八ヶ岳 観音平から青年小屋テント泊で権現岳、旭岳

2025年07月22 - 23日 晴れ時々曇り 単独

投稿日 2025年07月24日

長野県北杜市 観音平から青年小屋 テント泊し翌日権現岳、旭岳往復
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
一日目 観音平駐車場 6:28
雲海 7:34
押手川 8:44
青年小屋 テントサイト 10:23
乙女の水往復(10分)テント設営、昼食 10:49 夕食 18:00
二日目 青年小屋 テントサイト 5:03
ノロシバ 5:46
ギボシ 6:34
権現小屋 6:51
源治梯子 7:07
旭岳 7:23
権現岳 7:59
ノロシバ 8:40
青年小屋 9:30 (テント撤収)
観音平駐車場 12:07

総歩行距離 13.2km 総歩行時間 11.0時間
一日目 4,8km 4.0時間
二日目 8.4km 7.0時間
総累積標高+1385m 一日目 +852m 二日目 +533m

もう45年も前の若かりし頃縦走した八ヶ岳南部。今回は、その頃神戸に住んでいた私のところに沖縄から八ヶ岳に登りたいと訪ねてきた彼女とともに縦走したルートの一部を辿る思い出登山です。そのときは稲子湯から入って主稜線を南下しましたが、今回はそれとは逆に、観音平から青年小屋、権現岳に寄って、旭岳まで往復することにしました。(編笠山には登っていません) 一日でも可能なルートですが、当時テントを張った青年小屋のテントサイトを使い一泊二日のゆったり山行としました。

自宅を3時に出て観音平に6時半ごろ到着。登山届を出して、笹の林床にカラマツの美しい林を緩やかに登りはじめます。やがてコメツガやシラビソが混ざり、傾斜もややきつくなって雲海に到着。雲海と言っても眺めがよいわけではありませんが、ここから小淵沢へ下る道が分かれており、45年前はここから小淵沢駅までひたすら下ったのです。長かったなぁ......。さらに登ると露岩が増えてきます。押手川は権現岳直登ルートの分岐点ですが、今回は編笠山には登らずトラバース道を青年小屋に向かいました。直登ルートもそうですが、トラバース道もここから露岩が増え、石を飛ぶようにして歩くことが多くなります。あたりはシラビソのうっそうとした樹林です。

やがて左に編笠山の岩海が見えてくると傾斜が緩み、青年小屋が見えてきます。小屋に着いたらさっそくテントの届け出をすませます。遠くで雷が鳴ってるので、手早くテントを張り、雨が降ってくる前に乙女の水を汲みに行きます。乙女の水は歩いて5分程度。水量は豊富です。ひしゃくがありますが、パイプから出ているのでペットボトルなどに直接汲むことも可能です。テントに戻り、小屋の前のベンチで昼食をとっていると、女性二人のパーティーが到着。今晩テントは私一人と思っていたが、テント仲間が増えてよかったと話しかけると、気さくな女性二人は、私のテントの近くに設営し、設営が終わったら西岳(往復2時間弱くらい)に出かけました。戻ってきた彼女たちとしばらく雑談。その後2時間くらい休んで18時に小屋の前で夕食をともにしました。

お仕事の関係か、ご性格かわかりませんが普段かかわらない電気や無線の事に興味を示され、私にいろいろ質問され、私も知っている限りのことをお応えしました。こんなに楽しい時間を過ごせたのも、一泊のゆったり登山だったからでしょうか。現地であり余すほどのたっぷりな時間をゆったり過ごし、野鳥の声を聴きながら夕暮れが進んでゆくのを感じます。ゆっくりと周囲は暗くなり、シェラフにもぐって横になると夜鳴く鳥がキョンキョンキョンと奇妙な声で鳴き始めます。やがてそれも止んで頭上に星空が広がり、明日の行程を考えながら眠りに入りました。

