中央アルプス 北御所から木曽駒ケ岳 宝剣岳
2018年8月3-4日 晴れ 3名
投稿日 2018年08月08日
今年の夏山は中央アルプスにしました。
中央アルプスが国立公園にも国定公園にも指定されていないのは意外ですが、それにもかかわらず、今も貴重な自然が残されていることは賞賛すべきと思います。40年ほども前に登ったときと変わらず今でも健在な自然。そこには昔と変わらない山々がそびえ、這松の緑に覆われた山肌と青い空、キラキラと輝く沢の流れと風に揺れる花々がありました。登山者はそこに付けられた細い径を、様々な色の点となって動いています。けっして花を踏まずに。すばらしい日本人の登山マナーと山を守る心!
そんな中央アルプスは三大アルプスの中では規模は小さく、ほぼ一本の稜線が南北に連なるだけです。稜線を挟んで西側の木曽谷はf深く狭く、木曽川の流れに沿ってJR中央線が走り、中山道の往来で古くから宿場町が開けています。御嶽を背後にこの辺りが木曽駒(馬)や木曽の杉を育てた土地でもあります。
一方、東側の伊那谷は広く、南アルプスとに挟まれた穀倉地帯。中央アルプスから流れ出た幾筋かの川は田切(たぎり)と呼ばれ、田畑の間を流れて天竜川に注ぎます。稜線の東面に現れる雪形の島田娘は田植えの目印だったのでしょう。
いずれの谷の住人にとっても、林業や農耕には馬が欠かせませんから、雄大な山を馬に見立てることは自然。木曽側から木曽駒ケ岳と呼ばれている最高峰は、伊那谷からは西駒ケ岳と呼ばれているようです。眺める土地が違えば呼称が違うのはよくあることです。中央アルプスには南駒ケ岳がありますし、おそらく東駒ケ岳は南アルプスの甲斐駒ケ岳でありましょう。(では北駒ケ岳はどれかと聞かれれば、困ってしまいますが...)
中央アルプス 北御所登山口から伊那前岳、木曽駒ケ岳
宝剣岳経由で千畳敷 ロープウェイ利用で下山
赤実線:歩行GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
伊那ICは駒ヶ根ICの誤りです
菅ノ台駐車場 6:00(臨時バス)
バスで北御所登山口 6:32
蛇腹沢登山口 7:34
清水平 8:32 - 8:43
うどんや峠(五合目) 9:10 - 9:17
一丁ヶ池(六合目) 10:06
小屋場 10:28
船窪 11:15
七合目 11:18
八合目 12:34
伊那前岳 12:49 - 12:58
宝剣山荘 13:22
中岳 13:47
頂上山荘(泊) 13:57
頂上山荘 6:09
木曽駒ケ岳山頂 6:25 - 6:37
宝剣山荘 7:14
宝剣岳 7:34
三ノ沢岳分岐 8:10
千畳敷下降点 8:28
ロープウェイ千畳敷駅 8:58 - 9:22
ロープウェイしらび平駅(臨時バス) 9:32
バスで菅ノ台駐車場
歩行所要時間 1日目:7時間30分
歩行所要時間 2日目:3時間30分
歩行距離 1日目:約10.0Km
歩行距離 2日目:約3.4Km
中央高速の駒ケ根ICで降りて、県道75号を少し走ると右側に大きな駐車場とバス停が見えてきます。菅ノ台(すがのだい)バスセンターです。8月3日の0時過ぎ。後払い600円の駐車場は、まだ車はまばらです。トイレを済ませて仮眠。5時ごろ身支度を整えてバス停へ。すでに列ができています。菅ノ台バスセンターはJR駒ヶ根駅始発の伊那バスの途中駅ですが、シーズン中は菅ノ台始発の臨時バスが出ます。そうでないと、この大きな駐車場の客をさばけないでしょう。
菅の台バスセンターで臨時バスを待つ
6:00 1台目の臨時バスが出発。我々は途中で降りるので前の方に乗せられました。補助席を含め満員。約30分で北御所のバス停に着きました。降りたのは我々3人と年配の女性一人。この感じでは中央アルプスに下から登る人はほんのわずか。伊那側では、ほとんどの人たちはロープウェイを利用するようです。この日もこの後のバスから降りた男性一人を含め、北御所から登った者は5人と、居てもあと数名でしょう。それに対してロープウェイ利用は何百人でしょうか。
北御所登山口
バスを降りたのは我々三人と女性一人
蛇腹沢登山口
北御所登山口から林道を1時間ほど歩いた所
ここから山道が始まる
北御所登山口にはゲートがあり一般車は入れません。わだちのある砂利の林道が奥に延びています。長そうな割りには約1時間で蛇腹沢(じゃばらさわ)登山口に到着。登山口手前で沢を渡るので水を補給できます。蛇腹沢登山口からは本格的な山道となります。道は刈り払いされており、道の付け方がよいのか登りやすく、時間のわりにはぐんぐん高度を上げ、疲れも少なく快適です。1時間で清水平。この小平地には水が流れており。冷たくおいしい水が味わえます。さらに30分頑張るとうどんや峠です。
清水平に向かう登山道
登山道はよく整備されており登りやすい
清水平の水場
冷たくおいしい水が補給できる
うどんや峠
ここで尾根に乗る
反対側は伊勢滝への下降路
北御所登山口の標高は1400m。うどんや峠(五合目)は約2200mですので、800m登って来たことになります。風化した花こう岩の峠はまだ樹林の中ですが、南側がガレていますので落ちないように要注意です。樹間から桧尾岳(ひのきおだけ)が見えていました。うどんや峠からは反対側の伊勢滝方面に道がありますが、左の尾根上を伊那前岳に向かいます。
