6CS7 異特性複三極菅

6CS7
異特性複三極菅
NEC製 9ピン MT管
14インチ程度の​テレビ受像機の垂直偏向発振、垂直偏向出力用

6CS7はテレビの垂直偏向に使われた特性の異なった三極ユニットを二つもつ複三極菅です。ヒーター・バリエーションは8CS7があります。いずれもヒーター・ウォームアップ・タイムは11sです。垂直偏向発振に使われる第一ユニットのプレート損失は1.25W、垂直偏向出力に使われる第二ユニットは6.5Wです。

箱に記載された当時の価格は800円です。オーディオ界では比較的安く入手できるこの球を使って、6CS7シングルのミニ・ワッターを作って楽しんでいる方が散見されます。

古鷹無線 FT-60A テレビ・キットの垂直偏向に使われた6CS7
無線と実験 501回路集より
左が垂直偏向発振、右が垂直偏向出力

上記は白黒テレビで使用された例です。14インチの小型テレビで採用されたようです。メーカー製のテレビの垂直偏向は12BH7の採用が多いのですが、なぜかテレビ・キットでは6CS7が多いようです。ピン配置は9EFで、9EFを採用した球はほかに6DA7、10DA7があります。

①第二ユニット プレート
②NC
③第二ユニット コントロール・グリッド
④ヒーター
⑤ヒーター
⑥第一ユニット プレート
⑦第一ユニット コントロール・グリッド
⑧第一ユニット カソード
⑨第二ユニット カソード

以下は6CS7 2本(管理番号530、531) ユニット1とユニット2の実測Ep - Ip特性、実測三定数です。(三定数はあまり精度はありません)

6CS7 (No.530) 実測Ep - Ip特性
ユニット1

6CS7 (No.530) 実測Ep - Ip特性
ユニット2

三定数実測:
Hv/Ha  6.3V / 583.9mA

UNIT 1UNIT 2
Ecg-4V-10V-16V-4V-10V-16V
Ep140V220V320V120V210V300V
Ip6.34mA4.29mA4.62mA9,90mA8.74mA8.68mA
rp8928.6Ω10638.3Ω11363.6Ω4201.7Ω5000.0Ω5494.5Ω
gm1920us1520ms1540ms4060us3200ms2700ms
μ16.415.416.416.616.215.6

6CS7 (No.531) 実測Ep - Ip特性
ユニット1

6CS7 (No.531) 実測Ep - Ip特性
ユニット2

三定数実測:
Hv/Ha  6.3V / 586.9mA

UNIT 1UNIT 2
Ecg-4V-10V-16V-4V-10V-16V
Ep140V220V320V120210300
Ip5.38mA3.30mA3.21mA9.64mA9.20mA9.01mA
rp10000.0Ω12500.0Ω13513.5Ω4464.3Ω48077Ω5154.6Ω
gm1780us1380us1260ms5940us4807.7us5154.6us
μ17.616.015.826.219.417.2

6CS7のユニット1は12AU7、ユニット2は12BH7Aと同等といううわさがあるので計測してみました。いかがでしょうか?

12AU7
6CS7のユニット1と同設定で計測

12BH7A
6CS7のユニット2と同設定で計測

12AU712BH7A
Ecg-4V-10V-16V-4V-10V-16V
Ep140V210V300V120210300
Ip5.29mA3.59mA3.94mA7.92mA7.05mA7.09mA
rp10000.0Ω14705.9Ω1666.7Ω5952.4Ω7575.8Ω8928.6Ω
μ17.614.215.023.419.017.8

6CS7 No.530, 531

ご注意:いずれも、どのくらい使われたかわからない中古の真空管で計測しています。

(JF1VRR)

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