女房と蓼科山

2018年10月25日 晴れ 2名

投稿日 2018年11月27日

​20日以降晴れ間が多くなってきたようだ。満月の25日、妻を誘って長野県北佐久群立科町と茅野市(ちのし)にまたがる蓼科山(たてしなやま)に登った。

蓼科山は八ヶ岳連峰の北のはずれにあるほぼ独峰と言ってもよい山で、前方後円墳を横から見たような形から八ヶ岳や秩父の山々に登った際に簡単に同定できる山だ。私はその形からエジプトのスフィンクスに似ていると思っている。たいがいは南か東側から眺めることが多いが、円錐丘とそれを支えるような台形部(前掛山)が東側に広がっているから、スフィンクスのように見えるのだ。

北横岳付近(からの蓼科山南面(2011年7月撮影)
円錐丘の山頂部が露岩であることがわかる

標高は2530.74m。一等三角点を持ち、日本百名山のひとつである。深田久弥は日本百名山で63番目に蓼科山をとり上げている。その中で彼は麓の大門峠から蓼科牧場へ行き、牧場の事務所で泊めてもらって翌朝山頂に向かったとしている。御泉水(ごせんすい)を通過したとあるから、おそらく今回我々がとったルートを登ったと思われる。

「大きな岩が累々と散乱している所を攀じ登ると山頂の一端に取り付く。頂上は一風変わっている。大きな岩がごろごろころがっているだけの円形の広地で、中央に石の祠がある。秋風に吹かれながら、石ばかりの頂上で一時間ばかり孤独を味わった。帰りは反対側の諏訪側におりて、蓼科高原の親湯温泉に出た。(一部略)」

としている。

深田久弥が書いているように、山頂部もそうであるが、この山全体がごろごろした岩で構成されているようで、森林限界を越えた山頂部は特に岩のみの世界だ。山頂は広いが岩をぴょんぴょん飛んで歩かなければならないような岩原で、中央部が少し窪んでいて、その真ん中に小さな社がある。その北側に方位盤と思われるようなものもある。おそらくそこが最も展望のよいところなのだろう。三角点は南の端(八ヶ岳より)にある。登山道を辿れば三角点の傍を通過する。

今回利用した御泉水側の七合目一の鳥居から将軍平への登山道は岩がごろごろしているが、広くて分かりやすい。上半分はやや急なガレ場を登るようになっている。周りはシラビの苔蒸した樹林だ。将軍平には蓼科山荘があるが無人だったようだ。将軍平からは大きな岩の急斜面となる。登りはよいが下りは確実なスタンスを求めながらゆっくり降りたい。道はやがて南側に回り込むようになり蓼科山頂ヒュッテの脇に出る。この小屋もすでに無人の様だった。山頂の岩原は広くガスが出たりして方向を失うと危ない。山頂の岩原に出ると風を遮るものは何もない。風雨の場合は要注意だ。

蓼科山七合目一の鳥居から将軍平、山頂往復
赤実線: 歩行GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

通過時刻:
一の鳥居駐車場 9:22
天狗の露地 10:42
将軍平(蓼科山荘) 11:32
蓼科山頂ヒュッテ 12:39
蓼科山山頂(一等三角点) 12:45 (昼食) 13:10
将軍平(蓼科山荘) 14:06
天狗の露地 14:56
馬返し 15:37
一の鳥居 15:49

所要時間:6時間27分
総歩行距離:7.0km

関越道、上信越道を走って佐久から中部横断道に入ります。佐久南ICで降りて国道142号を走って望月から立科町に入り南下して、女神湖のホテル前から御泉水自然園の林道に入って唐松の中を走ると一の鳥居の駐車場です。

蓼科山七合目一の鳥居と駐車場(満車)
もう一つの広い駐車場とトイレがある
鳥居をくぐって将軍平へ

将軍平への道
広く歩きやすい 緑ロープに導かれる

駐車場は二つあって、鳥居の近くの駐車場はすでにいっぱい。手前の広い駐車場はまだまだ余裕がありました。一の鳥居までは100mほどですが、途中にトイレがあります。

一の鳥居をくぐって笹の中の広い道を行きます。小岩がごろごろした道ですが傾斜は緩く広いため歩きやすい道です。やがて笹は無くなりシラビの苔蒸した樹林となります。小岩を積み重ねた大きなケルンをみて更に登ると天狗の露地です。天狗の露地は少し奥へ進むと岩の上から女神湖などの北側の展望が得られます。また山頂付近が見えます。

天狗の露地から女神湖

道に戻って再び登ると道はガレ状となり傾斜が急になってきます。急斜面をしばらく登ると将軍平の蓼科山荘の前の広場に出ます。この将軍平は十字路になっており、東側が大河原峠、南側が天祥寺原、西側が蓼科山山頂です。小屋はすでに無人になっているようです。有料のバイオトイレがあります。

将軍平の蓼科山荘
蓼科山山頂が見える

山頂に近い露岩の道
大きな岩がゴロゴロしている
上の真ん中に蓼科山荘が小さく見える

蓼科山山頂から振り返る
蓼科山山頂ヒュッテ
遠くに奥秩父の山々

将軍平から山頂までは急な露岩の道です。大きな岩に足を掛けながら登って行きます。最初はシラビの樹林ですが、カンバやハイマツとなり、やがて岩のみの世界になります。傾斜が緩みやや左側に巻くように進むと蓼科山山頂ヒュッテが見えてきます。三角点は小屋から80mほど先です。

山頂部の岩原
中央部が少し窪んでおり、真ん中に社がある
北側に展望台(方位盤)がある

蓼科山山頂一等三角点
点名 蓼科山 標高 2530.72m

蓼科山山頂から北横岳とその背後に八ヶ岳連峰(雲の中)

一等三角点 点名 蓼科山 標高 2530.72mの標石が、コンクリートの土台の上に立っていますが、下が岩で地面は見えず固定されているかどうかはわかりません。三角点の近くで昼食をとり、八ヶ岳(雲が巻いていたので一瞬しか見えず)や、目の前の北横岳、大河原峠や天祥寺原、遠く金峰山や奥秩父の山々、両神山、荒船山などを眺めながらひと時を過ごしました。これで妻の最高所記録が2530mになりました。本人は大変ご満悦のご様子。

下山は往路を戻りました。御泉水自然園の下のスキー場のリフトの駅にあるホテル(池の平白樺高原ホテル)でお風呂(600円)を借り、さっぱりしたあと帰路につきました。

(熊五郎)

コメント(4)

  • 夫唱婦随でちゃんとついて行かれるんですね。いいなあ。空と雲が素晴らしいですね。 (agewisdom) 2018/10/27(土) 午後 2:31
  • > agewisdomさん 女房の足は昨日から激痛です。気の毒なくらいです。(熊五郎) 2018/10/27(土) 午後 4:42
  • あらまあ、亭主の好きな赤烏帽子も大変ですね。御大事に。 (agewisdom) 2018/10/27(土) 午後 6:01
  • > agewisdomさん いえいえ、女房は冷え症なので筋肉増やしたいと申しており、それに協力しております。(熊五郎) 2018/10/27(土) 午後 6:07

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