HHR-P104 ニッケル水素電池パックの充放電
投稿日 2014/08/29
秋月電子で購入したパナソニックのHHR-P104 ニッケル水素電池パックの放電と充電をしてみました。
3.6V 830mAh ニッケル水素電池パック HHR-P104と
専用の電池ケース
この電池パックはニッケル水素電池を3本直列にしてパックしたものです。中にポリスイッチ(復帰型のヒューズ)を内蔵しています。
3.6V 830mAhです。
電流容量はあまり大きくはありません。
形状から何かの内蔵電池でしょうか。
金属板の電極が出ており、リード等をはんだ付けしてもよいようです。
秋月電子では、この電池専用のリード付き電池ケースも扱っているので一緒に購入しました。
電子負荷を使用し500mAで放電自動計測中
まず放電してみます。
後述の方法でフルチェージしておいたものです。
ニッケル水素電池では1本あたり0.9V位が放電終了電圧とのことなので、
0.9 x 3 = 2.7V で停止するようにプログラムを設定しておき、100, 200, 300,500mAで放電してみました。
10秒間隔で出力電圧を計測し、グラフ化してみました。
100,200,300,500mAでの放電特性
2.7Vで終了としています
100mA放電
放電開始から3.6V以上を維持している時間 284分(4時間44分)
放電開始から3.3V以上を維持している時間 339分(5時間39分)
放電開始から2.7V以上を維持している時間 350分(5時間50分)
830mAh容量に対する割合 70%
200mA放電
放電開始から3.6V以上を維持している時間 143分(2時間23分)
放電開始から3.3V以上を維持している時間 180分(3時間0分)
放電開始から2.7V以上を維持している時間 188分(3時間8分)
830mAh容量に対する割合 75%
300mA放電
放電開始から3.6V以上を維持している時間 89分(1時間29分)
放電開始から3.3V以上を維持している時間 111分(1時間51分)
放電開始から2.7V以上を維持している時間 116分(1時間56分)
830mAh容量に対する割合 70%
500mA放電
放電開始から3.6V以上を維持している時間 33分
放電開始から3.3V以上を維持している時間 68分(1時間8分)
放電開始から2.7V以上を維持している時間 80分(1時間20分)
830mAh容量に対する割合 80%
830mAhの電池ですので、500mAで放電した場合、(830mA / 500mA ) * 60分 = 100分 と計算できますが、上記のように2.7V(完全放電)になるまでの時間は80分でした。(環境温度 約26℃) これは830mhAに対して80%です。
ちょっと早いような気がしますが、フルチャージできてなかった、完全放電の定義が異なるなどが考えられるため、まぁ、こんなもんでしょう。
以上の方法でほぼ完全放電状態(ここでは2.7Vになった場合を指す)にしたら、こんどは充電です。
ニッケル水素電池の一般的な充電は0.1Cで16時間。
電圧は1本当たり1.4Vくらいが目途との情報があるので、それに従って、
充電電流 830mAh x 0.1 = 83mA
電圧1.4 x 3 = 4.2V
で定電流充電してみました。
今回は16時間ではなく充電電流が50mAになった時点で充電終了としています。
これも10秒間隔で電圧と充電電流を計測しグラフ化してみました。
83mA 4.2vの定電流充電特性
充電電流下降点 充電開始から6時間33分
充電終了(50mAに設定) 充電開始から7時間35分
50mAになったら充電を終了するのはちょっと早いかも知れませんが、7時間35分かかっています。
機会があったら16時間、みっちり充電してみたいと思います。
放電に使用した電子負荷はKIKUSUI PLZ1004W
定電流充電に使用した電源は、HP6632Bです。
データはGPIBで自動採取したものです。
参考:
電子負荷PLZ1004Wによる放電計測プログラムは以下のようになっています。easyGPIBを使用し、エクセルのVBAでコントロールしています。
定電流(CC)モード
電流値 500mA
UVP 2.4V
定電流モードで500mA流しながら10秒間隔で電圧を計測しエクセルシートに記録しています。2.7V以下を連続30回検出したら放電終了としています。念のため電子負荷でUVP(低電圧保護)を2.5Vに設定しています。
放電用VBA(easyGPIB使用)
Sub HHR_P104_NHBATT_Discharge()
PLZ1004W_ADR = 16 'GPIB Address
eg.CardOpen
eg.Delimiter = eg.DELIMs.Lf
