BGA2851 広帯域アンプの実測
BGA2851のデータシートより抜粋
現在秋月電子で取り扱いのある広帯域アンプBGA2851(I-15542)。魅力は何と言ってもその安さです。1個20円。何個か壊しても惜しくありません。周波数帯域はDCから2.2GHz。50Ωに整合されていて、外付け部品も少なく便利に使えそうです。ただしパッケージがSOT363という6Pの超小型パッケージですから、蚤くらいの大きさなので年寄りには扱いが大変です。変換基板を使わないとどうしようもないレベルです。hi
データシートによると、電源電圧は5Vで、消費電流は7mA程度。前回実測したSGA6386の大食らいに比べたらかわいいもんです。ゲインは
power gain(typ)
f = 250 MHz 23.2dB
f = 950 MHz 24.8dB
f = 2150 MHz 24.6dB
となっています。今回はあまり高い周波数で使う予定はないし、測定環境の問題もあるので、300MHzくらいまでを念頭に実装してみました。
BGA2851のアプリケーション情報
回路はシンプルです
Cdecに470pFくらいをつなぐこと
C1, C2は100MHz以上で使うなら100pF以下にすること
(データシートから抜粋)
まず上記の回路図で実装しました。ただし回路図どおりの部品の手持ちがありませんので、適当に変えました。電源は5Vを使用しました。
Supply Voltage Vs 5V
Cdec 推奨値 470pF -> 300pF
C1 推奨値 100pF未満 -> 100pF
C2 推奨値 100pF未満 -> 100pF
このほかにCdecと並列に1uFを接続。C1, C2は周波数帯域に影響しますが、あまり高い周波数で使う予定はないので100pFとしました。
実装したBGA2851使用の広帯域アンプ
上は使用した20dB ATT
まず消費電流を計測しました。電源電圧(Vs)は5Vとしました。
Vs 5V
Rf 300MHz -20dBm
Device Current 25.6mA
データシートでは7mAなのですが、かなり多く流れています。原因は不明です。
挿入した20dBのATTの特性をNanoVNAで実測
NanoVNAのRF出力が大きい(0dBm)ので20dBのATTを入力に挿入
スパン 0.05MHzから900MHz
Marker.1 (赤) 100MHz -19.93dB
Marker.1 (緑) 400MHz -20.38
Marker.1 (青) 800MHz -20.83
NanoVNAのRF出力は0dBmですので今回のような広帯域アンプの計測には強すぎます。このため減衰器ATT)を挿入します。今回は上記特性の20dB ATTを挿入しました。ATTは広域の減衰量が気になりますが、上記計測結果を見る限り900MHzまで、あまり問題ないようです。減衰量が20dBから大きく離れている場合は、計測するアンプのゲインを補正しなければなりませんが、今回は大したことがないので、補正はしませんでした。
BGA2851広帯域アンプの特性をNanoVNAで実測
NanoVNAの出力が大きいので20dBのATTを入力に挿入
スパン 0.05MHzから900MHz
Marker.1 (赤) 100MHz S21 +0.53dBm (ゲイン 20.53dB)
Marker.1 (緑) 400MHz S21 1.89dBm(ゲイン 21.89dB)
Marker.1 (青) 800MHz S21 3.14dBm(ゲイン 23.14dB)
BGA2851のゲインの実測結果は以上のようになりました。前述のデーターシートによる950MHzで24.8dBに対して、800MHz近辺で23dB以上あるので、こんなものでしょう。IPやNFについてはもっと勉強してからにしたいと思います。
(JF1VRR)