30M-P27 電力増幅用五極管

投稿日 2024年10月30日

東芝製 30M-P27 国産球
トランスレスラジオ低周波出力用五極管
低電圧、高感度管
背景は実用真空管ハンドブック

30M-P27はトランスレスラジオ用の電力増幅五極管で、30A5をルーツとするといわれる国産球です。7ピンのMT管で、大きさは6AR5と同じといえばわかりやすいでしょうか。オーディオアンプでの採用も散見されますが、内部抵抗の低さを買われてOTLアンプでも作例が見られます。

ピン配置は、EIAでいうところの7CVで、7CVのピン配置は多くのラジオ用低周波出力管で採用が見られます。

参考: 7CVの五極管たち

30M-P27はヒーター電圧30V、ヒーター電流150mAで、トランスレス用ですので、プレート電圧は130V前後で使用するという低電圧動作管です。またグラフからもわかりますが、高感度な球で、6AR5と比べると違いがよくわかるかと思います。

トランスレスラジオ用の出力管は、オークションなどで単体売りされている中古は、注意しなければなりません。この手の球は非常に酷使されている可能性があり、プレートの窓のガラス面の変色や、ゲッターの減少などはよく見て購入すべきと思います。

今回は手持ちの4本のうち2本、管理番号No.443と444を計測してみました。いずれもどれくらい使われたかわからない中古品ですが、見た感じは良さそうです。五極管としての特性は、スクリーングリッド電圧(Escg)を110Vに固定し、スクリーングリッド電流(Iscg)が10mAを超えないようにして計測しています。低電圧管ですのでプレート電圧(Ep)は130Vまでとしています。コントロール・グリッド電圧(Ecg)は-9Vから-19Vまで1Vステップです。実線がプレート電流(Ip)、破線がスクリーングリッド電流(Iscg)です。

 1本目 30M-P27 管理No.443 の五極管特性

30M-P27 No. 443 Ep-Ip特性
Esg -9 - -19V Ep 0 - 160V Escg 110V
Iscgは10mAに制限

コントロール・グリッド電圧(Ecg)を-9.0Vに固定し、プレート電圧(Ep)、スクリーン・グリッド電圧(Escg)におけるプレート電流(Ip)、スクリーン・グリッド電圧( Iscg)を計測しました。

Ecg-9.0V-10.0V-12.0V
Ep130V110V110V
Escg110V90V90V
Ip39.8mA18.7mA10.8mA
Iscg12.4mA0.8mA0.5mA

 2本目 30M-P27 管理No.444 の五極管特性

30M-P27 No. 444 Ep-Ip特性
Esg -9 - -19V Ep 0 - 160V Escg 110V
Iscgは10mAに制限

コントロール・グリッド電圧(Ecg)を-9.0Vに固定し、プレート電圧(Ep)、スクリーン・グリッド電圧(Escg)におけるプレート電流(Ip)、スクリーン・グリッド電流( Iscg)を計測しました。

Ecg-9.0V-10.0V-12.0V
Ep130V110V110V
Escg110V90V90V
Ip39.8mA24.6mA14.4mA
Iscg13.5mA1.0mA0.6mA

以下は三結(三極管接続)の場合の実測特性です。

 1本目 30M-P27 管理No.443 三極管接続の特性

1本目 30M-P27 No.443 三結 Ep-Ip特性
Cgv 0 - -24V Pv 0 - 160V

 1本目 三定数は以下のように計測できました。

Ecg-10V-13V-16V
Ep80V100V130V
Ip15.6mA18.6mA38.2mA
μ5.65.45.6
rp1080Ω1054Ω713Ω
gm5020us5160us2434us

 2本目 30M-P27 管理No.444 三極管接続の特性

2本目 30M-P27 No.444 三結 Ep-Ip特性
Cgv 0 - -24V Pv 0 - 160V

 2本目 三定数は以下のように計測できました。

Ecg-10V-13V-16V
Ep80V100V130V
Ip15.0mA17.9mA36.6mA
μ5.66.05.0
rp1149Ω1133Ω863Ω
gm4880us5120us5360us

ご注意:以上の計測はどのくらい使われたかわからない中古の真空管で行われています。

(JF1VRR)

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