JR八高線明覚駅から仙元山、小川町

2024年01月10日 晴れ 単独

投稿日 2024年01月12日​

新年明けて早々に大きな地震があり、航空機事故や火災もありました。被害に遭った方々にお見舞い申し上げます。関東平野は年末から年明けにかけて晴天が続き、朝晩は冷えますが、日中は意外と日差しが温かく、家にいるよりは外に出て、動いた方が暖かいようです。

​登山はそんな暖かく風のない日を選べば、落葉した山内は明るく、落ち葉をガサガサ踏みながら歩く低山は意外と快適です。冬枯れの梢に小さな鳥がチッチと飛び渡っていき、藪では少し大きめの鳥がガサゴソ何かを探しています。静かな山の小径を、ちょっと何かを考えながら、または心の中で好きな曲を奏でたりしながら歩けば、多少のアップダウンも苦も無く歩け、たまに広がる景色にうっとりとするのは、この季節の山歩きの楽しいところです。

​今回は埼玉県比企郡小川町の小川町駅前に車を置き、JR八高線で一駅、明覚(みょうかく)駅まで移動。無人のわりには立派な駅舎。駅前から歩き始めました。県道を越えてのどかな集落を歩きます。前に愛宕山を見ながら都幾川を渡り、見事な枝垂れ桜のある民家の横の簡易舗装の小径に入ります。この小径は上の民家で終わりますが、よく見ると民家の手前に藪の中に続く窪状の道があるのに気づきます。入るとすこし藪っぽいですが、難なく愛宕山の鞍部に出ます。鞍部から下り始めてすぐに永久保鉱泉の廃屋があります。やがてJR八高線や車の音が聞こえ、民家の間を左に進めば十王堂です。お地蔵様や如意輪観音、三十講の石仏たちがあたたかな陽を受けていました。

​かわいいお堂の前で一休みし、JR八高線の踏切を渡ってしばらく歩けば玉川温泉です。温泉の前に登山口があり、小倉城址への案内標があります。窪状の径を登り、小倉城址への径と分かれて物見山方面へ。冬枯れの明るい林の道は静かで、小鳥の声以外は聞こえてきません。左右に分岐する道はすべて捨てて、忠実に尾根筋を行きます。このあたりの地質は緑泥片岩ですが、凝灰質の岩も混じっています。そういえば、麓の割谷(わりや)では昔から緑泥片岩が採れ、それを利用した板碑が多く作られたようです。

​道は大日山、青山(割谷)城址を経て仙元山へ続いています。大日山からは笠山と堂平山がよく見えました。青山(割谷)城址は堀切などの遺構がはっきりわかります。仙元山まで来ると眼下に小川町の街並みが広がります。遠くに榛名山や赤城山、その奥に真っ白な谷川岳や北毛の山々が輝いていました。

​最後に見晴らしの丘公園に寄り、展望台で眺めを楽しんだあと、小川町へと下りました。麓の西光寺に寄ってみたところ、ちょうどおばあちゃんが出てきて、手すき和紙を寺に納めてきたというので、見せていただきました。もう90にもなるおばあちゃんですが、77まで手すき和紙を作っていたそうで、収めた紙はそのころのものだそうです。おばあちゃんと別れて、車の待つ小川町駅前まで歩きました。

​天気のよい冬の低山は気持ちの良いものです。埼玉県比企郡の小川町やときがわ町周辺はゆるやかな比企丘陵と、数百メートルの低山が折り重なり、その間を都幾川や槻川が流れ、のどかな山里が点在しています。また槻川がつくる嵐山渓谷も有名です。山城の跡や板碑の緑泥片岩の採掘場なども興味深いものです。冬の一日、このような山里と低山をのんびり歩いてみるのも一興です。

埼玉県比企郡小川町 JR八高線明覚駅から物見山、仙元山を経て小川町
小川町駅前に駐車し、JR八高線で明覚駅に移動
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

​主な通過時刻: (小川町駅前の有料駐車場に車を置き、JR八高線で明覚駅へ)
JR八高線明覚駅 8:43
十王堂 9:17
玉川温泉前 9:39
物見山 10:35
大日山 11:06
青山(割谷)城址 11:31
仙元山 11:53
見晴らしの丘公園 12:56
西光寺 13:32
小川町駅前 14:17

​総歩行距離 11.9km
所要時間 5時間30分

JR八高線
小川町駅から明覚駅まで一駅移動する
八高線は単線非電化
ジーゼルの客車1両または2両連結で運行されている

JR八高線明覚駅
無人駅にしてはりっぱな駅舎

明覚駅から歩き、都幾川を渡ってしばらくで細い道が愛宕山側に入っている
農家のりっぱな枝垂れ桜が目印
この道はすぐ上の民家で終わり
民家の手前に藪の中に入る窪状のみちがある

このように窪状の径が奥へと続いている
しばらく藪がうるさい

十王堂
南向きで暖かい陽を受けてかわいいお堂がある
手前に石灯篭が道路の真ん中に鎮座している
石段の傍らに地蔵尊、如意輪観音、三十講の石仏がある

玉川温泉
昭和レトロの雰囲気が売り物らしい
建物の前に小倉城址への道標があるので、そこから登る

大日山から堂平山(左)と笠山を眺める
下の集落は青山あたり。JR八高線が走っている

青山(割谷)城址の説明看板
素人目でもわかるような堀切があり、往時をしのばせる

仙元山からの眺め
小川町の街並みの向こうに真っ白な谷川岳などが見えている

百庚申
この辺りは緑泥片岩の産地
その緑泥片岩を使った緑色の石碑が多数
数えたところ84基だった

パラグライダーの滑空場?
下の下里の集落がよく見えた
遠くは都心やスカイツリーが見えるようだ

見晴らしの丘公園の展望台から
小川町の街並み

(雅熊)