秩父華厳の滝から重木、藤原経由風早峠、奈良尾峠

2023年11月11日 晴れときどき曇り 2名

投稿日 2023年11月13日​

秩父華厳の滝

山や峠の名前に惚れてそこに登ることはたまにあります。この風早峠(かざはやとうげ)もそのひとつ。なんともいいひびきの峠ではありませんか?

今回は埼玉県秩父郡皆野町の風早峠と奈良尾峠というふたつの峠を訪れました。美爆で有名な秩父華厳の滝(けごんのたき)の駐車場をお借りし、山間の集落、下日野沢重木(しげき)と藤原を経由して、風早峠と奈良尾峠をむすび、奈良尾の集落を抜けて華厳の滝に戻ってくるルートです。

​風早峠は近くにある四等三角点の点名が「風早峠」となっていますが、国土地理院の地図で見る限り近くに「風早」という地名は無いようです。最も近いのは北側の児玉郡神川町の「高牛」でしょうか。しかし高牛峠とはしなかったようですね。奈良尾峠は皆野町側の集落「奈良尾」からきている命名でしょう。いずれも、南側の日野沢から北側の神流川の集落を結ぶ峠だったようです。

​重木と藤原集落には日野沢に走るバス道から細い林道を登れば達することができますが、今回はまず重木に入り、重木と藤原を結ぶ古い道を辿って藤原に出てみました。その古い道の重木にある入り口には藤原を示す道標があるので、なんとか藤原までつながっているとは思ったものの、実際にはほとんど消えかかった道で、斜面のトラバースではズルズル落ちそうになり、ルートどりをするのがやっとでした。藤原に着いてお会いしたお年寄りに話を聞くと、「その道はガキにころに歩いたきりだ」とおっしゃっていました。地元の人でも使わないようです。

​なんとか藤原にたどり着いた我々は「安産堂」で一休み。地図の集落の上で谷筋に入る破線を信じて藪に入りました。獣が踏んだか、人が踏んだかわからないようなかすかな踏み跡。杉葉と落枝を踏みながら急傾斜と格闘しばし。なんとか尾根に乗り、傾斜が緩んで一息つき、鹿除けネットのある尾根筋を辿ってP717に達しました。ここまで来れば今日の勝負は決まったも同然。採石場を遠くに眺め、風早峠手前で営林の作業道をつかまえて少し下り舗装林道に出て少し廻り込めばそこは風早峠でした。峠には林道完成記念の碑がありましたが、どこにも風早峠を示すものがありません。碑に対峙する斜面に壊れた「高牛」を示す道標が落ちていました。

​その道標からわずかな踏み跡を見つけて尾根筋を登り、三角点のある776.7mのピークでお昼。続いて皆野町と神川町の境の稜線を歩いて奈良尾峠へ降り立ちました。この奈良尾峠も林道が合流しているだけ。峠を示すものは何もありません。お地蔵様くらい立っていないかと見渡しました。

さていよいよ下山。峠に合流する林道奈良尾線を歩き、「奈良尾」を示す道標があるところから山路を下降。下で再び林道に出ますが、再び道標に促されて奈良尾の集落へ導かれました。​奈良尾の集落はほとんど平地と言えるようなところはありません。陽当たりの良い斜面に柚子の黄色が鮮やかでした。

朝から少し風が強かったこの日でしたが、奈良尾集落を歩く頃には風はなくなり、ほっとした気分とともに、今日辿った山間の集落を思い出しながら華厳の滝に戻りました。

埼玉県秩父郡皆野町 秩父華厳の滝駐車場から重木、藤原集落を経由し
風早峠、奈良尾峠を巡って、奈良尾集落から華厳の滝に戻る
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

​主な通過時刻:
秩父華厳の滝駐車場 8:05
沢辺(重木集落入り口) 8:20
重木集落 (藤原への道標) 8:48
藤原集落安産堂 9:50
P717 11:01
風早峠 11:21
P778.7 三角点「風早峠」11:45 (昼食)
P832 最高点 12:34
奈良尾峠 12:48
奈良尾集落 13:30
秩父華厳の滝駐車場 13:57

​総歩行距離 10.3km
所要時間 6.0時間

秩父華厳の滝駐車場前
土産物屋の建物の右奥が華厳の滝

沢辺の重木集落入り口にある橋を渡る
重木までは傾斜の急な林道

下日野沢重木集落
秩父自由民権思想発祥の地といわれている

重木の藤原への道標
藤原までの道は消えかかっている
目印無し

藤原への山道
かろうじて踏み跡が分かるくらいのほぼ廃道
目印はない

藤原集落
養蚕をしていたような民家

藤原の安産堂
赤ちゃんの前掛けが多数掛けてあった

P717付近から採石場を見下ろす

風早峠
林道開通記念碑があるが、風早峠を示すものは何もない

四等三角点「風早峠」標高776.69m

御荷鉾山(左 西御荷鉾 右 東御荷鉾)
遠くに浅間山

良尾峠
林道奈良尾線の終点

峠から林道奈良尾線をしばらく歩くと奈良尾集落へ下る道標がある​

奈良尾の集落
道以外はほぼ斜面
南向きののどかな集落

​(雅熊)