AN7173K BTLステレオ・アンプの周波数特性を計測

投稿日 2023年12月24日

秋月電子のAN7173Kステレオ・アンプ
小型のケースに組み込んで机の上で使用

秋月電子にはいくつかのアンプ・キットが販売されていますが、このAN7173K BTLステレオ・アンプは出力12.5Wと大きく、電源電圧が9V、12Vが使え、小型で安いということで選びました。現在680円という手ごろな価格です。

専用基板付きなので、部品がすべて基板取付けですっきりと組みあがります。電源、L/Rのスピーカー、音源の入力を取り付ければ完成です。温度、過電圧、出力-GND間短絡、負荷短絡、出力-Vcc間短絡の保護付きですので安心です。私の場合はPCを音源としもっぱらYoutubeで音楽を聴いています。このような卓上ステレオに打ってつけです。

​AN7173KはPanasonicのICで、BTL構成になっています。おそらくラジカセやカーオーディオ用と思われます。

​今回はいくつかの条件で周波数特性を計測してみました。

計測A 電源電圧9Vと12VにおけるL/R.Ch 出力0.43と1W 利得 15dB(5.6倍)の特性
計測B 電源電圧12VにおけるL.Ch 1W、2W、3W 利得 25dB(17.8倍)の特性

​計測Aは、1KHzの交流信号を入力し、スピーカー代わりの8Ωの抵抗の両端が0.43Wの場合0.340mVrms、1Wの場合2.83Vrmsになるように音量ボリュームを調整した後、1Hzから1MHzの出力電圧を計測しています。入力電圧は0.43Wの場合0.332Vrms、1Wの場合0.505Vrmsとし電圧利得を15dB(5.6倍)としています。

AN7173K BTLステレオ・アンプ 周波数特性
電源電圧 9V L/R.Ch 1KHz 15dB
0.43Wと1Wの特性

AN7173K BTLステレオ・アンプ 周波数特性
電源電圧 12V L/R.Ch 1KHz 15dB
0.43Wと1Wの特性

0.43Wと1Wの特性はほぼ重なっています。また電源電圧9Vと12Vの差はほぼ無いようです。周波数帯域は-3dBで20Hzから40KHzといったところです。比較のため以下に、OPアンプ使用のダイアモンド型電流アンプの周波数特性を示します。このアンプはほぼ使用するOPアンプの特性で決まります。下記はNJM072Dを使用した場合です。

OPアンプNJM072D使用のダイアモンド型電流アンプの周波数特性例

計測Bは同じようにして25dBの場合の1W、2W、3Wを計測してみました。1Wの場合は入力電圧を0.159Vrmsとし、8Ωの両端が2.83Vrmsになるよう音量ボリュームを調整しています。同じく2Wの場合は0.224Vrmsで4.00Vrms、3Wの場合0.275Vrmsで4.90Vrmsです。

AN7173K BTLステレオ・アンプ 周波数特性
電源電圧 9V/12V L.Ch 1KHz 25dB
1W、2W、3Wの特性

計測Bの計測では電源電圧9Vの場合の3Wの周波数特性が低域・高域共に延びるという結果になりました。2度計測しましたが結果は同じでした。電源電圧12Vの場合はそんなことはありませんでした。

​以上AN7173K BTLアンプを回路部品定数は秋月電子のキットのまま、周波数特性を計測してみました。低域、高域ともにもう少し伸びていてほしいという感じもしますが、毎日卓上で使用する分には十分満足のいく音質です。IC一個でステレオ、部品数も少なく小型にできるアンプとしては十分な性能と感じました。

(JF1VRR)