翌朝、晴れ。朝食を済ませ身支度を整えてテントを出たのは5時でした。青年小屋から権現岳に登るのは2006年の登山以来。2004年に他界し、富士を眺めるのが好きだった父の慰霊登山だったのですが、その時は青年小屋から赤岳まで縦走し、キレット小屋にテント泊して、三日目に観音平にもどるというものでした。しかし、今回は旭岳まで往復のゆったり登山です。樹林を抜け森林限界になると下に編笠山と青年小屋。自分のテントが小さく見えます。南アルプスもまったく雲を抱くことなくすっきり見えています。そして遠くに富士。久しぶりに立ったノロシバ。ノロシバ沢源頭の迫力の崩壊地。ガレの急斜面を登って45年前に立ったギボシ。そして今でも変わらずそこにある旭岳。思い出の光景が目の前に展開しました。

権現小屋は今は使われていないようです。小屋のすぐ上の肩から旭岳方面に向かうとすぐに源治梯子が待っています。この梯子は高さ20mほどあるとのことで、一本のまっすぐな梯子です。段数を数えると54段でした。幸い垂直ではなく傾きがあるので怖くはありません。梯子の名前源治は権現小屋や青年小屋の小屋番であった宮沢源治さんが設置した梯子とのことで、源治さんは、青年小屋から西岳へ向かう源治新道にもその名が残されています。

梯子を通過して旭岳への稜線を辿ります。右(東側)は地獄谷、左(西側)は立場川上流部。主稜線の縦走路です。道は旭岳の西側をへつるようについていますが、途中で10mほど登れば、金属パイプの標がある旭岳山頂です。旭岳の山頂から見返すと権現岳のトンガリとギボシ北面もなかなかの眺めです。まだまだ遠い赤岳や阿弥陀岳、その間に横岳の大同心。硫黄岳、遠くに蓼科山。すぐ下にツルネや、見えていないがキレット。阿弥陀岳南稜と青ナギなど、八ヶ岳南部の雄大な景色が展開します。

旭岳からの景色を堪能して源治梯子まで戻ると、ちょうど女性パーティーが下りてくるところでした。お互いの無事と、またどこかの山での再会を願って別れました。私は権現岳に寄って、来た道を戻り、青年小屋のテントを回収して、観音平に戻りました。この日も下界は暑かったようで天気は不安定。観音平にたどり着いたころには雷が鳴り、着替えの最中に雨が降ってきました。12時過ぎでした。

今回出会った女性たちを思い出しつつ、このような余裕のある登山もいいなぁと考えながら帰路につきました。山は45年も前と変わらずにそこにあり、当時の自分の姿を追いながら登ることができます。そして人との出会い。今年もいい夏山となりました。

青年小屋とテントサイト
最初私一人だったが女性2名のパーティーのテントが増え、さらに最終的には5張になった
このテントサイトは予約なしで使える 1張1名 1500円 バイオトイレ無料
水場は歩いて5分ほどの乙女の水(水量豊富)

青年小屋から見上げる、左からノロシバ、ギボシ、権現岳
木の近くに権現小屋が見えている
青年小屋と権現岳の標高差は約340m

ギボシ手前から見下ろす編笠山と青年小屋
背後は南アルプス甲斐駒ヶ岳、仙丈岳、鋸岳
青年小屋の裏に広がる岩海と編笠山に登る登山道がくっきり

ギボシから眺める八ヶ岳南部
手前にこれから向かう旭岳
背後に阿弥陀岳(左)と赤岳
その間に横岳の大同心、硫黄岳

権現岳に近い肩(旭岳方面の分岐点)から
すぐ下に権現小屋の屋根
右端にギボシ、左に編笠山、遠くに中央アルプス

権現岳に近い肩(旭岳方面の分岐点)から
権現岳の山頂部
左に小さく富士

源治梯子下から旭岳への稜線道
旭岳の東側はえぐれていて地獄谷に落ちている
西側は立場川ガマタキ沢の源頭部
左奥に阿弥陀岳南稜の青ナギ

旭岳から眺める阿弥陀岳と赤岳
手前はツルネ、キレット方面
左遠くに蓼科山

旭岳から権現岳を眺める


赤岳山頂から権現岳方面を望む
左から前三ツ頭、三ツ頭、権現岳、ギボシ、編笠山、西岳
背後に南アルプス
ギボシの上あたりが甲斐駒ヶ岳
2025年6月30日撮影

(雅熊)

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