浦山広河原谷一工場沢から52号鉄塔経由で酉首峠

2022年04月28日 曇り一時晴れ 単独

投稿日 2022年04月30日​

今回は埼玉県秩父市浦山の広河原谷の奥にある一工場沢と新秩父線送電鉄塔52号のある尾根(一工場沢右岸尾根(仮称))を登って都県境の稜線(長沢背稜の一部)に至り、有間山稜を酉首峠まで歩いて、浦山に戻りました。

​以前、広河原谷を詰めて、奥にある蕎麦粒山北尾根(仮称)で蕎麦粒山に登りましたが、そのときから気になっていた新秩父線の送電鉄塔巡視路の入口がどこにあるかの調査も兼ね、ワサビ田跡があって、登路の存在が期待できる一工場沢を遡行してみることにしました。

​参考: 蕎麦粒山北尾根から蕎麦粒山、仙元尾根下降

​今回のルートを歩いて分かった送電鉄塔巡視路入口の位置は別途投稿する予定です。その巡視路のうち、今回は一工場沢の途中(鉄ハシゴ)から枝沢に入って、送電鉄塔52号の巡視路と思われる尾根で都県境の稜線に出てみました。

​自宅を出て浦山の川俣にある大日堂の駐車場に着いたのはちょうど8時でした。身支度をしていると作業風の人2名の車が横付け。「今日はどこまで?」と聞くので、広河原谷の奥の沢を詰めて、蕎麦粒山辺りまでと応えると、「ああ、蕎麦粒山ね!」との返事。どうやら蕎麦粒山は知っていたようです。「気を付けて」との言葉に入山を知っていてくれる人が居ることは頼もしいと感じながら歩き始めました。

​約1時間ほどで広河原逆川林道奥の屈曲点にある小屋の前に着きました。ここは以前登った蕎麦粒山北尾根末端の取付き点です。(三工場沢の落合でもあります) 北尾根には送電鉄塔54号がありますが、北尾根の末端は非常に急なので、巡視路は別にあるはずですが、今回の山行で入口が分かりました。

​それはさておき、さっそく工場沢(一工場沢と二工場沢の合流沢)に入ります。ワサビ田があった沢で、巡視路の一部として使われていた沢ですが、かなり荒れているというのが印象で、踏み跡もところどころ消え、沢床を歩かされるのもたびたびです。いくつかの作業小屋のような掘っ立て小屋があり、要所要所に苔むした丸木橋が架かり、送電線巡視路の杭(黄色のプラスチック製の杭)がところどころに立っていますが、破損も多いようです。ここも台風19号豪雨の影響が多大のようです。

​ただ、沢のところどころにあるワサビ田は遠の昔に捨てられたのか、ワサビを作っている形跡は無く、もはや石組みの段々がむなしくその形跡を物語っているだけです。昔は利用されてたであろう道も今では苔むして、また崩れて、かろうじて登山者か釣り人の通った痕跡があるのみです。鉄橋は見事にねじ曲がって沢床に埋もれています。幸い滝らしい滝は無いため、大岩や倒木を乗り越えながらの沢歩きで、足元さえ注意していれば難しいところはありません。ただし、ここで滑ったら.......というようなところは何か所かあります。

​一工場沢から枝沢に入るところは小さなゴルジュ状で、唯一滝がかかっています。このため枝沢に入る前に、尾根末端に鉄ハシゴで取付き、すぐに枝沢側に降りて、滝の上に出ます。鉄ハシゴの上は岩壁なので尾根に取付いて登っていかないようにします。沢に戻ったら再び沢床を進み、最後のワサビ田跡に至ります。この辺りに52号へ登れそうな斜面がありますが、ここは我慢。更に奥に52号巡視路の入口を示す杭が立っていないか注意深く進みます。

​しばらく進むと、51号を示す杭があり、その近くに52号を示す杭がありました。なかなかの急斜面ですが、見つけたぞという感じでほぼ消えかけた踏み跡を辿ります。やがて52号鉄塔が見えて、鉄塔の基部に出ます。ここで今回初めての展望です。隣の51号と、その反対側に53号鉄塔が見えています。登って来た広河原谷が深々と眼下に広がっています。

​ちょうど正午ですので展望を楽しみながら昼食をいただきました。ここまでくればしめたもの。あとは尾根の続きを登って都県境の稜線に出ました。たまたま稜線の一般道を蕎麦粒山の方から歩いて来た単独の女性が、変なところから男が出てきたのを見てびっくりしたようでした。

