西吾野から花桐入で伊豆ヶ岳

2021年04月01日 曇りのち晴れ 単独

投稿日 2021年04月02日​

奥武蔵を流れる高麗川(こまがわ)の支流に北川と南川があります。いずれも西武秩父線の西吾野駅の近くで分岐する支流です。北川は奥武蔵グリーンラインの走る稜線のブナ峠の下あたりから流れ出て、南面を撫でて流れ下りますが、南川はこの当たりの名峰「伊豆ヶ岳」(いづがたけ)に源があり、その北面を流れ下ります。当然ながらそれぞれにはさらに枝沢の名前があるのですが、今回はその南川の花桐入(あなきりいり)に沿ってかつてあった旧道を辿って、伊豆ヶ岳に登ってみました。

伊豆ヶ岳は、奥武蔵というとこの山を思い浮かべるほどの有名な山で、固いチャートで構成されたこの山は周囲と比べてひときわ高く、チャートの山らしい岩場を秘めています。一般の登山ルートは吾野側の正丸(しょうまる)から登るルートや、山伏峠(やまぶしとうげ)側から登るルート、子ノ権現(ねのごんげん)から稜線伝いに天目指峠(あまめざすとうげ)を経て伊豆ヶ岳へ北上するルート。はたまた、横瀬の二子山から稜線伝いに伊豆ヶ岳に至るルートなど様々です。

​そんな中で西吾野から沢沿いに登る古い道があったようです。隣の正丸から登るルートよりは距離がありますし、沢沿いということもあって荒れやすい。近年忘れ去られたのでしょうか。南川の上流部である花桐入をほぼ忠実に詰めて行き、最後は伊豆ヶ岳の山頂直下に出る道です。

今回その旧道を使って伊豆ヶ岳に登り、下りも、これまた忘れ去られた感のある久通(くずう)川沿いの道を使って西吾野に戻りました。花桐入沿いの旧道は沢筋ということもあって不明瞭なところもありますが、忠実に沢床を辿っている点で、高巻きなどの危険が無く、チャートの山に特有の険悪な滝などは無いので比較的安全に通過できます。ただし、道標は皆無です。赤やピンクのテープ、ところどころに積まれたケルン(小さな石積)が目印となります。道は本流を行き、最後の急斜面を詰めれば山頂付近に出ますが、間違えるとすれば枝沢への迷い込みです。

​この旧道の最後は源頭部の斜面を左寄りに登って、一般道の男坂と女坂が合する地点に出るようですが、今回は右の明るい尾根筋を目指して登ってしまったため、一度小尾根に乗り、そこから急傾斜を灌木につかまりながら登って(岩場のすぐ上あたりで)一般道に合流しました。全体的には沢筋の不明瞭な踏み跡を外さない。枝沢に迷い込まない。源頭部の急斜面に対応できれば、さほど分かりにくい道でもなく、危険個所もありません。

​下山に使った久通川沿いの道は踏み跡は明瞭ですが、こちらも途中道標は皆無です。ただ沢沿いに下るので迷うことはないでしょう。最後に鉄板の橋を渡って林道終点に出ますが、林道は台風の大雨の影響でしょうか、激しく損傷していますので、注意が必要です。下って行き、歩きやすくなって左岩壁に洞窟を見ると、民家が現れます。上久通、下久通の山里をのんびり歩いて、小橋を渡って対岸の細い道に回り込むと、森坂峠への踏み跡が茂みの中に入っています。峠にひと登りで着くと国道299号や西武秩父線の音が聞こえてきます。

​この時季の低山は新芽が噴出したばかりでまさに山笑う状態。そこに山村の桜が点々と咲いて桃源郷のような雰囲気になっています。斜面にはヤマブキの花が枝をたれ、その下の土手ではタチイツボスミレや、ミヤマキケマン、ハシリドコロなどが咲いていました。

埼玉県飯能市 西吾野駅から花桐入沿いの旧道で伊豆ヶ岳
上久通、下久通、森坂峠経由で西吾野駅に戻る​
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
西吾野駅 9:55
林道花桐線入り口 10:26
諏訪神社 10:39
山道入り口 10:53
小尾根に乗る 12:07
一般道と合流 12:15
伊豆ヶ岳山頂 12:30 (昼食)
西吾野への下降点 12:50
林道終点に降り立つ 13:23
子ノ権現入り口 14:05
坂森峠 14:28
西吾野駅 14:55

​所要時間:5時間
総歩行距離:12.2km

西吾野駅から国道299号を30分ほどで分岐に着く
ここから南川に沿った舗装道に入る

​この分岐を右の花桐入沿いの道(花桐林道)に入る。
電柱傍、​中央の石碑に「諏訪神社入口」とある
左は久通方面

諏訪神社
林道の脇に静かなたたずまいの神社がある
獅子舞で有名の様だが

林道の最奥の一軒家を過ぎると間もなく山道になる

花桐入を忠実に詰めて行く
小さな枝沢があるが、あくまで本流を行く

最奥の枝沢には大きな岩が転がっている
そこには行かず右に入る

いよいよ源頭部の詰め かなりの急斜面
この当たりから本来は左の暗い樹林の方へ進路を変えるのが正解だが、
右上の明るい小尾根に向かって登ってしまった

小尾根に乗った
正丸峠方面が見えているハズ

男坂(正面)と女坂(左)の合流点
本来なら旧道を詰めれば右のロープのところに出るはず
(現在は旧道に入り込まないようにロープがしてある)

​伊豆ヶ岳山頂 標高851m

伊豆ヶ岳山頂から高畑山側に少し下り、鞍部の辺りに古い道標がある
ここから西吾野に下れることを示している

西吾野に向けて下っていく
久通川の上流部に沿って踏み跡が続く

下久通の観音堂と桜

森坂峠
本陣山とイモリ山の中間点

​(雅熊)

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