冬の夜叉神トンネルを抜ける
投稿日 2009年11月16日
鷲ノ住山付近からの間ノ岳(中央の尾根は弘法小屋尾根)
冬の南アルプス 北岳、間ノ岳に登るには、甲府からタクシーで芦安村に入り、夜叉神トンネルを抜けるルートがあります。
このルートの難点は、
真っ暗な夜叉神トンネルを抜けなければならないこと。
南アルプス林道から、約200mも下降して、一旦野呂川の河原に降り立たなければならないこと。
そして、猛烈に寒いこと。
夜叉神トンネルは冬季、雪が入らないように出入り口が封鎖されていたが、人が入れるように扉が設けられていました。
昼間でもトンネル内部は真っ暗で、
内部は滴る水が路面で凍り、スケートリンクのようになっています。
ただ、平らなリンクであればよいのですが、水の滴る箇所には、路面から鍾乳石にような、氷の突起が出ています。
勿論ヘッドライトを灯けて歩きますが、明るいのはほんの目の前だけ。
恐怖の20分間を味わうことになります。
友の姿は見えず、滴る水の音と、不気味に光る氷面だけが見えます。
ときどき、前の方で「ドタッ」と音がしたかと思うと、やがて、立ち上がる気力の失せた友の姿が、薄暗い中に現れます。
数分後はわが身。発狂して走り出したくなる夜叉神トンネル。
このトンネルを抜けると、極寒の南アルプス林道が待っています。
北岳、間ノ岳積雪期ルート(深沢下降点は今の地図には無い)
(熊五郎)