赤熱した6MJ8 三極ユニット2

投稿日 2015/08/30

GE 6MJ8
同じ特性の三極部が3つ封入されている
各ユニットは12BH7Aよりも一回り小さい
真ん中に見えるユニット2を赤熱させてしまった

6MJ8はアナログ・カラーテレビ受像機の共通カソードインピーダンス型マトリックス回路用の球です。RGBの三色に対応するため同じ特性の三極部が3つ組み込まれています。参考: 6MJ8 共通カソード・トリプル三極コンパクトロン

先日、3つの三極部をパラ(並列接続)にして特性を実測中、誤ってユニット2を赤熱させてしまいました。たった数秒の出来事でしたが、真ん中のユニットのプレート真っ赤になりました。それも一部分だけでなく、全体が真っ赤っかでした。^-^;;

一本しかない6MJ8が赤熱したことは、ひじょうにショックです。hi

というわけで、ころんでもただでは起きない私としては、すかさず赤熱後の特性を計測しました。

赤熱は以前もありました。そのときは12BH7Aでした。

参考: 赤熱した12BH7Aの特性

真空管が赤熱するとどうなるかですが、一言でいえば、「同じプレート電圧、同じグリッド電圧でも、プレート電流が流れにくくなる」です。

したがって特性が全体的に右に寝て、内部抵抗が大きくなった状態となります。赤熱前と後ではもう同じ球ではありません。12BH7Aのときと同じです。

ただし、他の(あと2つの)三極部には、今回の事故の範囲ではあまり影響はありませんでしたが(赤熱時間がもっと長いと影響が及ぶのかも知れません)、厳密に言えば、少し内部抵抗が大きくなっています。

このことは赤熱が数秒程度の場合、管内のガスが増加するなどによって、他のユニットに影響を及ぼすようなことはあまりなかったようです。赤熱したユニット2のみプレートの表面などの状態が変わることにより特性が変化したようです。

SYLVANIA 6MJ8 Unit 1 Ep - Ip特性 Eg - Ip特性(実測)
あまり変化が無いが少し右に傾いた
少し内部抵抗が大きくなった)

6MJ8 No.366 GE製 ユニット1
ヒーター電圧/電流  6.3V 867mA

Ecg -2V Ep 60V 
Ip 3.51mA 
rp 6410Ω
gm 2880us
μ 16.0

Ecg -6V Ep 115V 
Ip 2.39mA
rp 9260Ω
gm 1700us
μ 14.8

Ecg -10V Ep 155V 
Ip 1.10mA
rp 16670Ω
gm 840us
μ 12.8

SYLVANIA 6MJ8 Unit 2 Ep - Ip特性 Eg - Ip特性(実測)
今回赤熱したユニット
特性が大きく変わっている

以下のように内部抵抗(rp)が極短に大きくなり、相互コンダクタンス(gm)が減少しているのがわかります。ただし、増幅度(μ)には大きな影響は無いようです。 

6MJ8 No.366 GE製 ユニット2 赤熱後
ヒーター電圧/電流  6.3V 867mA

Ecg -2V Ep 60V 
Ip 1.47mA 
rp 29410Ω
gm 840us
μ 14.8

Ecg -6V Ep 115V 
Ip 0.71mA
rp 35710Ω
gm 520us
μ 14.8

LVANIA 6MJ8 Unit 3 Ep - Ip特性 Eg - Ip特性(実測)
ユニット1同様あまり変化が無いが少し右に傾いた
(少し内部抵抗が大きくなった)

6MJ8 No.366 GE製 ユニット3
ヒーター電圧/電流  6.3V 867mA

Ecg -2V Ep 60V 
Ip 3.89mA 
rp 6100Ω
gm 3040us
μ 15.4

Ecg -6V Ep 115V 
Ip 2.62mA
rp 8930Ω
gm 1760us
μ 14.8

Ecg -10V Ep 155V 
Ip 1.18mA
rp 15630Ω
gm 920us
μ 13.2

6MJ8 GE No.366

(JF1VRR)

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