黒滝山 山の緑に隠された古き寺と岩
投稿日 2007年06月02日
先日、西上州の黒滝山(くろたきさん)標高870mに登ってきました。西上州の山にはほとんど登りましたが、この黒滝山は最後まで気になっていました。下仁田の町から南牧村に入り、細い山道を走ると、こんなところにと思うような山の中に、ひっそりとたたずむお寺があります。黄檗(おうばく)宗黒滝山不動寺という、お不動さんのお寺です。以前三ツ岩岳に登った帰りに寄ったことがあるのですが、この日も、ここの気さくなご住職にお会いすることができ、宿坊の玄関先で座り込んでのお話に時を忘れてしまいました。さて、この黒滝山はどうやって登るのかというと、不動寺の駐車場に車を置かせていただき、ぐるっと周回コースをとるのが一般的でしょう。不動寺->馬の背->観音岩->九十九谷->上底瀬->不動寺というコースです。このブログは登山案内ではないので、詳しいコース説明は地図や案内書に任せるとして、ここでは、この山が岩山たる証拠をお話します。まず、不動寺からすぐの馬の背ですが、幅1mほどの左右絶壁です。ここは手すりやハシゴがかけられており、そんなに恐怖感はありませんが、それでも早く通過してしまいたいと思ってしまうのは私だけでしょうか。ほぼ垂直のハシゴも楽しめます。この岩の綱渡りは、隣の大屋山から見ることができます。じっと待っていたら、そのうち誰かが綱渡り?をする光景が見られます。観音岩はその名のとおり、観音様の祭られた岩の小ピークで、360度の展望です。標高はあまり高くないので、それほど遠くまで見通せる展望ではありませんが、西上州の小ピークには、これまで登った岩峰を確認しながら指折り数える楽しみを与えてくれます。九十九谷(くじゅうくたに、またはつくもたに)は、谷というよりは浸食された岸壁のひだという感じです。思っていたよりこじんまりとしていますが、最奥の上底瀬の村に、屏風のように迫っています。九十九谷は、上部の登山道から覗き込むことができますが、全体を下から見るには、上底瀬の道を少し歩き、一段上にある民家のあたりまで行って眺めることをお勧めします。古き寺のたたずまい、岩と緑、そして石仏たち。山深き里の人々の暮らしなど、立ち去りがたい思いで車に戻り、あぁ来てよかったとつぶやきました。写真は、馬の背からの不動寺と、馬の背の様子です。
(熊五郎)