6BQ5 電力増幅用五極管(再測)
投稿日 2024年10月28日
松下製 6BQ5
オーディオ界で有名な大型MT管のビーム管
背景はRCAの規格表
6BQ5は言わずと知れたオーディオ界の名球。シングル、プッシュプル、五極、三結ともにパワーアンプの作例が多いようです。アマチュア無線では昔のAM送信機などの変調器で使われた、電力増幅用五極管です。
今回はトリオのAM送信機TX-88Dの変調器から抜いてきた6BQ5のEp-Ip特性を実測してみました。
6BQ5はAZでロシア製の新品や、長期在庫や中古はオークションなどでも多数出品されているので入手性は問題ないようです。MT管としては大形で、その管内を占有する構造は、見ただけでパワーを感じるのは私だけでしょうか。ピン配置は下図のように9CVです。9CVの球は、6BQ5とそのヒーターバリエーションのほかに6CW5とそのヒーターバリエーション、4585、7189、8327などがあります。このうち7189は最大プレート電圧を6BQ5より100V高くして400Vになっています。ただしプレート損失は12Wと変わりません。6BQ5のヒーターバリエーションは、6BQ5のほかに8BQ5、10BQ5があります。
GE社の6BQ5 Product Informationより抜粋
五極管としての特性は、スクリーン・グリッド電圧(Escg)を250Vに固定して行いました。スクリーン・グリッド電流は10mAを超えないように制限をかけています。また最大プレート電圧330Vをあまり超えないようにし、また最大プレート損失12Wを超えないよう10Wに設定して、その範囲内で計測しています。
グラフを見て分かるように、プレート電圧が低い領域においては、スクリーン・グリッドに電流が流れ込むので、プレート電流はへこんでいます。プレート電圧が高くなると、プレート電流が上昇し始めます。
GE社の6BQ5 Product InformationにはA級増幅の例として、プレート電圧(Ep)250V、スクリーン・グリッド電圧(Escg)250Vで、コントロール・グリッド電圧(Ecg)-7.3Vの例が載っており、そこではプレート電流(Ip)が48mA、スクリーン・グリッド電流(Iscg)が5.5mAとなっています。実測値はグラフから40mA, 6mAくらいと読み取れます。
6BQ5 Ep-Ip特性
Esg -6 - -13V Ep 0 - 350V Escg 250V
Iscgは10mAに制限
コントロール・グリッド電圧(Ecg)を-7.3Vに固定し、プレート電圧(Ep)、スクリーン・グリッド電圧(Escg)におけるプレート電流(Ip)、スクリーン・グリッド電圧( Iscg)を計測しました。
Ecg | -7.3V | -7.3V | -7.3V |
Ep | 250V | 250V | 300V |
Escg | 180V | 250V | 250V |
Ip | 10.5mA | 38.0mA | 39.2mA |
Iscg | 1.1mA | 4.4mA | 4.2mA |
以下は三結(三極管接続)の場合の特性です。
6BQ5三結 Ep-Ip特性
Cgv 0 - -20V Pv 0 - 350V
三定数は以下のように計測できました。
Ecg | -8V | -12V | -16V |
Ep | 200V | 250V | 300V |
Ip | 13.4mA | 7.1mA | 3.5mA |
μ | 17.4 | 17.2 | 16.0 |
rp | 2825Ω | 4065Ω | 6666Ω |
gm | 6740us | 4560us | 2640us |
三結における6GK6との比較
6BQ5の類似球といわれる6GK6と比較してみました。
ご注意:以上の計測はどのくらい使われたかわからない中古の真空管で行われています。
(JF1VRR)