電動ドライバーを分解する

投稿日 2018/01/08

​バッテリ式の電動ドライバーは、コードレスでどこへでも持って行けて使い勝手がよいため、一家に一台はあるのではないでしょうか。DIYを愉しむには欠かせません。

回転速度を調整できますし、正逆回転はワンタッチです。過大なトルク負荷がかかると空回りしてくれるクラッチ機能も使い勝手を良くしています。インパクトをかけられるものもあります。

そんな電動ドライバーですが、鳴きどころはバッテリパックです。通常は2個付属しており、一方を充電しながら使えばよいのですが、しばらく使っていないとバッテリが上がっていて、充電しないと作業が始められないというのは、まま経験するところです。

しばらく使っていなかったバッテリ。充電できればよいのですが、充電できない場合(いくら充電しても電圧が回復しない)もあり、その場合はバッテリの交換が必要です。しかし交換バッテリパックは結構高価ですし、購入してもまた同じ失敗をしてしまいます。

今はどうか分かりませんが、当局が10年くらい前に購入した電動ドライバーのバッテリパックは、おそらくニッカドでしょう。(最近のドライバーはリチウムイオン電池でも使って改善されているのでしょうか。) 自然放電して空のまま放置するとすぐに充電すらできなくなってしまいました。

バッテリがない電動ドライバーはただの鉄の塊です。しかし本体のモーターやクラッチ機構は生きているはずですから捨てるには忍びないものです。

そこで外部バッテリ(小型のシールバッテリなど)をつないで、多少携帯性は犠牲にしても、蘇らせたいものです。

幸い電圧は12Vですので、市販されているシールバッテリは種類が多く、小型のものも簡単に入手できます。それをウエストポーチなどに入れて、1m位のコードを伸ばして電動ドライバーとつなげば、簡単に蘇ります。

電動ドライバーは携帯性がよいと言っても、屋根の上で使ったりすることは希で、ほとんどが作業場で使うことが多いものです。このため多少携帯性がよくなくても、普段不便を感じることは、あまり無いかと思っています。

実は、上の写真の電動ドライバーを改造する前に、もう一台の電動ドライバー(RYOBI BID-1210)の改造を試みたのですが、電源の極性を間違えて壊してしまいました。

付属のバッテリパックを使っている限り、物理的形状から極性を間違えることはありませんが、外部バッテリをつなぐ場合、極性を間違える可能性があるので注意が必要です。(付属のバッテリパックには±の極性マークが書かれていません。本体に差し込む向きがきまっているので書いておく必要がないからです。)

電動ドライバーの回路は、極性を間違えることを考慮していないようで、一瞬で壊れてしまいますので注意してください。

さて、その回路ですが、まず、モーターはブラシ付きDCモーター(RS-775VF)です。

また、先にも書いたように電動ドライバーは回転速度の調整ができますし、正転、逆転もワンタッチです。このため制御回路が仕組まれています。

RYOBI BID1210を分解
右は、制御機構部品を更に分解したもの

一般的にブラシ付きDCモーターは、印加する電圧によって回転速度を調整することができますが、効率よく電圧を変化させるパワー回路は少し複雑です。このためパワーMOS FET(2SK3069)を使用したスイッチング回路を、幅変調したパルスで駆動する回路が使われています。ON/OFFを繰り返すパルスの幅を変えて、平均電圧を変化させる方法です。いわゆるPWM制御ですが、この方法は回路が簡単で効率もよいものです。

PWM制御の回路はさまざまで、専用のICも市販されていますが、原理的には一定周期のパルス発生回路、パルス幅を変化させる回路、FETのゲートドライバー回路、パワーMOS FETがあれば実現できます。正逆転はモーターの接続を逆にすれば行えます。

BID-1210では、回転速度調節レバーや、正逆転機構、制御回路基板などをパックにした専用モジュール(TG524FSA-3 DC12V 20A)が使われています。モジュール内部の小さな基板には、タイマーICの555がパルス生成のために使われており、解析はしていませんが、その他の回路はFETドライバー回路と思われます。また、モーターをOFFした時の回生電流を流すための大きなダイオードも内蔵されています。

今回壊れたのは制御回路基板です。壊れたままバッテリにつないで回そうとすると、FETが発熱し、モーターは少し回ろうとしているようです。おそらく制御基板を交換しないと直りませんので、修理はあきらめました。

パワーMOS FETのPWM制御は簡単に行えますので、後日時間があったら制御回路を作って回してみたいと思います。

(JF1VRR)

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