ミヤマシロチョウ
投稿日 2019年08月05日
烏帽子岳と湯の丸山の間の鞍部にあるミヤマシロチョウ保護の看板
2019年08月03日、長野県東御市と群馬県吾妻村にまたがる浅間山とその西に広がる火山群。その一角である烏帽子岳と湯ノ丸山に登りました。
標高は2000前後。唐松を主体とした針葉樹林と、ダケカンバやナナカマドなどの高山性広葉樹林に覆われる山域です。野鳥はこの時季、ウグイスが主体でした。同じくらいの標高でもアオモリトドマツやシラカバ主体の尾瀬ではコマドリやメボソムシクイが多く、より高山の雰囲気ですが、ここでは植生の違いからか中低山の野鳥が多いようです。
驚くべきはその植生の豊かなところで、特に烏帽子岳の北斜面や小烏帽子から烏帽子岳に至る標高2000m前後の露岩交じりの稜線は花園で、そこには数種類のチョウも飛び交っていました。
地図の緑の線で囲んだ領域は登山道から見る限り高山植物とチョウの飛来が多かったところです。赤実線は今回辿った登山道のGPS軌跡です。ハクサンフウロ、アザミ、ナデシコ、マツムシソウなど20から30種類の花が咲いており、そこにミヤマシロチョウが乱舞しています。
絶滅危惧種「ミヤマシロチョウ」
鞍部にあるミヤマシロチョウ保護の説明看板によると、このチョウは生息域がかなり限定されているようです。特に北アルプスの上高地では、このチョウの食樹であるヒロハヘビノボラズを伐採したために絶滅してしまったと、現地で逢ったチョウの撮影に来ていた方から聞きました。
この辺りでは色の濃いチョウが多い中で白く大きめのこのチョウは目立つためすぐに分かります。あまり人を警戒している様子はなく、アザミなどにとまって一生懸命蜜を吸っています。胸近くが一部黄色く、白地の羽には濃い黒のスジが入っています。モンシロチョウのような白さとは違い、黒いスジが透明感のある白さをかもし出しているように感じます。大事にしたい山の妖精です。
(熊五郎)