谷川岳 紅葉のヒッゴー沢遡行
1985年(昭和60年)10月13日 単独
投稿日 2009年09月15日
谷川本谷 ヒッゴー沢は谷川岳南面の沢で群馬県指定谷川岳危険地区に含まれています。このため群馬県谷川岳遭難防止条例に従って、群馬県谷川岳登山指導センターに登山届けを提出し、許可を受けなければなりません。提出すると数日後登山届出済みの押印がされて戻ってきます。封筒には谷川岳の特質、歴史を説明した赤い紙が同封されていました。タイトルは「山で死んではならない」です。
この赤紙によると、1980年(昭和60年)当時のデータ(昭和6年から54年の48年間の記録)で、
谷川岳の遭難犠牲者数は、全国一位
発生件数 909件
死者 658人
傷者 473人
救出 116人
合計 1,247人
死亡遭難の発生箇所の割合は、
一ノ倉沢 62%
マチガ沢 7%
幽ノ沢 8%
南面 3%
その他 20%
原因は転落、滑落が62%
死亡遭難の原因の割合は、
転落、滑落 62%
雪崩 14%
凍死 6%
落石 3%
その他 15%
悪天(雨、雪、吹雪、ミゾレ等)の遭難は48%
魔の山と言われるゆえんです。
(以上は最新の情報ではありません1980年(昭和60年)当時のデータです。)
たとえ女性的と言われるヒッゴー沢でも、これだけ脅かされるとちょっと身が引き締まります。
このヒッゴー沢で沢の遡行は18回目になりました。この日は自分を入れて3パーティーが入っていました。ヒッゴー沢は10mトヨ状の滝以外はザイルを出すところはありません。この滝も右を注意してへつればザイルは不要です。10月も中旬となれば、上部は紅葉が美しく、ゆっくり快適に楽しめる沢となりました。全体的に明るく、じめじめしたところを高巻くような滝もありません。
二俣から入って、最初の逆くの字の滝は、下部は水流の右を登り、水流をまたいで左に移り、岩を廻って右岸の潅木の踏跡を辿り、しばらく高巻いてナメ状の沢床に降り立ちました。
沢は右に大きく曲がり、ナメの小滝を楽しむと、ところどころ釜を持ってはいるが問題のない滝が続きます。
振り向くと中ゴー尾根が近く、両岸が迫ってきて、やがて3段20mの滝を迎えます。最下部は右岸を巻き、後は問題ありません。滝は次々と現れるが問題はありません。
10mトヨ状は左岸を落ち口の潅木を目指して登ります。次のチムニー状の滝前で枝沢(ガリー状)を分けます。この枝沢は正面に見えるが、本流は右に曲がっています。
チムニー状の滝は手前の岩壁を登り、上部はカンテを登ります。この滝より上はゴーロ状となり、紅葉がひときは美しくなります。
やがて中ゴー尾根の上に川棚の頭が姿を現します。源頭はササや潅木のヤブこぎは無く、草付きをしばらく登ると稜線に出ます。この後中ゴー尾根を下降して二俣に戻りました。
(沢の状況は大きく変化します。最新の情報を入手しての入山をお勧めします。)
晩秋のヒッゴー沢を行く
下流部の滝
10mトヨ状の滝 先行パーティー
ヒッゴー沢源頭部 中ゴー尾根の岩塔が見える
一般道に出て中ゴー尾根を見下ろす 谷川本谷の上越自動車道排気塔が見える
登山届け
(熊五郎)