榛名富士
2023年06月18日 晴れ 2名
投稿日 2023年06月20日
同じ榛名山塊にある二ッ岳の山頂から眺めた榛名富士(中央)
榛名富士の周りは高原状でカルデラ湖の榛名湖西半分を占める
榛名山(はるなさん)。群馬の名峰であるこの山は、大きな山体にいくつかのピークを持ち、その広いすそ野は、隣のまた大きな山体の赤城山(あかぎやま)のそのすそ野と同じくして、群馬の広大な平野部にゆるやかな傾斜を与えています。そんな群馬の平野部のいずこかに立って眺めれは、その傾斜の向こうの青い空に、正に大きな山体の榛名や赤城が浮かんでいます。
故郷に山があって、遠く離れていてもその山をなつかしく心の中に浮かび上がらせることができる人は幸せです。榛名山の作る緩やかなその傾斜にある里。今の高崎市保渡田に生まれた文人「土屋文明」は、
青き上に榛名をとはのまぼろしに出でて帰らぬ我のみにあらじ
と詠んでいます。青い空の向こうに浮かぶ榛名の山が常に幻のように浮かんでくる。故郷を遠く離れた文明の望郷の歌であり、同じような離郷の人にとっては共通の思いでしょう。それほど、郷里の山の姿は、それを見て育った者にとっては大きいと言えます。
前橋市から高崎市へ、傾斜を感じる農山間部に、どこか私の若い頃に見た大阪の田舎や、奈良の山里の風景に似たものを感じ、文明と同じように望郷の念に駆られながら車を進め、着いたところは榛名湖畔。カルデラの榛名湖の水をかき分けて、後からにょっきりと顔を出したのか。少々違和感のある位置に、300mもの盛り上がり。今回目的の山である「榛名富士」が聳えています。
ルートはハイキングコースの様で特に記すこともありませんが、妻を連れての山行となれば、帰路に寄るところの時間と腹具合を計算しなければならず、今回登りは足を使ったとしても、下山はロープウェイ利用で手っ取り早く済ませることにしました。よって歩いた距離は2kmにすぎません。
真夏のようになったこの日。榛名湖周辺は観光レジャーの人たちでにぎわっていました。ドライブ、バイクツーリング、自転車、湖上のボート遊び、ルワー釣り、観光乗馬、ゴーカート、森林浴、トレラン、キャンプ、そして我々のような登山者と、登りも下りもロープウェイ利用の観光客。土産物や、飲食店、旅館なども。麓には有名な伊香保温泉。そして坂東札所水沢寺など。たっぷり遊べる条件が榛名山には揃っています。
山内は春ゼミがギーギー鳴いていました。暑くなったこの日ですが、風は爽やかに吹き渡り青い空。緑の美しい自然林の斜面をひと頑張り。このくらいでは妻も余裕です。山頂で一等三角点を確認して隣の相馬山や眼下の高原、遠くに霞む前橋や高崎の街並みを眺めました。次々と観光客を乗せて上がってくるロープウェイ。二連結のゴンドラに乗って同乗のおばさんが下を見れないといって怖がっていた急傾斜を数分で降りて下の駅に到着。駅前にはスタイルのよい馬たちがお客を待っていました。帰途、人の多い伊香保温泉はあきらめて、水沢寺でうどんを食し、往路で確認しておいた「群馬県立土屋文明記念文学館」に寄りました。「新進気鋭の作家たち」と題した企画展示は最終日。群馬県生まれの阿部智里、如月かずさ、竹内涼、友井羊が紹介されていました。山と文学に浸った一日となりました。
群馬県高崎市 榛名山塊の中心にある榛名富士
榛名湖畔の駐車場から南面の登山道で山頂へ
ロープウェイで下山
赤実線:歩行GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
榛名湖畔の駐車場 8:34 (1085m)
榛名富士山頂 10:18 (1390m)
ロープウェイ山頂駅 10:26 (1362m)
ロープウェイ高原駅 10:32 (1094m)
榛名湖畔の駐車場 10:40 (1085m)
所要時間:2時間10分
総歩行距離:2.7km (ロープウエイを除く距離 1.9km)
榛名湖畔の駐車場
広い駐車場は観光客やバイクの人たちで賑わっていた
榛名富士の登山道
笹原に自然林が美しい
ロープウェイ山頂駅
トイレがある
駅の向こう側が展望台のようになっており、東屋もある
ロープウェイ山頂駅横の展望台からの眺め
左のピークは相馬山
霞むのは前橋、高崎市の街並み
榛名富士山頂の社
木花開耶姫命を祭る富士山神社
榛名富士山頂にある一等三角点
点名「榛名富士」標高 1390.54m
保護石も健在でよく保存されている
ロープウェイの山頂駅にて
これから下っていくゴンドラ
二台連結が特徴
観光乗馬の馬たち
競馬を引退した馬たちか? スタイルがよい
帰途の途中で寄った群馬県立土屋文明記念文学館
企画展示「新進気鋭の作家たち」の最終日
二階はカフェになっている
近くに保渡田古墳群がある
(雅熊)