6BM8、8B8 三極五極複合管

投稿日 2017/05/16

​6BM8はオーディオ界では超人気の球です。そのためかなかなか高価。対してその互換球といわれている8B8は、ヒータ電圧が敬遠されてか、多少安めで出回っているかと思います。

6BM8とその互換球と言われる8B8
左の二本 6BM8、右の二本 8B8
外観はまったく同じ
8B8のヒーターを6.3V点火して使えるか?

6BM8は各真空管メーカで作られましたが、GEには6BM8はあっても8B8は規格表に載っていません。8B8はどういう経緯で登場したのでしょうか? それはさておき、

両者のベースピン配置は同じ9EXで、ヒーター電圧だけが異なります。(6BM8は6.3V、8B8は8.0V)。このため差し替えを試みる方も多いのではないかと思いますが、問題は8B8の6.3V点火による特性への影響です。

そこで、今回は手持ちの6BM8 2本と8B8 2本の三極部の特性を計測し、更に8B8を6.2Vで点火して特性の変化を見てみました。

前述のように6BM8, 8B8のベースピン配置は9EXです。9EXの球は他に6FY8、6HC8、12FY8、16A8、17HC8、25FY8、50FY8があります。6BM8のヒーターバリエーションは11BM8、50BM8があります。

6BM8の三極部は高μ(70)の電圧増幅、五極部は5Wの電力増幅用です。テレビ用の球として開発されたようです。国内ではテレビのほかにトライアンプなどで使われるケースがあったようです。

6BM8 1本目 Ep - Ip特性(実測値)

6BM8 東芝 No.420
ヒーター電圧 6.3V 電流 742mA
Eg -1V Ep 140V Ip 2.5mA μ 70.4 rp 31250Ω gm 2520ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 2.63mA μ 69.6 rp 29400Ω gm 2540ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 1.45mA μ 63.4 rp 41700Ω gm 1940ms

6BM8 2本目 Ep - Ip特性(実測値)

6BM8 東芝 No.207
ヒーター電圧 6.3V 電流 591mA
Eg -1V Ep 140V Ip 2.26mA μ 61.8 rp 35700Ω gm 2180ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 2.38mA μ 65.6 rp 33000Ω gm 2180ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 1.32mA μ 63.4 rp 41700Ω gm 1800ms

8B8 1本目 Ep - Ip特性(実測値)

8B8 東芝 No.39
ヒーター電圧 8.0V 電流 598mA
Eg -1V Ep 140V Ip 2.33mA μ 69.0 rp 33300Ω gm 2320ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 2.44mA μ 69.4 rp 33300Ω gm 2360ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 1.26mA μ 67.0 rp 41700Ω gm 1940ms

8B8 2本目 Ep - Ip特性(実測値)

8B8 東芝 No.40
ヒーター電圧 8.0V 電流 591mA
Eg -1V Ep 140V Ip 1.89mA μ 85.0 rp 45500Ω gm 2200ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 1.76mA μ 86.4 rp 41700Ω gm 2200ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 0.16mA μ 80.4 rp 62500Ω gm 1560ms

8B8 1本目 Ep - Ip特性(実測値)

ヒーター 6.3V点火
8B8 東芝 No.39
ヒーター電圧 6.3V 電流 524mA
Eg -1V Ep 140V Ip 1.73mA μ 71.0 rp 41700Ω gm 2020ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 1.82mA μ 70.8 rp 38500Ω gm 2040ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 0.83mA μ 66.8 rp 50000Ω gm 1620ms

8B8 2本目 Ep - Ip特性(実測値)

ヒーター 6.3V点火
8B8 東芝 No.40
ヒーター電圧 6.3V 電流 517mA
Eg -1V Ep 140V Ip 1.26mA μ 88.2 rp 50000Ω gm 1880ms
Eg -1.5V Ep 180V Ip 1.16mA μ 86.4 rp 55600Ω gm 1820ms
Eg -2.5V Ep 210V Ip 0.29mA μ 80.4 rp 100000Ω gm 1120ms

8B8のヒーター電圧8.0V(正規)と6.3Vの比較

ヒーター電圧の低下は当然エミッションの減少となるので、特性は全体に右側に寝ることになります。

6BM8で設計したアンプで、そのまま8B8に差し替える場合、この差は許容範囲でしょうか?

8B8 1本目 Ep - Ip特性(実測値)

ヒーター電圧 8.0Vと6.3Vの比較

8B8 2本目 Ep - Ip特性(実測値)

ヒーター電圧 8.0Vと6.3Vの比較

ご注意:この計測はいずれもどの位使われたかわからない中古球で行われています。

6BM8 東芝 No. 420
6BM8 東芝 No. 207
8B8 東芝 No.39
8B8 東芝 No.40

(JF1VRR)

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