真空管試験システムの構成
投稿日 2010/06/11
システム構成図
真空管試験器(操作パネル)
○プレート電源
TAKASAGO EX-375U2 2台とGPIBコントローラ TC-911B(右)
B電源です。TAKASAGOのEX-375U2 375W 定電圧定電流のズーム電源で、0から500Vの範囲で可変可能です。EX-12DBオプションにより、TC-911Bからコントロールできます。ミニチュア管では150から250Vくらいがよく使う範囲ですが、送信管などでは500Vくらい必要な場合もあります。電流は2Aまで流せますが、数十mAに電流制限して使います。
○スクリーングリッド電源
スクリーングリッド専用にプレート電源と同じEX-375U2を別途用意しています。こちらもEX-12DBオプションによりTX-911Bからコントロールできます。
○ヒータ電源
一般的な定電圧電源で、自作です。0から15Vまでの範囲のヒータ電圧に対応していますが、50Vなどの高いヒータ電圧には対応できません。ヒータ電圧は、特性試験のときにあまり変化させませんので、今のところ手動となっています。将来真空管のエージングや、ヒータ電圧の変化がプレート電流にどのように影響するかなどを見る場合には、mV単位の可変で、自動制御できる電源が必要になりそうです。
○コントロールグリッド電源
HP 8116A FG
いわゆるC電源(グリッドバイアス電源)です。現在HPの8116Aファンクションジェネレータ(FG)を使用しています。FGですから正弦波や三角波の信号を発生できますが、DCオフセットもかける機能があり、これをC電源に利用しています。ただし50Ωで±6V程度の可変範囲です。グリッドは高インピーダンスですから、ほぼこの倍の電圧までかけられますが、-12V程度ではミニチュア管の試験しかできません。。このFGを使う利点は1mV単位で可変できることでしょうか。
○GPIBコントローラ
TAKASAGOのTC-911Bです。これはGPIBまたはRS-232CでPCから電源の制御をするための装置です。TC-911B 1台でEX-375シリーズの電源を15台までコントロールできます。各電源にはEX-12DBを装着し、フラットケーブルで繋ぎます。PCからこのコントローラを介して、電源のほとんどの機能を制御できます。
○電流計
HP 3478A
カソード、コントロールグリッド、ヒータ、プレート、スクリーングリッドの各電流を観測するための電流計です。HP 3478Aを使用しています。このDMMをGPIBによりレンジ設定等を行い、測定値を読み取ります。
○電圧計
カソード、コントロールグリッド、ヒータ、プレート、スクリーングリッドの各電圧を観測するための電圧計です。ハンディーDMMを使用しています。これはGPIBはつながりませんので、いまのところ手動レンジ操作、測定値は目視です。
○PCとGPIB(PCI)FL
デスクトップ型PCのPCIスロットにコンテック社のGPIB}(PCI)FLを挿入し、GPIBでのすべてのコントロールを行っています。OSはWindows 98SEです。ノートブックなど用には、USB-GPIBアダプタが販売されていますが、まだ高価です。PCI用のインターフェースだと比較的安く出回っています。GPIBケーブルも、HP純正は少し高めですが、各長さのものが出回っています。
○easyGPIBとエクセル
GPIBの計測ソフトウェアは、Visual BASICなどで組まなくても、エクセルにアドインできるeasyGPIBが使えます。しかもフリーです。エクセルのVBAでプログラミングでき、測定値をエクセルのセルに直接読み込めるので大変便利です。測定が終わればすぐにグラフ化できます。
○真空管試験器(操作パネル)
真空管試験器(操作パネル) 2E26を試験中
簡単な回路で、7,9pin MT, 12pinコンパクトロン、8pinGT, 6pinST管に対応します。真空管の各電極に加える電圧は、上記の各電源から供給します。カソード、コントロールグリッド、ヒータ、プレート、スクリーングリッドの各電圧をロータリースイッチにより切り替えて観測できます。また、各電流はプッシュスイッチにより切り替えて観測できます。さまざまな真空管に対応できるよう、各電極に対応するソケットにピンを接続する方法をとっています。また、回路にはプレート負荷抵抗などもセットできるようになっているので、実際の動作波形の観測なども考慮しています。
(JF1VRR)