよね。ご活躍ください。(JF1VRR) 2014/8/1(金) 午後 0:26