6GK6 電力増幅用五極管
投稿日 2024年10月27日
松下製 6GK6
TS-511Sのファイナルのドライブに使われているもの
6BQ5と同型の大型MT五極管
背景はRCAの規格表
6GK6は電力増幅用の五極管です。特性はオーディオで重宝される6BQ5(EL-84)に似ています。
今回は手持ちのアマチュア無線用トランシーバーから抜いてきた6GK6のEp-Ip特性を実測してみました。
6GK6はトリオのTS-511Sの送信ファイナル(6LQ6/6JE6C 2本)のドライバー(励振)に使われています。他の使用例は知りません。あまり入手性のよくない球のようです。そのせいか、ネットを検索してもオーディオでの使用(10GK6の使用例はあるようですが)がほとんど見られませんし、6GK6についての情報はあまり上がっていません。このため開発経緯、用途等よくわかりません。6GK6のピン配置は9GKですので、下図のようになっています。 6BQ5は9CVですので、そのまま差し替えることはできません。なお、6GK6と同じ9GKの球は6KY6、8LS5、9KZ6、9LA6、11LY6、8077があります。6GK6のヒーター違いは10GK6、16GK6、29GK6があります。
GE社の6GK6 Product Informationより抜粋
6GK6の特性は6BQ5に少し余裕を持たせた感じです。6GK6は6BQ5に比べてプレート損失が1.2Wほど大きく。最大プレート電圧(330V)、最大スクリーングリッド電圧(330V)ともに30Vくらい高くなっています。ヒーター電圧/電流は6.3V/0.76Aと同じです。Gmも11300msと同じです。ほぼ同じ球と見てもよいかと思います。、6GK6と6BQ5は大きさ見かけともほぼ同じで管名が消えていたりすると見分けがつかない感じです。(ピン配置を比べると違いが分かる)
以下は五極管としての特性です。スペックのシングルA級増幅例としては、プレート電圧(Ep) 250V スクリーン・グリッド電圧(Escg) 250V コントロール・グリッド電圧(Ecg) -7.3Vとなっています。計測結果を見る限り、プレート電圧の低域でプレート電流がへこむ現象(これはプレート電圧が低い領域ではスクリーン・グリッドに電流(Iscg)が流れ込み、対してプレート電流(Ip)が減る現象)がありますが、6GK6ではプレート電圧が80Vくらいから安定しています。
6GK6 Ep-Ip特性
Esg -6 - -20V Ep 0 - 350V Escg 250V
Iscgは10mAに制限
コントロール・グリッド電圧(Ecg)を-7.3Vに固定し、プレート電圧(Ep)、スクリーン・グリッド電圧(Escg)におけるプレート電流(Ip)、スクリーン・グリッド電圧( Iscg)を計測しました。
Ecg | -7.3V | -7.3V | -7.3V |
Ep | 250V | 250V | 300V |
Escg | 200V | 250V | 250V |
Ip | 23,03mA | 39.35mA | 39.73mA |
Iscg | 2.60mA | 11.83mA | 10.8mA |
以下は三結(三極管接続)の場合の特性です。
6GK6 三結 Ep-Ip特性
Cgv 0 - -20V Pv 0 - 350V
三定数は以下のように計測できました。
Ecg | -8V | -12V | -16V |
Ep | 200V | 250V | 300V |
Ip | 21.9mA | 14.5mA | 9.7mA |
μ | 16.0 | 16.4 | 16.0 |
rp | 2049Ω | 2617Ω | 3496Ω |
gm | 8560us | 6480us | 4720us |
(JF1VRR)