赤熱した12BH7Aの特性

投稿日 2010/09/04

​12BH7Aのプレートを赤熱させてしまいました。

赤熱させたのはUNIT1のプレートです。プレート電圧(Ep)が360V、コントロールグリッド電圧(CGV)が0Vで、約2分間ほど放置しました。もちろんプレートは溶けそうに真っ赤でした。

赤熱後のプレートは中心部分が少し茶色く変色しています。

ゲッターやガラス面に目立った変化はありません。

UNIT1を赤熱させたとき、UNIT2はヒータ電圧(HV) 12.6Vが加わっていましたが、その他の電極は未接続です。

赤熱させる前の計測データがあったので、比較してみました。 

赤熱させる前のUNIT1のEp-Ip特性

特性データによると、正常な12BH7Aは、Ep 250V、CGV -10.5Vのとき、プレート電流(Ip)が約11mA流れます。

UNIT1は約10mAほど流れているので正常です。

赤熱させる前のUNIT2のEp-Ip特性

UNIT2も約11mAほどながれているので正常です。
特性全体もきれいなカーブです。

赤熱させた後のUNIT1のEp-Ip特性

上記は赤熱後のUNIT1の計測結果です。
CGVの変化でIpも変化していますが、全体的にIpが流れにくくなっているのがわかります。
Ep 250V CGV -10VでIP 5mAほどしか流れていません。

赤熱させた後のUNIT2のEp-Ip特性

意外だったのはUNIT2です。
UNIT1の赤熱がまったく影響していないように、正常な計測データが得られました。

同じ管内のユニットなので、もし真空度の低下(エミッションの減少)に原因があれば、UNIT2も少なからず影響を受けるはずですが、その気配はありません。先にも書きましたがゲッターに変化が出るほどの内部ガス状態の変化は無かったようです。

そうなるとUNIT2のみが、このように大きく特性が変化する原因は、UNIT2のプレート板の金属特性の変化しか考えられません。

プレートの表面に酸化膜のようなものができて、熱電子の吸収が悪くなったのでしょうか。

いずれにせよ、複合管の場合、一方のユニットの特性が悪くなったとしても、他方のユニットに影響するとは限らないことが分かります。

2010/09/01
12BH7A B No.67
EP_IP_12BH7A

(JF1VRR)

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