デジタル周波数シンセサイザ基板を試してみる

投稿日 2012/09/07

CQ出版 トランジスタ技術増刊 トライアルシリーズ「デジタル周波数シンセサイザ基板」を購入して、付属の基板を試してみました。トライアルシリーズにはほとんど基板が付属していますが、どれもその内容にワクワクしますね。

写真1 トライアルシリーズ「デジタル周波数シンセサイザ基板」付属の基板

この「デジタル周波数シンセサイザ基板」には、アナログデバイセズのDDS AD9834と、周辺回路が搭載されています。周辺回路はよく吟味して設計されているため、安心して使えると思います。

主な構成部品は、
DDS アナログデバイセズ AD9834
レギュレータ アナログデバイセズ ADP151AUJZ-3.3 5V->3.3V 低ノイズ
出力アンプ アナログデバイセズ AD8051A
ローパスフィルタ 7次チェビシェフ 28MHz
水晶発振器 日本電波工業 2725T 75MHz
PIC マイクロチップ 18F14K50

付属のCD-ROMにUSBドライバーが入っているのでインストールして、基板をUSBにつなぐとCOMポートとして認識されます。基板のPICには、ユーザインターフェースのファームウェアが書き込まれています。Tera-Termを起動してCOMポートを指定し、エコーバック設定にします。Tera-Termの画面から1000sと入力すれば、画面にOKと表示して1000Hzを発振するので、オシロスコープで波形を確認できます。

s以外にもいくつかコマンドがあります。p114から使い方が載っています。ここに載ってませんが、Fコマンドもあります。下記のようにファームウェアのバージョンを表示します。

Firmware Ver.066.

このユーザインターフェースプログラムは、USBをCOMポートとしてパソコンとつなぐ場合に必要な機能がマイクロチップのインターフェースライブラリを使用して組み込まれています。これをベースにして、いろいろな機能を組込み、自由にDDSを操るのも面白そうですね。

いろいろなアプリケーションを考えるとLCD表示器は必須ですが、別売のベースボードを買わなくても、GPIOピンが出ているので、直結することができます。その場合ベースボードの回路図が参考になりますが、ベースボードはPICの少ないピンをほかのモジュールと共有するため、アドレッシングしていますので、注意が必要です。

とりあえず何もせずに、波形を観測してみました。観測は100MHzのオシロで行いました。信号レベルは信用でできませんが、比較的きれいな波形が観測できました。

写真2 1MHzの波形

写真3 10MHzの波形

写真4 20MHzの波形

ところで、この基板はICSP用のピンが付けられるようになっているので、pickitをつなげばPICのプログラムをダウンロードできます。

J1に5ピンのヘッダピンをはんだ付けしておきます。

CD-ROMのファームウェアソースをハードディスクにコピーし、MPLAB/C18でコンパイルできるか確認しておきます。

写真5 Pickit2でプログラムをダウンロード

このファームウェアは、下記のように、初期発振周波数が7.1MHzになっています。これはアマチュア無線の無線機で7.1MHzの信号を受信できるようにとの配慮と思いますが、これを、ダウンロードできているかを確認するために、1MHzに変更してみました。

ファームウェアソースの一部(main.c)

startup = startup + 1;
if (startup==1000)
{

int temp;
 

// freq = 7100000; <-コメントアウトした

freq = 1000000; //1MHz <- 代わりに1MHzをセット
setFreq();
disp_freq();
value = 0;
temp = getsUSBUSART(USB_Out_Buffer,64); /* ごみの読み捨て */

}

else if (startup>=2000)

 再度MPLAB/C18でコンパイルし、pickitで書き込みました。これで電源を入れた(USBにつないだ)直後は1MHzが出力されます。

このファームウェアはUSB-COMポートが組み込まれているので、パソコンからのコマンドが簡単に受け取れます。またDSPとのインターフェースもできているので、あとは周波数をスイープさせたり、VFOに変身させたりすることが簡単にできそうです。様々なアプリケーション用に改造して遊べそうですね。

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