赤城山つつじの峰通りから銚子の伽藍
2022年05月22日 曇りのち晴れ 3名
投稿日 2022年05月24日
群馬県の名峰「赤城山」の一角に登りました。赤城山はカルデラ火山で、山頂部に大沼というカルデラ湖を持っていますが、中央にある寄生火山「地蔵岳」が噴火する前はもっと大きな湖だったようです。地蔵岳の噴火で湖は三つくらいに分断され、そのうち、現在のおとぎの森にあった湖水は、外輪山の一部から流れ出して消失しました。その湖水が流れ出した場所は今でもV字型のキレットを成しており、その基部には穴が開いて、外輪山の内側の沢水が今でも流れ出して、粕川となって麓を潤しています。その穴「銚子の伽藍」(ちょうしのがらん)は、正にお銚子の穴に水が吸い込まれるごとくに、沢水が奈落の底に落ちてゆくような様相を呈しています。
今回はそんな「銚子の伽藍」を再訪すべく、つつじの美しさで有名な「つつじが峰通り」の尾根筋を登りました。この尾根筋は赤城山南面にあり、一般的には「大猿山乃家」を起点に登られます。下山は同尾根を下るか、東隣の岳人岩の尾根を使います。元気な人は銚子の伽藍を見たあと、小沼(小さな火口湖)や長七郎山に寄ることもできますが、我々は昔湖水を溜めていたであろう「おとぎの森」を散策して岳人岩の尾根を下りました。
今回はアプローチを車で移動中、カーナビに従って走っていると、大猿山乃家に通じる林道にある橋が老朽化のため通行不能。大猿山乃家を目の前にして、滝沢の方に大きく迂回。結局起点にしたかった大猿山乃家ではなく、不動大滝の見学用駐車場をお借りして登ることになりました。このため岳人岩の尾根を下って大猿山乃家に降り立ち、さらに車道を2.7kmばかり歩いて駐車場に戻ることになりました。
つつじが峰通りの尾根は新緑が美しく、そのなかに点々と山つつじが咲いていました。現地で聴いた話では今年は不作。かなり花が少ないようでした。よい年はつつじが峰通りの尾根はつつじの花のトンネルになるくらい咲き誇りますが、ことしは点々と咲く程度。ちょっと期待外れでした。
日曜日とあって銚子の伽藍はにぎわっていました。おっかなびっくりで水流が落ちもむ穴を覗きました。銚子の伽藍でお昼をいただき、沢筋を歩いておとぎの森の笹原の中の小径をゆっくり味わいました。茶ノ木畑峠では銚子の伽藍で出会ったご夫婦と再会後、緩やかな岳人岩の尾根を下りました。「追分」を見て更に下ると「岳人岩」が立っています。大きな縦長の岩ですが、よく見ると基部が浮いているようです。
岳人岩のあるこの尾根は歩き易く、あまり痩せたところもなく危険の少ない尾根です。ただ、つつじが峰通りの尾根もそうですが、斜面崩壊箇所が何か所かあり、登山道がぎりぎり通過するところや、完全に浮いているところもあるので踏み抜きには注意です。また、稜線はともかく、尾根筋は道標が整備されているとは言えません。
今年は山つつじの花が少なく残念でしたが、それでも新緑の中の濃いサーモンピンクの花は愛らしく心なごむものがあります。
群馬県前橋市 赤城山南面 不動大滝の駐車場からつつじが峰通りで銚子の伽藍
おとぎの森を経由して茶ノ木畑峠、岳人岩の尾根で大猿山乃家
緑実線:地図上で入力した歩行予定ルートのトラック
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
不動大滝の駐車場 9:21
つつじが峰通り西登山口 9:39
大猿山乃家からの登山道合流点 9:57
銚子の伽藍Vキレットが見える 11:08
さねすり岩 11:39
横引峰(外輪山の稜線) 11:52
銚子の伽藍 12:13 (昼食)
おとぎの森(中央部) 13:04
茶ノ木畑峠 13:34
岳人岩 13:58
大猿川への下降点 14:16
大猿山乃家 15:12
不動大滝の駐車場 16:09
所要時間:6時間50分
総歩行距離:11.7km
不動大滝の観光用駐車場
奥に見えるのは林道(大猿山乃家に通じる)と不動大滝の案内板
林道を大猿山の家方面にしばらく歩くとつつじが峰通りの西登山口がある。
(もっと大猿山乃家に近い方に東登山口もある)
ミヤコザサに覆われた美しい尾根
新緑の中に山つつじが咲く
山つつじ
今年は不作のようです
1280mのピークを過ぎた辺りから銚子の伽藍のあるV字キレットを望む
さねすり岩の太田蜀山人句碑
「さねすりの岩をまたいで紅つつじ ふもとの茶屋のたぼのゆもじか」
たぼ:若い女性の俗称
ゆもじ:女性下着の襦袢
銚子の伽藍
沢の水が小さな穴に吸い込まれている
人気スポットらしく、人が多い
おとぎの森
平坦な地形に小径が続く
茶ノ木畑峠
ここから岳人岩の尾根を下る
岳人岩
縦長の大きい岩だが、基部が浮いているように見える
大猿山乃家付近に降りてきた
きれいな公園風のところ
近くに管理棟やトイレがある
おいしい水もある
(雅熊)