巡礼古道で粥新田峠から三沢へ

2022年03月09日 曇りときどき晴れ 3名

投稿日 2022年03月10日​

昔々、秩父の札所巡礼がはやっていた頃、江戸方面から秩父に入るための主な道が3本ありました。「熊谷みち」「川越みち」「吾野みち」です。「熊谷みち」は熊谷宿から寄居を経て、釜伏峠を越えて秩父の三沢に入る道。「川越みち」は川越から小川町辺りを経て、粥新田峠(かいにたとうげ)を越えて三沢に入る道。「吾野みち」は飯能から入って正丸峠を越えて、秩父の横瀬辺りに入る道です。

今回は巡礼古道「川越みち」を辿って三沢に入ってみようという目論見です。ただし、古道は今では林道などで寸断され消えているところがほとんどです。「川越みち」も例外ではありません。しかも長い巡礼道ですからとてもすべてを踏破できません。今回歩いたのは、槻川(つきがわ)の中ほどにある橋場(はしば)から粥新田峠を越えて三沢に降りるまでの約6.4kmです。その中でも、古道とわかるのは、全部でも2kmほどでしょうか。傍らの古い石標だけが明確な証人になっています。今回は愛車を小川町駅前に置いたので、三沢からさらに美ノ山を越えて秩父鉄道の親鼻駅に下り、電車を乗り継いで小川町に戻りました。

​小川町は冬季の低山ハイクでよく通過する町ですが、今回は駅前からバスを利用して、槻川の橋場に向かいました。橋場のバス停の前は槻川にかかる橋ですが、その傍らに朽ちた古い道標が置かれています。粥仁田峠(ここでは粥新田峠とします)とあります。橋を渡ってしばらく車道を歩くと、上から伸びてきた尾根に庚申塔があって、古道の入口を示しています。ほんの10分ほどで車道に出ます。

​再び車道を行くと民家の前から奥に道が入っています。二本木峠へ向かう林道を分けるとすぐに粥新田峠です。東屋で休憩後林道を再び歩き始め、牧草地を見ながらくねくねとした牧草地管理道をとぼとぼ下ります。道は車が通れるもののあまり状態はよくなく、一部は砂利です。ひっそりたたずむ榛名神社で手を合わせ、さらに下ると石標が右の藪中の径を示しています。

​広めの登山道のような道を下って行くとやがて民家の屋根が見えて、三沢に降り立ちます。三沢は静かな山里ですが、昔は秩父銘仙の機織りが盛んだったようです。坂本村(今の東秩父村の一部)などから女工さんが峠を越えて出稼ぎに来ていたと聞きます。

​すぐ上の常楽寺から関東ふれあいの道で二十三夜寺へ向かいました。二十三夜寺は赤い屋根の印象的な古刹です。一角で昼食をいただきました。寺の本堂の横から美ノ山へ登りました。一旦下った体には、美ノ山山頂までの急登はこたえました。美ノ山山頂は今年二度目。前回行かなかった蓑山神社でオオカミの狛犬を見てご満悦。万福寺に下って親鼻駅へ。電車で寄居から小川町駅に戻りました。お風呂は玉川温泉にしました。

橋場BSから部分的に残る巡礼古道「川越みち」で粥新田峠を越えて三沢へ
三沢の二十三夜寺に寄って美ノ山へ。
関東ふれあいの道で親鼻へ下山
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
橋場BS 9:02
粥新田峠 10:00
榛名神社 10:49
三沢 11:13
二十三夜寺 11:38 (昼食)
美ノ山山頂 13:25
蓑山神社 13:52
親鼻駅 15:06

​所要時間:6時間
総歩行距離:15.1km​
 

東武東上線 小川町駅前
イーグルバスの乗降場

橋場BS前の橋の傍らにある粥新田峠(粥仁田峠)を示す古標

粥新田峠
東屋がある
ここから大霧山は近い

粥新田峠から牧草地管理道を下る
途中から大霧山を眺める

途中から巡礼古道に入る

三沢の巡礼古道入口

関東ふれあいの道途中から大霧山と下って来た尾根を眺める

二十三夜寺
本堂も赤い屋根

美ノ山山頂から東を眺める
右の高い山は大霧山
その左の低いところが粥新田峠

蓑山神社
狛犬はオオカミ
手前に急角度の古い石段がある
その石段が最も古そう!

​(雅熊)

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