eg.ActiveAddress = PLZ1004W_ADR
eg.AsciiLine = "*CLS"
eg.AsciiLine = "FUNC:MODE CC" 'CC モード
eg.AsciiLine = "CURR:RANG LOW" 'RANG LOW
eg.AsciiLine = "CURR 0.5" '500mA
eg.AsciiLine = "VOLT:PROT:UND 2.5" 'UVP 2.5V
eg.AsciiLine = "INP ON"
Cells(1, 1).Value = "経過時間(s)"
Cells(1, 2).Value = "出力電圧(V)"
Interval = 10 '計測間隔 10s
i = 1
low_count = 0
Period = 0
eg.WAITmS = Interval * 1000
Do While Period < 57600 '16時間で停止
i = i + 1
eg.AsciiLine = "MEAS:VOLT?"
v_value = eg.AsciiLine
Cells(i, 1).Value = (i - 1) * Interval 'アクティブシートに記録
Cells(i, 2).Value = v_value
If v_value < 2.7 Then
low_count = low_count + 1
Else
low_count = low_count - 1
End If
If low_count < 0 Then low_count = 0
If low_count > 30 Then Exit Do '出力電圧が連続30回 2.7V以下を検出したら停止
Period = priod + Interval
eg.WAITmS = Interval * 1000 '計測間隔
Loop
eg.AsciiLine = "INP OFF"
eg.CardCLose
End Sub
プログラマブル電源HP6632Bによる充電計測プログラムは以下のようになっています。
充電用VBA(easyGPIB使用)
Sub HHR_P104_01C_Charge()
HP6632B_ADR = 7 'GPIB Address
eg.CardOpen
eg.Delimiter = eg.DELIMs.CrLf
eg.ActiveAddress = HP6632B_ADR
eg.AsciiLine = "CLR"
eg.AsciiLine = "ISET 0.083" '電流制限 36mA
eg.AsciiLine = "VSET 4.2" '印加電圧 4.2V
eg.AsciiLine = "OVSET 4.3" '過電圧保護 4.3V
eg.AsciiLine = "OUT 1" '電圧印加スタート
Cells(1, 1).Value = "経過時間(s)"
Cells(1, 2).Value = "充電電圧(V)"
Cells(1, 3).Value = "充電電流(A)"
Interval = 10 '計測時間 10s
i = 1
low_count = 0
Period = 0
eg.WAITmS = Interval * 1000
Do While Period < 57600 '16時間で停止
i = i + 1
eg.AsciiLine = "VOUT?" '現在の印加電圧を得る
v_value = eg.AsciiLine
eg.AsciiLine = "IOUT?" '現在の充電電流を得る
i_value = eg.AsciiLine
Cells(i, 1).Value = (i - 1) * Interval 'アクティブシートに記録
Cells(i, 2).Value = v_value
Cells(i, 3).Value = i_value
If i_value < 0.05 Then
low_count = low_count + 1
Else
low_count = low_count - 1
End If
If low_count < 0 Then low_count = 0
If low_count > 30 Then Exit Do '充電電流が連続30回 10mA以下を検出したら停止
Period = priod + Interval
eg.WAITmS = Interval * 1000 '計測間隔
Loop
eg.AsciiLine = "OUT 0" '電圧印加を停止
eg.CardCLose
End Sub
残念ながらeasyGPIBは提供とサポートが終了しているようです。関係者の方々のこれまでのご努力に感謝いたします。(VISA仕様のライブラリに移行しようかと思います。)
(JF1VRR)