八ヶ岳 稲子湯から本沢温泉、東天狗岳
2023年08月21日 晴れのち曇り、雷 単独
投稿日 2023年08月23日
稲子湯に向かう途中の八ヶ岳ビューポイントからの眺め
これから目指す天狗岳、根石岳、夏沢峠などがよく見えている
今回は白砂新道で東天狗岳に登ることを主目的に稲子湯から本沢温泉(ほんざわおんせん)に入りました。本沢温泉から白砂新道で根石岳横の主稜線に出て、そこから東天狗岳を往復。根石岳を越えて箕冠山(みかぶりやま)、夏沢峠と辿り、本沢温泉へ下りました。本沢温泉を起点にした小さな周回ルートです。
本沢温泉へは、今回使った稲子湯上のみどり池入り口駐車場からしらびそ小屋(みどり池)経由で入るルートと、山麓の車道にある駐車スペースから明治七年開通の源吉新道(小海町の松原湖と茅野市の上槻木(かみつきのき)を結ぶ)を歩いて途中の本沢温泉に至る方法があります。今回は後者を下山に使い、車道で稲子湯へ戻りました。ちなみに、源吉新道は小海側から茅野へと夏沢峠を越え八ヶ岳を横断する道で、現在は登山者しか歩きませんが、古くは両域をむすぶ通商路であったようです。
国道141号を走った車を南佐久郡小海町から松原湖へと向け、稲子湯を目指します。途中の小海町美術館の手前に八ヶ岳ビューポイントという小平地があるので車を寄せました。ここからはちょこんと顔を出す赤岳(八ヶ岳の最高峰)から横岳、硫黄岳、天狗岳、ニュウ(岩の積み重なった小突起)などが良く見えます。これから目指す東天狗岳、根石岳、夏沢峠も見えており、登山意欲が高まります。
途中から林道に入って少し走ると、稲子湯(映画「天国の駅」のロケ地)の上に登山用駐車場があります。ここからしらびそ小屋のあるみどり池へと向かいます。小広く歩きよい径は徐々に高度を上げ、右上に稲子岳の岩壁を見て、足元に軌道跡が現れたらしらびそ小屋の屋根が見えてきます。やや暗いみどり池の上に、高く天狗岳の岩壁が照らし出されています。湖面は油を流したように滑らかで、高山鳥の鳴き声が響いていました。四十数年前にここに来たときと同じ静けさを保っていました。
池の左奥へと進むと、稲子岳南壁が見え、少し進むと中山峠と本沢温泉への道を分けます。本沢温泉への道はすぐに木道になり湿地の上を進みます。前日の大雨でいたるところに水流があり、林内にはモヤがたちこめて神秘的です。やや登るようになって小尾根を巻いて向こう側を下ると源吉新道に降り立ち、幅広のよい道となります。テント場があって、水場に滾々と水が出ているのを見て進めば、奥に本沢温泉が落ち着いた雰囲気で建っています。やや温泉臭が漂っていました。
白砂新道は本沢温泉の売店前を通過してトイレの横から登っています。やや荒れた沢を横切り樹林の中を登って行きます。樹高が低くなりダケカンバが混ざると明るくなり、天狗のピークが右前方に見えてきます。露岩と白ザレの斜面を一息で道標の立つ稜線に出ました。この白砂新道下降点から東天狗岳は0.5kmほどの近さです。晴れてはいるのですが、ガスがまくことも多く微妙でしたが、なんとか山頂からの展望は効きました。
白砂新道下降点へ戻って根石岳を越え、時季によってはコマクサの咲くザレの斜面を下り、根石岳山荘に寄りました。水が得られるとのことで、その確認のためです。小屋から箕冠山は10分ほどです。箕冠山を下って夏沢峠に降り立った時には、雷が鳴り始めました。数人の登山客が小屋の前で停滞するようです。女性がひとりぽつんと座って、心配そうでした。硫黄岳にこれから登るのであれば要注意です。私は本沢温泉へ下るので、停滞せずにすぐに下山を始めました。
雷が鳴る中、樹林を急ぎ下降しました。幸い雨は降っていません。水分補給で休んでいると先ほどの女性が降りてきました。聞くと今夜は本沢温泉に泊まるとのこと。硫黄岳に行かないことがわかり安心しました。やや温泉臭のする中、下に露天風呂を見て、さらに進むと本沢温泉です。途中、露天風呂に向かう人とすれちがいました。小屋に着くと雨が降り出し、軒先で雨宿りさせてもらって、遅い昼食をほおばりました。雨はすぐに止んだので、小型のジープなどなら走れそうな幅広で歩きやすい源吉新道をすたすた歩いて、山麓の舗装車道に降り立ちました。源吉新道は唐松や白樺などの美林の中を歩くとてもきれいな道です。
