苔にとっては針葉樹が快適?
投稿日 2024年10月28日
八ヶ岳 みどり池付近にて
絶好の環境ですくすくという感じの苔
上から落ち葉が落ちてくるはずだが、ほとんど落ち葉は見当たらない
山を歩いていると苔(こけ)むした樹林は一般的によく見られます。奥秩父や八ヶ岳など。特に北八ヶ岳は苔の樹林で有名です。林床が苔で覆われた針葉樹林や落葉広葉樹林はいたるところにあります。
苔の種類は様々で、その種類は多く、ここでは特定の苔をとり上げるわけではないので、なんでもよいのですが、おそらく高度によって、または環境によってすみ分けているに違いありません。
その苔ですが、登山の最中、あまり苔に注意して歩くわけではないのですが、ある疑問が浮かびます。
「苔にとっては落ち葉は大敵だろうなぁ」と。
針葉樹であっても、落葉広葉樹であっても古くなった葉を落とします。木の根元は落ち葉だらけです。それらの落ち葉が堆積して腐葉土になり、豊かな森を形成しています。
針葉樹のアオモリトドマツやトウヒの樹林
針葉樹林でも落ち葉は積もる。枯れ枝なども落ちている
苔は落ち葉の少ない所。斜面や岩の表面などでたくましく生きている
ところで、林床に広がる苔にとっては、上から落ちてくる落ち葉を避けることはできません。一旦落ち葉に覆われて、それが動かなければ、また落ち葉が虫や菌などに食われるなどして無くならなければ、普通は長く地面の(苔の)上に覆いかぶさり、ただでさえ少ない日光を遮断してしまいます。苔も光合成をしているので、落ち葉に覆われた苔は徐々に弱り、最後は姿を消すでしょう。
とくに落葉広葉樹林では深刻と思われます。風などで吹き飛ばされれば幸いですが、圧雪されたり、濡れたりするとぺったり貼りつき、なかなか動きません。そうなると苔は枯死するしかないでしょう。
いっぽう、針葉樹林の場合は、葉が針のように細いので苔を覆ってしまうことが少なく、また苔の隙間などに潜り込んで、いつまでも苔を覆うようなことが少ないようです。苔にとっては幸いです。
広葉樹の落ち葉は風で動きやすので、窪みや岩の間に吹き溜まります。また、針葉樹にしても広葉樹にしても岩の上にはあまり積もりません。広くほぼ全面に苔が覆ってみごとな苔床(私の造語)を形成しいるのを見るのは針葉樹です。
そうのように見てくると面白いことがわかります。
〇針葉樹林の苔のほうが広く均一に分布していることが多い。
〇岩の上や倒木の上の苔は一般的に生えそろっている。
〇落ち葉の吹き溜まりには苔は無い。とくに広葉樹林では目立つ。
苔の身になってみれば、生育する土壌を作ってくれるのは落ち葉が腐った腐葉土なので、落ち葉は欠かせない存在でしょう。ところが落ち葉に覆われれば枯死してしまう。そんなジレンマをかかえながら、力強く生きているのが苔なのかと思えてきます。
(雅熊)