相沢から 荒船山

2018年12月10日 晴れ 単独

投稿日 2018年12月12日

毎日のように自宅近くから眺めている荒船山。航空母艦を横から見たような特異な山体は同定しやすいのですが、そのように見えるのは関東平野の一部です。(関連記事:上州 荒船山はどこから見えるか) 下の写真は利根川の土手からの荒船山です。そのままの形で見えています。

関東平野 利根川の土手からの荒船山
2009年11月3日撮影

西側の蓼科山からも船体が確認できます。当然向きは逆になります。

蓼科山からも船体の形で見える
当然関東平野側からとは方向が逆
2018年10月25日撮影

船の形そのままで見えるポイントはそう多くは無いと思いますが、絶好のビューポイントは荒船山に近い毛無岩からです。綺麗な船体であることが分かります。

毛無岩から見た荒船山
平らな頂稜は群馬県と長野県の県境
右端が艫岩。左端のピークが経塚山
2007年4月29日撮影

その他、西上州から荒船山が見えると言う場合は、船首にある最高点の「経塚山」(きょうづかやま 標高1423m)のみであったり、北側の神津牧場側の山々から眺める場合は、船尾の絶壁「艫岩」(ともいわ)は見えますが船体は見えません。

物見山から見た荒船山(左端)の艫岩と経塚山(奥のピーク)
船尾から見ているので船体側面は見えない
2000年4月23日撮影

国道254号からの荒船山 艫岩
岩壁を仰ぎ見る
2000年4月1日撮影

荒船山の在る辺りは物語山のメンベ岩や、兜岩山のローソク岩、立岩、毛無岩などの岩塔や奇岩が多い山域ですが、この約1.7kmのほぼ水平な台地状の頂稜が残されたのは不思議です。

登路としては、艫岩に出る内山峠からの道と、今回使った相沢からの道があります。経塚山に出るには、大上から星尾峠の道と、立岩経由の道があります。毛無岩ともつながっていたようですが、今は崩壊個所があるようです。

三ツ瀬付近からの荒船山 艫岩
車内から撮影

今回利用した相沢からの道は、国道254号から相沢川沿いに1.5kmほど入ったところでアクセスがよく、登山口に4台程度の駐車スペースがあるのでアプローチを歩くことなく直接登れるので便利です。頂稜上の相沢分岐まで約2.6kmの行程ですが、この時季落ち葉で滑らないように気をつければ、さして危険な個所はありません。

相沢ルートで荒船山
赤実線:歩行GPS軌跡
T:主な道標 V:ビューポイント
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
相沢駐車スペース(登山口) 9:41
中の宮 10:40
相沢分岐 11:37
艫岩(方位盤) 11:46
荒船神社(石祠) 12:10
経塚山(荒船山山頂) 12:33 (昼食) 12:48
相沢分岐 13:21
艫岩(方位盤) 13:24
相沢分岐 13:30
中の宮 14:08
相沢駐車スペース 14:46

所要時間:5時間5分
総歩行距離:9.5km

上信越自動車道を下仁田ICで降りて、国道254号を走ります。内山峠の手前で左下に降りて三ツ瀬の集落から相沢に入ります。最奥の相沢橋という小さな橋を渡ると、簡易舗装してありますが、心細いくらい細い道が左上に入っています。大きな車だとサイドを擦るような道ですが、200m位で駐車スペースです。「荒船山相沢登山口」の看板があります。最近熊が目撃されたことと、艫岩近くにある東屋のトイレが当面使えないとの注意書きがありました。

相沢橋とその奥に続く簡易舗装の細道
この先200mほどに駐車スペースがある

相沢登山口
駐車スペースから登山口となる

尾根に乗って左斜面をトラバースぎみに進むと
荒船の艫岩(右端)と頂稜が見えてくる

中の宮
ほぼ中間点にある大岩の下の社

マツダランプの胸突き八丁の看板
今となっては貴重な遺産
相沢ルートは結構古くからあることを示す
地面に転がっているので早晩朽ち果てるだろう

物語山を眺めながら登る
メンベ岩が小さく見えている

中の宮の後も斜面を斜めに登って行き、やがて胸突き八丁となります。「マツダランプ みんなで〇〇〇ハイキングコース 荒船山コース 胸突き八丁」の金属看板が地面に落ちていました。貴重なものですが、早晩錆びて無くなる運命です。

胸突き八丁を登ると目前に艫岩の岩壁が迫る
頂稜部は霧氷で白くなっている

相沢分岐の道標
まずは右の艫岩に向かう

胸突き八丁の上部では艫岩東端の岩壁が目前に迫ります。やがて道は左上へと進み、最後に手すり付きの階段で頂稜に登り着きます。

頂稜上は平坦
艫岩の手前にある東屋
トイレもあるが現在使用禁止

登り着いたところは相沢分岐です。ここ荒船山の頂稜の標高は約1300mの平坦地です。林床は笹です。この日は寒かったせいか樹林は霧氷となって青空の下に白く輝いていました。分岐から艫岩方向に歩くとすぐに東屋が見えてきます。温度計によると気温は零下2℃。強くはありませんが風が梢を揺らし、霧氷のかけらをパラパラと落とし、まるで雪が降っているようです。

艫岩大絶壁上部にある方位盤
3mほど先は大絶壁
柵などは無いため転落に注意
遠くに見えているのは浅間山

艫岩の絶壁
遠くに北アルプス

東屋から用心深く艫岩に近づきます。過去転落事故があった大岩壁です。言うに及ばず大展望。浅間山のほか、遠くは北アルプスが白く輝いています。遙か下には国道254号を走るトラックが小さく見えています。

関連記事:荒船山艫岩からの展望

「皇朝最古修武之地」の石碑

東屋で濡れた下着を着替え、悴んで動かなくなった指を温めました。平坦な頂稜の道を経塚山に向かいます。途中小沢を渡るところが少しへこんでますが、他はほぼ平坦です。途中、ほぼ中間点に「皇朝最古修武之地」という石碑が建っています。これの意味は現地にある看板の解説を読めば分かります。石碑の近く、頂稜部びほぼ真ん中には荒船神社の石祠があります。手を合わせて更に歩くと星尾峠への分岐です。左にとって経塚山に向かい、少し登ると石祠と二等三角点 荒船山 1422.69mがある山頂です。

霧氷で白い経塚山山頂
石祠と二等三角点がある

霧氷が美しい山頂でした。樹間から八ヶ岳全体がよく見えていました。ホワイトチョコレートを削ったような霧氷のかけらが降り注ぐ中で昼食をいただきました。手が悴んでゆっくり食べてられません。早々に山頂を後にし、来た道を戻りました。

頂稜部の霧氷

再度艫岩に立ち、さっきとは少し光線のちがう展望をカメラに収め、相沢分岐から下山しました。お風呂は「荒船の湯」にしたかったのですが、月曜休館で利用できず残念でした。下仁田の道の駅で暖かいうどんをいただき、帰途につきました。

今季初めての寒波。荒船山で霧氷のプレゼントがありました。

(熊五郎)

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