ブラシ付きDCモーターを555で回してみる
登校日 2018/01/24
ブラシ付きDCモーターを簡単に回すには、タイマーIC 555を使用したPWMパルスで駆動するのが便利です。
秋月電子に教科書的な回路のDCモーター速度可変キットが販売されているので、購入すればてっとり早いのですが、LM555CNとパワーMOS FETの手持ちもあることだし、簡単な回路なので作ってみることにしました。回路の詳細は秋月電子のPWM(スイッチング方式) DCモーター速度可変キットを参照ください。
秋月電子PWM(スイッチング方式)DCモーター速度可変キットの回路
秋月電子の取り扱い説明書から転載
電源は12Vのシールバッテリを使用しました。555の電源電圧は16Vくらいまで使えますので、12Vのバッテリを電源とする場合、そのままつなげられるので回路が簡単になります。また、555はOUTPUT端子(Pin3)の電流ドライブ能力も大きいので、ある程度のパワーMOS FETなら直接ドライブできるのも便利な点です。
秋月電子の回路どおり、可変抵抗でモーターの回転速度を変える方法としました。この回路はダイオード2本によって波形のデューティー比が自由に変えられるよう考慮されています。
銅箔を貼って作ったフラット基板に上の回路を実装(空中配線)
回路の実装は手持ち部品で行ったので、回路は秋月電子と同じですが部品は一部違います。ブレッドボードで組んで、大まかに動作を確認した後、フラット基板の上に組みました。この回路は3A位までのモーターなら駆動できますので、結構大きいモーターを回せますが、今回は手持ちのモーターの中で大き目のものをふたつ選びました。一方(モーターA)はビデオか何かに組み込まれていたもので、もう一方は電動ドライバーのモーター(モーターB)です。
左(モーターA) RS-545PH
右(モーターB) RS-775VF
モーターAのRS-545PHはオペレーティング・レンジ12Vから24V、0.07A、 無負荷回転数 3400rpmのモーターです。補助ヨークが外れているようです。モーターBのRS-775VFは、電動ドライバーRYOBI BID-1210から外したものです。12V、0.7A、5000rpmのモーターのようです。詳しいことは分かりません。
手持ちの関係で555にはLM555CNを、パワーMOS FETにIRFI3205 Vdss 55V Id 64A Vdsth 2~4V Rds 0.008Ω、回生電流吸収用のダイオードにはファストリカバリー・ダイオードのER504 400V/5Aを使用しました。C1には0.001uFを使用したため、発振周波数が約2.3KHzとなっています。
電源は555の回路に12.0Vを。モーター用にシールバッテリをつなぎました。シールバッテリの電圧は約12.40Vです。電源に余裕があれば1つの電源から供給してもかまいません。
デューティーは可変抵抗を回すことにより2.8%から99%まで可変できています。やはり555は簡単で便利です。
モーターAの場合
下(Ch2)がFETのゲート、上(Ch1)がドレインの波形
PWMのデューティー約50%
モーターBの場合
下(Ch2)がFETのゲート、上(Ch1)がドレインの波形
PWMのデューティー約50%
ドレイン側の波形は回生電流の影響を受けている?
DCモーターは駆動されていない状態(PWMパルスがOFFの時間)で回転していると発電機となるので、発電電流が流れます。その回生電流は並列につないだダイオードに流しているわけですが、モーターBの場合それが逆起電力としてドレインの電圧、つまりモーターに印加している電圧を降下させているのではないかと思います。この回生電流は、モーターにトルク的な負荷(回転軸の回転を指で妨げる)をかけると減るか、まったく消滅します。
DCモーターの制御は奥深いところがあるので、今後もいろいろ試してみたいと思いますが、とりあえず555で生成したPWMパルスにより、簡単に回転速度が変えられることが確認できました。
(JF1VRR)