電気二重層キャパシタの放電 3.0V 5F

投稿日 2017/01/20

​最近安価に出回るようになった電気二重層キャパシタの放電を計測してみました。

今回使用した電気二重層キャパシタは3.0V 5Fのものです。

電気二重層キャパシタ 3.0V 5F
秋月電子で270円

まず充電ですが、定電圧定電流(CVCC)電源を3.0V 1.0Aに設定して、直接キャパシタに接続して充電しました。

電気二重層キャパシタのフル充電状態にする方法はよくわかりませんので、とりあえず充電電流が1mAを下回った時点としました。緩和充電と言って、微小な充電電流になってもしばらく充電し続けるするような方法がとられるようですが、今回は緩和充電は行っていません。一応充電条件を揃えるために1mAを下回った時点としています。

以上のように充電したものを、今度は放電します。

放電は定電流放電としました。50mA, 5mA, 1mA, 500uA, 100uAの各放電電流での放電時間を計測しました。放電打ち切りは、キャパシタの端子電圧が3.0Vから1.8Vに降下した時点としました。

計測を何度も繰り返しているうちに、どうやら電子負荷の電流設定に誤差があるようで、おそらく0.8mAくらい多めに流れていることが判明しましたので、500uA, 100uAは計測できないことになりました。このため、50.8mA, 10.8mA, 5.8mA, 1.8mAで計測したことになります。

ところでキャパシタの放電時間は、定電流放電の場合、T = (C x (V1 - V2)) / Iで計算できます。たとえば5Fで放電電流50mA、3.0Vから1.8Vに降下するまでの時間は、T = (5 x (3.0 - 1.8)) / 0.05 = 120秒 と計算できます。では実際はどうでしょうか。

放電電流    1.8Vになるまでの時間(計算)  1.8Vになるまでの時間(計測)

50.8mA                     118秒                                  119秒 (2分)
10.8mA                     556秒                                  590秒 (9.3分)
5.8mA                     1034秒                                1133秒 (19分)
1.8mA                     3333秒                                3094秒 (51.5分)

電流が小さいほど計測誤差が目立ちますが、ほぼ計算通りと言えます。

電気二重層キャパシタ 3.0V 5Fの放電
放電電流の半端な値は電子負荷の誤差を考慮
ほぼ計算通りの放電時間となっている
環境温度は20℃

放電時は充電に使った電源を物理的に取外し、電子負荷以外に電流を取られないように注意します。さらに自然放電で電圧が低下しないうちに、すばやく放電の計測を開始しなければなりません。

何度か同じ放電電流で計測しても、ほぼ同じ軌跡を辿ります。

電池と異なりキャパシタは電荷の放出(放電)と同時に電圧が降下を始めます。放電電流が一定であれば、計算でほぼ正確に一定時間後の電圧が分かります。この点は扱いやすい電源といえそうです。

上のグラフで5.8mAを二回行っていますが、これは放電開始時の端子電圧が異なります。このグラフのように端子電圧が低ければそのまま放電時間の差となって現れます。

電子負荷では微小電流の定電流放電は難しい面がありますので、計測はあきらめることにしましたが、PICの超低消費電力モデルがどのくらい動き続けるかは、後日試してみたいと思っています。

電気二重層キャパシタは最近手ごろな価格となってきましたが、それでも数1000Fなどの超大容量のものは高価で手が出ません。電池のような充電制御のわずらわしさや、放電の気難しさが無い電源として手軽に活用していきたいものです。

(JF1VRR)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA