FET使用の再生ラジオ

投稿日 2019/08/16

​中学生のラジオ少年だった頃から何台かの再生ラジオを作りましたが、それらはすべて真空管式でした。

​蔵書を整理していると鈴木 憲次氏の「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」CQ出版 に、FET使用の再生ラジオの記事がありましたので、早速作ってみることにしました。

​感度や分離性能はスーパーには適わないかも知れませんが、よく調整された再生ラジオはクリアな音で鳴ってくれます。

鈴木 憲次氏の「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」CQ出版

「高周波回路の設計・製作」と共にアマチュアにとってはバイブル的存在

この本に載っている再生ラジオは高周波再生増幅回路に高周波FETの2SK192A-Yを、検波にゲルマニウム・ダイオードの1N60を使用しています。AF段は低周波電力増幅用ICのTA7368Pを使用しスピーカが鳴らせるようになっています。

電源は3Vですから単三電池などが二本あれば動作します。受信周波数は中波帯の545~1605KHzと短波帯の3.2~5.0MHzという仕様になっています。

コイルはAMラジオ用のSL-50GT(あさひ通信)を使用し、再生コイルを巻き足しています。短波も受信できるように中間タップを利用しています。

「ラジオ&ワイヤレス回路の設計・製作」CQ出版から

​回路図

今回はアクリルの透明ケースに組み込みました。蓋の側に空中配線しました。あまりよい作り方ではありません。高周波部分はグランドで囲った基板上に組んだほうが安定すると思います。

コイルSL-50GTの巻き線はすべて直列につなぎ最大インダクタンスにして使っています。回路の同調バリコンは140pF+60pFの200pFを使うようになっていますが、手持ちの関係で260pFの単連ポリバリを使いました。検波の1N60はゲルマニウム・ダイオードを使うのが本来ですが、今回は秋月電子で販売しているシリコン版1N60を使ってみました。問題なく使用できました。

​完成したFET使用再生ラジオ

TA7368Pは十分パワーがあり、スピーカーがうるさい位鳴ります。外付け部品の少ない便利なICですが、入手性がよくないかも知れません。しかし、この手のアンプの代替品は豊富です。

電池はニッケル水素のエネループ2本(2.4V)で十分鳴っています。

再生を効かせるかどうかを選べる回路になっています。再生を使わなければ単なる高周波増幅になりますが、再生を効かせれば再生付きの高周波増幅になります。信号が強ければ再生無しで十分聞こえますが、再生を入れると若干感度が上がるようです。

​受信周波数はMWが520KHzから1.8MHzくらい。SWが2.4MHzから4.8MHzくらいでした。

​今回作ってみて、NHK第一、第二は問題なく入感しますが、その他の放送局は弱く実用ではありませんでした。関東北部のこの辺りは民間放送電波が弱いので無理なのかも知れません。アンテナはFM用の室内T型アンテナをつないでいます。短波はまだ聴いていませんが、グリッド・ディップ・メーターで受信動作は確認しています。

FET使用の再生ラジオは簡単な回路ながらよく鳴ってくれます。枕元に置いて、ラジオ深夜便でも聴くのにちょうどよいかと思っています。

​(JF1VRR)

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