秩父四番札所金昌寺の慈母観音
投稿日 2019年02月11日
秩父観音霊場四番札所金昌寺
本堂正面の隅に慈母観音がある
先日秩父四番札所 金昌寺(きんしょうじ)を訪れ、有名な慈母観音(じぼかんのん)を写真に納めてきました。慈母観音とは33年ぶりの再会でした。
慈母観音は全国に多く有りますが、そのほとんどは立象で子供を抱いている姿ですが、金昌寺の慈母観音は座って授乳中という、とても珍しい姿です。
慈母観音
蓮の花の上に座って授乳させている姿
使用されている石は同じ秩父の両神山に近い三十一番札所観音院の近くで切りだされた凝灰岩「岩殿沢石」です。昔、切りだした石を大勢の人の手で運ばれたとのことで「功徳石」(くどくいし)とも呼ばれたようです。観音院の裏山(観音山)に登れば今でも石切り場の跡や加工場の跡が確認できます。
斜め後ろからの姿も美しい
子供がしっかり左乳首をつかんでいる
観音院には国内最大級の石作りの仁王像がありますが、それも岩殿沢石で造られているとのこと。白くキメが細かくて柔らかく加工しやすい特徴があるようです。
岩殿沢石は女性の白い肌を表現するには打って付のようだ
金昌寺の境内の石仏群は岩殿沢石で造られているようですが、慈母観音は特に保存状態がよく、凝灰岩の白さが今でも観音様の肌を艶めかしく表現しています。
手の届くところに置かれているためか足指の欠損が惜しまれる
それにしても保存状態はよい
この超有名な慈母観音。秩父札所のパンフレットやポスターには必ずと言ってよいほど、そのお姿が採用されます。実際この観音様は一度見たら忘れられない優美さがあり、金昌寺本堂の正面外にあるため触ろうと思えば手が届いてしまうのです。どの寺もそうですが、多くの場合ご本尊は本堂の中に収まっており、外からははっきりとお姿が見えません。その点慈母観音は、雨にはさらされないものの、外の寒いところで半身露わにしているのです。
子育てを拒否したり、子供をいじめるような親は一度この観音様のお姿を見れば、学ぶものが多くあるのではないでしょうか。
写真はすべて2019年1月21日撮影
(熊五郎)