源吉新道の入り口脇の路肩に数台車が停まっていました。舗装車道をてくてく歩いて稲子湯へ向かいました。歩行距離は23kmを越え、そろそろ足も悲鳴を上げる直前。愛車の待つ駐車場に戻りました。稲子湯のすぐ上は水の湧く湿地になっていて木道が渡してあります。その両脇にサワギキョウの紫がきれいでした。
今回は白砂新道を使って東天狗岳に登ることが第一の目的。第二の目的は源吉新道がどのような道か歩いてみることが目的でした。このため距離が23km以上と長くなってしまいました。本沢温泉から、来た道を歩いてしらびそ小屋、稲子湯へと戻ればもう少し楽かもしれません。白砂新道はやや荒れ気味ですが、子気味良く登って稜線に飛び出る感覚は登り甲斐が感じられて最高です。そこには西と東の両天狗岳が間近です。夏沢峠から本沢温泉への道(源吉新道の一部)は下降に適しています。本沢温泉からの源吉新道は緩やかで幅広。美しい樹林帯を進むよい道です。一度松原湖まで歩いてみたいものです。
長野県南佐久郡小海町、南牧村
稲子湯からしらびそ小屋、本沢温泉、白砂新道で東天狗岳
根石岳、箕冠山、夏沢峠、本沢温泉
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:()は起点からの距離、区間距離、標高(すべてGPS測位)
稲子湯みどり池入り口駐車場 5:44 (起点 1575m)
しらびそ小屋(みどり池) 7:29 (3.0km 2037m)
本沢温泉 8:59 (6.2km 3.2km 2099m)
白砂新道上(主稜線) 10:44 (8.1km 1.9km 2545m)
東天狗岳 11:13 (8.6km 0.5km 2638m)
白砂新道上(主稜線) 1138 (9.1km 0.5km 2545m)
根石岳 11:57 (9.3km 0.2km 2597m)
根石岳山荘 12:04 (9.5km 0.2km 2548m)
箕冠山 12:14 (9.7km 0.2km 2577m)
夏沢峠 13:25 (11.0km 1.3km 2429m)
本沢温泉 13:44 (12.7km 1.7km 2097m) (昼食)
ゲート 14:56 (16.1km 3.4km 1857m)
舗装車道 15:38 (18.2km 2.1km 1605m)
稲子湯 16:47 (22.8km 4.6km 1496m)
稲子湯みどり池入り口駐車場 17:04 (23.3km 0.5km 1496m)
総歩行距離 23.3km
所要時間 11時間
稲子湯上にある登山用駐車場
傍にバス停もある
奥のゲートを入り唐沢橋を渡ってしらびそ小屋(みどり池)へと向かう
しらびそ小屋(みどり池)への道
最初は平たんで幅広の径
しらびそ小屋とみどり池
みどり池と天狗岳の岩壁
静かな水面に映る天狗岳の岩壁
最高所の露天風呂で有名な本沢温泉
辺りには温泉臭が漂っている
白砂新道中間部
子気味良く高度を上げてゆく
主稜線上の白砂新道下降点
白砂新道下降点付近から東天狗岳
夏沢峠
ここから本沢温泉へ下る
本沢温泉の露天風呂
本沢温泉の手前(夏沢峠寄り)の登山道から見下ろす
源吉新道
幅広で小型のジープなどなら走れそう
源吉新道は美林(これは唐松)をゆっくり下っている
途中のゲートから少し下にある小平地
4WD車なら来れなくはない
山麓の舗装車道源吉新道の入り口ある石標
源吉新道は小海町松原湖から夏沢峠を越え、茅野市の上槻木を結ぶ通商路だった
源吉新道入り口にある駐車スペース
舗装車道を歩いて稲子湯に戻った
稲子湯
この奥の登山道を入り少し登ると駐車場に戻ることができる
(雅熊)