群馬県高崎市 上野三碑と上城山

2025年05月14日 晴れ 2名

投稿日 2025年05月16日

群馬県高崎市岩野谷丘陵の南東部 上野三碑と上城山
山上碑の駐車場から山上碑、山名城址、上城山(根小屋城址)、金井沢碑
上信電鉄の根小屋駅から山名駅へ移動
山上碑の駐車場に戻って、車で多胡碑へ
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
山上碑の駐車場 10:01
山上碑と山上古墳 10:19
山名城址 10:47
上城山(根小屋城址) 11:32
赤岩山 12:58 (最高点 約210m)
七曲り 13:14
金井沢碑 13:43
上信電鉄 根小屋駅 14:06 14:36発山名駅へ
山上碑の駐車場 15:13
多胡碑、多胡碑記念館 15:30ごろ

総歩行距離 8.5km(歩行のみ 上信電鉄 根小屋駅 - 山名駅 2.5km含まず)
所要時間 5.0時間(歩行のみ)

群馬に住んでいるからには一度は訪れたい「上野三碑」(こうずけさんぴ)。うれしいことに群馬県高崎市の一角に三碑とも集まっています。しかもそのルート内に「上城山」(かみじょうやま)という一等三角点の山があるのも興味をそそるところ。今回は妻を誘ってハイキングがてら訪れました。

「上野三碑」は今から1300年以上前に造立(ぞうりゅう)された古碑で、日本国内で十八例しか確認されていない平安時代以前の古碑のうちの三つです。国の特別史跡に指定され、平成二十九年にユネスコの「世界の記憶」に登録されました。

三碑のうち「山上碑」(やまのうえひ)は天武天皇の時代 681年に造立され、長利という僧がその母「黒売刀自」(くろめとじ)を供養するとともに、出身家の系譜を述べたもので、高さ111センチメートルの輝石安山岩の自然石の平らな面を利用して銘文が刻まれています。隣にある古墳には「黒売刀自」も埋葬されているようです。「多胡碑」(たごひ)は和銅四年(711年)に造立され、新設された多胡群の建郡碑です。使われている石材はこの近くの牛伏山で産出される花崗岩質砂岩(別名多胡石)が使われています。高さ129センチメートルのキャラメル色で笠石を乗せた形状です。近くには「上野三碑記念館」があり三碑に関する展示があります。「金井沢碑」は神亀三年(726年)にこの地の氏族が祖先の供養と一族繁栄を祈るために造立したものです。石材は輝石安山岩で、高さ110センチメートルです。いずれの碑もりっぱな覆屋で大切に守られています。覆屋の前のボタンを押すと、内部に照明がつき、解説が流れます。

現在、上野三碑記念館では金井沢碑の2026年造立1300年を記念して拝観無料となっています。また、三碑とその周辺の駅などを無料でむすぶバス「上野三碑めぐりバス」が運行されています。(上信鉄道吉井駅を出て吉井駅に戻る形で運行) 各碑には駐車場、トイレが整備されており、多胡碑には上野三碑記念館の併設により、三碑とその関連史跡、出土品などが展示されています。

足に自信があれば、今回辿ったルートで、山上碑から金井沢碑までをハイキングを兼ねて歩くことができます。そのルートは「関東ふれあいの道」として整備されており、また高崎自然歩道 石碑の路(いしぶみのみち)となっており、解説付きの万葉歌碑が点在しているので、楽しみながら歩けます。全ルート自然林で美しく、野鳥の声を聴きながら山名城址(やまなじょうし)や根小屋城址(ねごやじょうし)もあって往時を忍べます。とくに根小屋城址のある「上城山」(かみじょうやま)には一等三角点が埋設されており、言うことなしです。

山を歩いていると多くの石碑、石仏、石塔などに出逢いますが、そのほとんどは江戸時代後期です。古いものとしては、大きな丸い石で刻字された碑は鎌倉時代のものでした。青石塔婆は古いものが多いのですが、それでも鎌倉時代や南北朝時代のものです。天平、飛鳥時代の三碑がいかに貴重なものか実感します。

今回は山上碑の駐車場をお借りし、山上碑、山名城址、根小屋城址の上城山、金井沢碑、上信電鉄根小屋駅と歩き、上信電鉄に山名駅まで二駅乗り、山名駅から山上碑の駐車場に徒歩で戻りました。その後車で多胡碑、上野三碑記念館を訪れました。山上碑から金井沢碑までの山内は関東ふれあいの道で、道標も整備され、点在する句碑の説明を読みながら楽しく歩けます。5時間ほどのハイキングとなります。

高崎自然歩道案内図
山上碑から金井沢碑、根小屋駅へと関東ふれあいの道を辿る
石碑の道ともいわれており石の句碑が点在する

山上碑の駐車場
10台ほどが停められ、きれいなトイレがある

山上碑の覆屋
右は山上古墳
駐車場から長い石段を登る
きれいに整備され、大事に守られている
古墳は石室に入ることができる

群馬県高崎市山名町 山上碑
681年建立
母を供養するとともに建立者自身の系譜を記す
完全な形で残る碑として、また日本語順に漢字を記した碑として日本最古
(多胡碑記念館パンフレットより)

山内は幅広の関東ふれあいの道が続く
野鳥が多く、自然林で美しい

山名城址
ルートからちょっと外れたところにある小ピーク
ベンチやテーブル、展望台がある

このような句碑が点在する
それぞれに説明板が設置されており、読みながら歩くのは楽しい

山名駅前にある高崎自然歩道 句碑の路案内図
山名駅から山上碑、金井沢碑を訪れ、根小屋駅まで
点線のように歩くとすべての句碑を拝読できる

根小屋城址のある上城山から眺める高崎市街

上城山(根小屋城址)の一等三角点
点名「上城山」 標高 197.74m
かなり埋まっているが、きれいな状態で刻字も明瞭

金井沢碑の覆屋
駐車場から木道と石段を登る
どの碑もこのように大切にされている

群馬県高崎市山名町 金井沢碑
726年(神亀3年)建立
祖先を供養し、一族の繁栄を祈る
当時の家族、仏教思想や行政制度の普及の様子が分かる
碑文中の「羣馬」は県内最古の「群馬」の用例
(多胡碑記念館パンフレットより)

上信電鉄 根小屋駅にて
高崎行き車両のプリントが三碑だった

群馬県高崎市山名町 多胡碑の覆屋
三碑いずれも四方から観察できる
立派な覆屋で保護されている
ボタンを押せば照明がつき、説明が流れる

群馬県高崎市吉井町池 多胡碑
771年(和銅4年)の多胡群設置を伝え、
国の歴史書「続日本記」と一致する内容を刻む
大陸伝来の書風を残し、書道史上の評価も高い
(多胡碑記念館パンフレットより)

群馬県高崎市吉井町の上野三碑記念館にて
金井沢碑建立1300年記念で無料で拝観できた

上野三碑記念館の三碑展示(写真撮影可)
実物大のレプリカ

(雅熊)

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