​稜線を少し歩けば有間山稜の分岐点です。有間山稜の稜線は馬酔木の点在する美しい痩せ尾根で始まります。ヤシオツツジが岩の上に花を落として、地面をピンク色に染めていました。馬酔木もかわいい花を付けていました。足場パイプの簡易橋を渡ると51号鉄塔です。さっきまで居た52号鉄塔を眺めます。さらに進むと稜線は徐々に広くなり、右に林道を見て仁田山に着きます。その後、有間峠、タタラノ頭、橋小屋ノ頭、ヤシンタイの頭、ししごやの頭、滝入ノ頭を経て、酉首峠に至り、浦山の大日堂に戻りました。

​距離18.9km、10時間のややハードな山行でしたが、充実した一日になりました。大日堂にたどり着いたのは18時半。帰り支度をしていると辺りはあっという間に暗くなり、夜道を帰路に着きました。なお、今回は下山路に有間山稜を使い、酉首峠から大日堂に戻りましたが、有間峠から広河原逆川林道で広河原谷に降りて大日堂に戻ることも考えていました。しかし現地で会った山草を探しに来た男性によると、林道は崩壊箇所があり、車は完全にダメ。との話で、人は通れるか聞いたところ、はっきりしなかったので、今回は使わないことにしました。機会があれば広河原逆川林道の現状調査をしてみたいと思っています。(広河原逆川林道は途中の渓流釣り場の奥でゲートが閉まっています。また、有間峠でもゲートが閉まっていて車の侵入はできません。かの台風19号の影響と思われます。)

埼玉県秩父市浦山川俣の大日堂から広河原逆川林道で一工場沢
一工場沢途中から枝沢に入り送電鉄塔52号のある一工場沢右岸尾根(仮称)で都県境稜線
有間山稜から酉首峠を経て大日堂に戻る
都県境稜線まではバリエーションルート
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
浦山川俣の大日堂 8:01
広河原逆川林道奥(屈曲点)の工場沢入口 9:08
一工場沢枝沢入口(鉄ハシゴ)  10:22
送電鉄塔52号 12:01 (昼食)
都県境稜線の有間山稜入口 12:54 
送電鉄塔51号 13:12
仁田山 P712 13:45
有間峠 14:05
タタラノ頭 14:55
橋小屋ノ頭 15:32
滝入ノ頭 16:20
酉首峠 17:03
浦山川俣の大日堂 18:38

​所要時間:10時間37分
総歩行距離:18.9km​
 

広河原逆川林道奥の屈曲点にある工場沢の入り口
木のハシゴがあり、送電鉄塔の巡視路案内杭が立っている

ワサビ田の作業道だろうか
ところどころに踏み跡があり、朽ちかけた丸木橋がかかっている
ほぼ沢沿いに進む(高巻は奥の鉄ハシゴまで無い)

右上にワサビ田の注意看板がある
の先に鉄橋がかかっていたようだが落ちている
このため沢床の大岩を越えて進む

ワサビ田の作業道にあった鉄の構造物が落ちている
(看板まで登ってみて下を覗く)

一工場沢の枝沢(左奥)分岐
枝沢の入り口は小さなゴルジュ状で奥に滝がある
まず正面尾根の鉄ハシゴを登り尾根に取り付いてすぐに左側に廻って滝上に降り立つ

​枝沢に入ると最後のワサビ田跡がある

ワサビ田跡の先に立つ、送電鉄塔巡視路の案内杭
位置から推定して51号鉄塔へは左。52号鉄塔は先へ。53号鉄塔は戻ると読める
ここから52号鉄塔を目指して尾根に取り付く
鉄塔まで急登

52号鉄塔
広河原谷を見下ろす
51号鉄塔への木階段がある

​52号鉄塔からさらに尾根を詰めて都県境の稜線に出て、
左に数分で有間山稜の分岐がある
奥の小さな道標が有間山方向を示している

51号鉄塔から52号鉄塔、その背後に53, 54, 55, 56号鉄塔を望む

仁田山の手前から52号鉄塔を望む
中央のピークは蕎麦粒山

有間峠手前から望むタタラノ頭
芽生えたばかりの新緑が美しい

滝入ノ頭手前から望む
送電線新秩父線の全景(送電鉄塔51号から56号)
蕎麦粒山、三ツドッケ、仙元尾根が見える

酉首峠
右は飯能市の名郷、左は秩父市の浦山
石祠にここまで無事の感謝と、無事下山を祈った
暗くならないうちに冠岩の廃屋は通過したい

​(雅熊)

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