LTC1799で作る信号発生器
投稿日 2012/03/20
1MHz ±10Vの信号が必要になったので、リニアテクノロジーのLTC1799 抵抗可変のオシレータを使用して、信号発生器を作ってみました。
LTC1799は5ピンの小さなチップですが、DIP変換基板に付属回路とともにモジュール化したものが秋月電子から購入できます。
写真1 ブレッドボードに組んでみた 右からLTC1799, TC4011 CMOS NAND, LTC1144CN8
LTC1799は周波数を外付けの抵抗で簡単に可変できるオシレータです。また外付けのスイッチにより1:1、1:10、1:100の分周比が選べます。5V駆動の場合、最高30MHzまで可能のようですが、今回は試作なのでブレッドボードで組み立て1MHzまで確認しました。出力は、0-5Vの方形波ですが、これをCMOSゲートに通して約±10Vに波形変形して取り出してみました。CMOSゲートには手持ちの関係でTC4011BP NANDゲートを使用しました。
TC4011BPは1パッケージ当たり20mAのNANDゲートが4個ですので、すべて並列につないで、合計80mAといいたいところですが、Icc(IC全体で流せる電流)がMAX 50mAですので、それ以上流せません。ただし今回はDC-DCコンバータの能力(20mA程度)で決まってしまいます。
写真2 回路図
電源は電池の006P 9Vを使用しました。LTC1799は5V電源なので、7805三端子レギュレータで落とします。
CMOSゲートには±9Vを加えるため、LTC1144 DC-DCコンバータで-9Vを作ります。このコンバータはスイッチドキャパシタ方式なので20mA程度しかとれません。
LTC1799の出力は、0 - 5Vの方形波なので、これをCMOSゲートに通して、ほぼ±9Vに波形変形しています。目標の±10Vにはちょっと足りませんが、携帯性を重視しました。
写真3 10KHzの観測 1MHzを1/100分周 10V/div 20uS/div
写真4 100KHzの観測 1MHzを1/10分周 10V/div 2uS/div
写真4 1MHzの観測(1) 10V/div 0.5uS/div
写真5 1MHzの観測(2) 5V/div 0.2uS/div
周波数安定度は、無線機で受信してビートを耳で確認するのが手っ取り早く確実な方法です。最近の無線機は1Hz分解能ですので、精度はともかく変動しているかどうかは確認できます。1MHzを聞いてみた感じでは、大きな変動はありません。結果、低コストでそこそこの発振器が得られますので、ちょっとした実験の信号源には使えそうです。
(JF1VRR)