大かつらから安谷川右岸尾根から矢岳、篠戸尾根を下る
2025年11月24日 晴れ 単独
投稿日 2025年11月26日

埼玉県秩父市 武州日野駅からたまご水、安谷川右岸尾根(仮称)で矢岳
篠戸尾根(仮称)で下山
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
武州日野駅駐車場 8:44
たまご水 08:25
P585 09:10
P820 09:55
スズメバチの巣 10:42
矢岳 12:00 (昼食)
篠戸山 13:28
送電鉄塔 14:42
林道に下り立つ 15:24
武州日野駅駐車場 15:46
総歩行距離 12.1km
総歩行時間 8.0 時間
総累積標高 +1165m
秩父のマイナーな山「矢岳」(やだけ)。あまり名が売れていない地味な山で、山頂は展望なく、登りに4時間くらいかかる山です。標高は1358mで、さして高くはありません。その4時間の登山道はあまり歩かれておらず、登山地図には「この山域熟達者向き」なんて書かれています。
位置は浦山ダムのさくら湖の左岸を固める尾根上にあります。矢岳からさらに2時間半くらい歩けば、もうそこは東京都と埼玉県の都県境です。秩父の山としてこの辺りでは、「熊倉山」が有名ですが、熊倉山も、どちらかというと地味。あまり好んで登られる山でもありません。秩父市街を抜けて荒川という地域に差し掛かると熊倉山が格好よく見えてきます。矢岳はその横にこじんまりしたピークをもたげています。
水域としてはさくら湖のある細久保谷と、熊倉山との間の安谷川(あんやがわ)水系に刻まれた山域です。矢岳のメインの尾根筋は大反山から若御子山へとつながる尾根で、これが水系を分けているのですが、このメインの尾根筋から派生する枝尾根がいくつかあります。今回はそれらの枝尾根の中から、矢岳から直接派生する「安谷川右岸尾根(仮称)」を登り、篠戸山付近から派生する「篠戸尾根(仮称)」を使って下山してみました。篠戸尾根は以前登ったことがあります。(登ったことのない尾根をいきなり下山に使うのは危険です) いずれの尾根も登山道はなく、踏み跡程度で、この落ち葉の時期は踏み跡も期待できません。道標は皆無で、ピンクテープなどの目印も途中でなくなったりするので期待できず、完全なバリエーション・ルートと言えます。
車を秩父鉄道の武州日野駅の有料駐車場(310円)に置き、「たまご水」まで歩きました。たまご水は安谷川が流れる渓谷の河原に湧く鉱泉で、ゆで卵の匂いがします。その奥へと続く踏み跡は「大かつら」への道です。安谷川右岸尾根に取り付くにはこの大かつらからと、手前のログハウスが数軒並ぶところから取り付く方法がありますが、後者は静かな別荘地に踏み込むことになるので今回は遠慮し、大かつらから登ることにしました。ところが大かつらの上は大きな岩が迫っており、とても登れそうにないので、結局ログハウスの上に回り込みんでから尾根筋を捕まえることにしました。どこでもそうですが、尾根筋に乗るまでが急登です。
尾根筋に出るといくぶん傾斜が緩まり、とくに踏み跡はないものの、ピンクリボンがところどころにあって、誘導してくれます。ただし、このピンクリボンは途中からなくなります。こぎみよく高度を上げますが、やがて尾根が痩せてきます。右側(西側)が崩壊していて危険な箇所もあります。うっかりと踏み外さないように注意が必要です。そんな痩せ尾根を歩いていると、足元に小さな穴があって、大きなスズメバチが出入りしています。あたりは気味の悪いブーンブーンという音。1mほどまで近づいてしまい、スズメバチに追いかけられて、急いで逃げました。もう少しで刺されそうでした。その辺りは痩せ尾根とはいっても、左側の傾斜が緩かったので、巣を避けて迂回できましたが、左右崖であれば引返すしかありません。巣から5mほど下をなんとか通過して事なきを得ました。11月も下旬で気温は一桁。朝晩はさらに冷え込むと思いますが、蜂たちは元気そうでした。
やがて痩せ尾根は終わって落ち葉の広い斜面となり、再び露岩が現れると山頂は間近。尾根全体はやぶこぎや、灌木につかまりながら登るような急斜面はなく、矢岳山頂のやや左に出ました。ちょうど正午でしたので、山頂で昼食をいただきました。山頂は展望はなく、西側の樹間からわずかに熊倉山方面が見えるのみです。
山頂からは一般道ですが、篠戸山までは急斜面もあり気が抜けません。篠戸山まで来ると下に浦山ダムのさくら湖が見え、武甲山や大持山などの稜線の眺めが雄大です。篠戸山を通過して100mほど歩いたところから篠戸尾根に入ります。この尾根は下の昌福寺近くに落ちる尾根で、途中に送電鉄塔を持っています。上半分はまったく踏み跡も目印もありません。中間部で沢音が聞こえますが、そのあたりは地形が複雑です。やがて尾根が痩せてきて、送電鉄塔の案内杭を見たら、送電鉄塔はすぐです。さらに下って最後の急斜面を慎重に下れば林道が見えてきます。
今回登りに使った安谷川右岸尾根、下りに使った篠戸尾根ともにバリエーション・ルートです。危ないところはありませんが、道標は無く、目印のピンクリボンもあてになりません。GPSを使用していてもルートファインディング力が必要です。秋はスズメバチの巣に注意が必要です。

明ヶ指の大かつら
安谷川の河原にある(たまご水の少し奥)
ここから登り始めたが、左上は岩壁

落ち葉で覆われた急斜面
尾根の取り付き点が見つからないので
ログハウス側にトラバースして探す

ログハウスから来た踏み跡とピンクテープを見つける
ようやく尾根筋が見えてきた

安谷川を挟んで対岸の宗屋敷尾根と熊倉山

宗屋敷尾根の上部と熊倉山
左へ酉谷山へ延びる尾根筋

上部はところどころ露岩が現れる
右側(西側)が尾根筋ぎりぎりまで崩壊しているところもある

熊倉山から酉谷山まで伸びる稜線

矢岳山頂直下の急登
もうしばらくの我慢

矢岳山頂
樹林(東側植林、西側自然林)に覆われ展望はない

篠戸山付近から
左端に武甲山、中央に大持山、小持山

一般道のある稜線を振り返る
篠戸山の一般道を捨て篠戸尾根の下降にかかる

送電鉄塔
送電線の下は大かつらの位置だが、ここは200mも高い

国道140号から
右奥のピークが矢岳
鉄橋は秩父鉄道
(雅熊)

