真空管の立ち上り特性
投稿日 2010/10/20
三極管の立ち上り特性を計測してみました。
ここでいう立ち上り特性とは、所定のプレート電圧(Ep)とコントロールグリッド電圧(Eg)をかけておいて、
ヒータオン後のプレート電流(Ip)の変化を見るものです。
真空管の立ち上り特性 三極管 12BH7A, 6FQ7, 6AW8Aの三極部
12BH7A 2本のUNIT 1、6FQ7のUNIT1, 2、および6AW8Aの三極部を計測してみました。いずれも傍熱管です。
12BH7Aは中古ですが、6AW8Aと6FQ7は新品です。
一般的には、アンプやラジオなどのセットでは、B電源やグリッドにかかるバイアス電圧、ヒータ電圧などは同時にオンとなりますが、即座にヒータが温まるわけではないので、プレート電流も規定値になるまで、ある変化を辿ります。
真空管のハンドブックを見ると、ミニチュア管のヒータウォームアップタイムは、ヒータ点火後だいたい11秒ですが、実測の結果を見ると、11秒後ではまだプレート電流は増加中であり、規定値には達していません。
35秒後の電流値に対する到達割合
11秒後 20秒後 30秒後
6AW8A (106) 56.2% 92.4% 98.8%
6FQ7 (11) UNIT1 73.9% 96.7% 99.5%
6FQ7 (11) UNIT2 77.4% 97.1% 99.7%
12BH7A (D 59) UNIT1 59.7% 96.6% 99.7%
12BH7A (B 57) UNIT1 63.3% 97.2% 99.6%
グラフとこの表を見ると30秒くらい経たないと安定しないのが分かります。
とくに6AW8Aはのろのろ立ち上がります。
もっとも早く立ち上がるのは6FQ7でした。
セットでは、全ての真空管が同じような立ち上り特性であれば問題ないのかも知れませんが、出力管だけが2E24のような直熱管で、ヒータウォームアップタイムが短い場合は、問題になるケースがあるようです。
(JF1VRR)