EF-850の動作確認と調整 FM検波部

投稿日 2017/02/20

​EF-850は昭和30年代に販売されたナショナルのMW/SW, FM 3バンドラジオです。

先日からEF-850の電源部、低周波増幅部の順で動作状態を波形観測等で確認してきました。

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所有のEF-850はオークションで入手したものですが、前オーナーが劣化が疑われるコンデンサーや抵抗等の交換を行って、ある程度整備されていました。

このラジオをなるべく良好な状態にもっていくために、各部の点検をしていきますが、前AM検波部の動作が確認できたので、今回はFM検波部の点検です。

3バンド・ラジオ ナショナル EF-850

以下のようにブロックを分けて進めています。

電源部 

低周波電力増幅部と低周波電圧増幅部 <- 前回
AM検波部
FM検波部 <- 今回
中間周波増幅部
MW/SW周波数変換部
FMチューナー
同調指示部

EF-850 3バンドラジオ回路図

FM検波部

EF-850のFM検波は不平衡型レシオ検波が採用されており、OA79というゲルマニウム・ダイオードが使われています。レシオ検波としてはアナログ・テレビにも多く使われた一般的な回路です。

EF-850のFM検波部と波形観測点

この不平衡型レシオ検波については、別途LTspiceでシミュレーションしてみました。正しくシミュレーションできているかはわかりませんが、参考にしてください。

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レシオ検波回路の前段は、12BA6を使った二段目の中間周波増幅です。ここには放送波を周波数変換した10.7MHzの中間周波が来ています。勿論音声周波数で周波数変調されています。

今回はSSGで搬送波 80MHz 周波数変移 10KHz 変調波 1KHzの信号を作り、アンテナから注入して計測しました。

前段 中間周波増幅12BA6のグリッドの波形(A点)

10.7MHzの周波数変調波

10.7MHzの周波数変調波はレシオ検波回路によって復調されます。このときマイナスの直流電圧に重畳された形で出てきます。ディエンファシス・フィルター通過後の信号を観測してみました。

同調した場合(B点)
-9Vの直流成分の上に、1.9Vppの信号が乗っている
搬送波 80MHz 周波数変移 10KHz 変調波 1KHz 

同調がずれた場合(B点)
マイナスの直流成分が減り、信号の振幅も低下する。
搬送波 80MHz 周波数変移 10KHz 変調波 1KHz 

残念ながらSSGからは1KHzでしか変調できないので、ディエンファシス・フィルターの効果は計測していません。

検波回路からは同調指示用のマイナス直流電圧も取り出しています。この電圧は同調のズレに素直に反応します。最も同調した場合は-6V程度になるようです。同調していない場合(搬送波がない場合)0Vに近付きます。

同調指示用の電圧(C点)
最も同調した場合は約-6Vとなる
この電圧で同調指示管のグリッドを制御する

このラジオはFMが付いているといっても、アンテナ無しでは実用になりません。3素子以上のFM用八木アンテナでも立てて放送を聴きたいものです。

(JF1VRR)

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