七合目付近から馬の背方面を眺める
この辺りはすでに森林限界より上(這松帯)
伊那前岳手前からの千畳敷
ロープウェイの千畳敷駅が見える
伊那前岳 三等三角点 前岳 2883.63m
馬の背方面をバックに
シラビソの樹林を登って行くとやがて小さな池があります。一丁ヶ池(六合目)です。それほど急登でもなく、高い段差も無い歩きやすい尾根道を登って行くと小屋場を通過。大きな岩のある七合目(ここで昼食)。ここまで来ると樹木は低くなり、やがてハイマツ、ダケカンバ、ナナカマドが混ざった低木帯となり、すこし窪んだ船窪のすぐ上に「五蘊皆空」の石碑と小さな社を見ます。ここが八合目です。ハイマツの中に大きな岩が混じる道を喘ぎあえぎ登ると少し傾斜が緩んで伊那前岳のピークが見えてきます。
伊那前岳の手前で、初めて千畳敷が見えます。ロープウェイ駅の赤い建屋が見えています。この辺りは完全に森林限界の上で、ハイマツと高山植物だけの世界。展望はほしいままです。伊那前岳に立つと宝剣岳や木曽駒ケ岳方面、馬の背、将棋頭山、濃ヶ池などが見えます。伊那前岳には三等三角点 前岳 2883.63mがあります。
宝剣山荘(左)と天狗小屋
今回宿泊した駒ケ岳頂上山荘
見えないが右側にテント場がある
左上は木曽駒ケ岳山頂
伊那前岳からは左右ハイマツに覆われた岩稜を飛ばします。やがて宝剣山荘が近づいて、ロープウェイで登って来た人たちと合流します。天狗山荘の前を通過して中岳に登り(この登りが意外と辛い)、向こう側を下れば駒ケ岳頂上山荘とテント場が見えてきます。着替えて食事までの時間、生ビール約1L 800円でささやかな宴会。すきっ腹に効いたのか、どっと疲れが出て脱水症状。夕飯も満足に食べられずに就寝。
木曽駒ケ岳山頂
一等三角点 信駒ケ岳 標高 2956.14m
木曽駒ケ岳神社奥宮と遠くに御岳
木曽駒ケ岳山頂からの空木岳(左)、南駒ケ岳
三ノ沢岳(手前右)
左端に宝剣岳の一部
小屋の寝心地が快適だったのでよく寝られました。翌朝は体調が戻り、天気も上々ですが、無理は禁物と、予定していた空木岳への縦走は中止。予約していた木曽殿山荘もキャンセル。空身で木曽駒ケ岳の山頂を往復して、宝剣岳を越え千畳敷に降りロープウェイで下山することにしました。
宝剣岳にて
宝剣岳からの下りの岩場
中央に平らな極楽平が見える
遠くに空木岳など
三ノ沢岳分岐からの三ノ沢岳
木曽駒ケ岳(伊那側からは西駒ケ岳)の山頂には社が二基あり、一方が古い木曽駒ケ岳神社。もう一方は伊那駒ケ岳神社の奥宮です。木曽駒ケ岳神社の横に小さな小屋があり、お年寄りが一人で番をしていました。木曽駒ケ岳神社奥宮の御朱印をいただきました。三角点は一等三角点の立派な標石です。点名は信駒ケ岳 標高 2956.14mです。方位盤もありますが、ほとんど判読できませんでした。もちろん360度の展望で、御岳のほか南アルプスも見えていましたが、細かくは同定できませんでした。北アルプスは残念ながら見えませんでした。南には行く予定だった空木岳(うつぎだけ)や南駒ケ岳、桧尾岳、三ノ沢岳(さんのさわだけ)などが並んでいました。
極楽平付近から伊那前岳の稜線
千畳敷カール
極楽平からロープウェイ駅への道にて
左上に宝剣岳
山頂小屋に戻って荷物を拾い、中岳のトラバース道を宝剣山荘側に回って、宝剣岳に取り付きました。ところどころクサリのかかる岩場です。あまり険悪な場所はありません。クサリもほとんどつかわなくても登れるほどです。登りはあっけなく宝剣岳の山頂に着きますが、極楽平方面へ下るほうが要注意です。千畳敷から登ってくる人も来るので、譲り合って通過する必要がありますし、下りの急なクサリ場です。
三ノ沢岳への分岐から真近に勇壮な姿の三ノ沢岳を見て、極楽平から千畳敷に向けて下ります。お花畑の中を下り、信州駒ケ岳神社に参拝。無事のお礼をしてロープウェイの駅へ。千畳敷の眺めを楽しみ、ロープウェイに乗り込みました。約8分で下のしらび駅に到着。臨時バスで菅の台に戻りました。
ロープウェイの千畳敷駅とホテル
背後は宝剣岳
電子基準点はこの左下に立っている
なお、千畳敷のロープウェイ駅のすぐ下に電子基準点(木曽駒ケ岳 2629.563m)がありますが、ロープウェイの駅は標高2612mとなっています。おもしろいですね。精度はもちろん電子基準点に軍配が上がると思いますが。
空木岳には日を改めて挑戦したいと思います。
(熊五郎)
コメント(2)
- ロープウエイで行ったことはあるんですけど・・・。何しろ夫が伊那の疎開農家だったもので。今は継ぐものなく家さえも区画整理でなくなりましたけどね。毎日眺めているだけでもなんだからと連れて行ってもらいました。こんなに整備されていなくてロープウエイができたてでした。 (agewisdom) 2018/8/8(水) 午後 11:57
- > agewisdomさん ご主人は中央アルプスの水でお育ちになったんですね。毎日山を眺めていたとはうらやましいです。千畳敷は駒ヶ根辺りからも見えますね。(熊五郎) 2018/8/9(木) 午前 8:46