浦山川俣から大平山、天目山林道で戻る

2021年05月10日 晴れ 単独

投稿日 2021年05月12日​

場所と植生にもよりますが、秩父では今標高1300mあたりが新緑の最前線のようです。今回はその1300mくらいの山、秩父浦山の大平山(おおひらやま)に登りました。この山は登山用一般道は無いのですが、地形を見る限りでは尾根筋が穏やかなこと、下部に送電線があり(その巡視路があるはず)、山村間を結ぶ古い峠があること、季節によってはフクジュソウの群落を求めて登る人があるだろうこと、などなど。山自体は地味なのですが、登路に心配なく登りやすいだろうと予想しました。今回は、麓に細久保集落がある峰ノ尾根を利用して登りました。

​ところで大平山は、以前から狙っていた山の一つだったのですが、その理由は上部、東京都との県界の手前、山深い位置まで延びている天目山林道(てんもくさんりんどう)の存在です。なんとか天目山林道が歩けないものかと狙っていた訳です。

不思議な林道「天目山林道」

天目山林道は埼玉県秩父市の浦山奥部の国有林につけられた林道です。詳しく調べた訳ではなく、素人の見方ですが、

​〇秩父浦山から延々20km以上?の長大な林道ながら、行き止まりである。
〇途中熊取林業道、仙元林道、大平山東斜面の林道、シャクナン尾根切通から延びる林道を分けるが、いずれも行き止まり。
〇シゴー平から先に民家や山村は無いので生活道ではない。
〇すぐそこが東京都との県界なのに東京都側に越えない。トンネルも無い。
〇ほぼ全線未舗装(一部舗装)だが、よく管理されており、砂利道でも車の通行に支障はない。
〇林道上部はほとんど自然林であるため、木材搬出等には役立っていないと思われる。
〇大クビレから浦山までほぼ同じ斜度(上部半分は少し傾斜が緩い)で延々延びている。

​このような点がなんとも魅力の林道です。今回は大平山に登った後、大クビレ(天目山林道最高点と思われる)まで下りて、そこを起点に約16.6kmの道のりを4時間かけて浦山まで下ってみました。心配は以前の台風19号による崩壊ですが、現在、大クビレから川俣までは通行に問題はないようです。

​車を川俣の大日堂の前にある駐車場をお借りして出発。少し戻って橋で浦山川を渡り、対岸にある向かい合った民家の右脇にある小道に入ります。この小道は細久保集落に至ると思われますが、途中送電線巡視路に入って地蔵峠を目指します。ほどなく地蔵峠に至ります。峠にはお地蔵様、二十三夜塔、山の神と思われる石祠が鎮座します。右に下れば毛附(けつけ)に下ると思われます。そのまま尾根伝いに登るとやがて巨大な送電鉄塔の基部を通過します。ここまでが巡視路ですが、さらに奥に明確な踏跡が続いています。

​峰ノ尾根下部は、新緑も大きく葉を広げ、なにやら甘い香りがただようこの時季特有の雰囲気の中の山歩きとなりました。もくもくと登り続けて右に小尾根(下降止めのロープあり)を分け、さらに登ると大ドッケに至ります。なんの変哲もない小ピークです。一休みして独標へ。独標も展望の利かない小ピーク。なぜここが独標でしょうか?さらに登ると植林後の鹿除けでしょうか。ネットが張ってあって少し展望が開けます。三ツドッケの特徴のあるピークが見えます。

P1469を過ぎると尾根は広くなり、新緑の最前線あたり。淡い緑の山肌です。植生は雑木からブナの美林となり、白樺が混ざり、さらにはカラマツ林となって大平山山頂に至ります。山頂の手前の広いところは道を見失いぎみです。気が付くと苔むした林道に乗っていました。しばらく辿ってみましたが、山頂に至らず大クビレに出てしまいそうなので途中で進路を尾根筋にとり直しました。山頂は三角点のある小平地です。まだ葉を出していない樹間から展望があります。

​昼食をとって大クビレに下ります。15分ほどです。心配は天目山林道が崩壊箇所などがなく歩き通せるかですが、大クビレに立つと重機のキャタピラの跡がありました。数日前のものでしょう。これで行ける!と判断。天目山林道を歩き始めました。

​浦山まで16.6km。長い道のりです。0.5km毎にキロポストが立っています。大クビレは天目山林道の最高点と思われ、浦山まではひたすら下りです。すぐそこ、手の届きそうなところに東京都との県界「長沢背稜」が連なっていますが、この林道は東京都側には越えていません。広くよく整備された砂利の林道です。傾斜もゆるく快適です。徐々に三ツドッケ(天目山)が近づきます。三ツドッケを持つシャクナン尾根の切通しを抜けて東側に出ます。仙元尾根が初めてお目見えです。熊取沢出会い、大岩の切通し、グミの滝入り口(一杯水、三ツドッケ方面)、細久保沢左沢の出会い、仙元林道入口、シゴー平営林署小屋と続きます。小屋のすぐ下で一般車進入禁止の車止めがあります。なおも林道を淡々と歩いて民家が見えたら浦山はすぐそこです。

16.6kmの天目山林道に4時間かかりました。ひたすら歩いて足の関節が痛み出しました。この林道はよく整備されており、この日も重機が要所要所修復しながら移動していました。トンネルは無く大きな切通しが二か所あります。上部の傾斜はゆるく下山も快適ですが、熊取沢から下は普通の林道くらいの斜度?になり少し足にきます。前線4駆の軽トラやSUVなら走行できそうなくらいきれいで広い林道ですが、シゴー平手前で一般車は進入できません。

浦山川俣大日堂前駐車場から地蔵峠、峰ノ尾根で大平山
天目山林道利用で川俣に戻る
​​数字は天目山林道の各地点の標高
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

主な通過時刻:
大日堂前の駐車場 7:47
細久保集落入り口 7:52
送電鉄塔巡視路入り口 7:56
地蔵峠 8:15
送電鉄塔 8:37
大ドッケ 10:07
独標 10:20
P1469 11:57
大平山山頂 11:30 (昼食) 11:43
大クビレ(天目山林道 16kmポスト) 11:54
シャクナン尾根切通 13:22
グミの滝入口 14:56
細久保谷(左沢) 15:09
仙元林道入口 15:13
シゴー平営林署小屋 15:14
一般車車止めゲート 15:22
大日堂前の駐車場 16:20

​所要時間:8.5時間
総歩行距離:22.8km (川俣 - 大クビレ 6.2km、天目山林道 16.6km)

天目山林道の斜度
大クビレから川俣(右端)までの標高差 約1100m 距離 16km
上部大クビレから熊取沢までは若干斜度がゆるい

浦山川俣の大日堂前Pより徒歩数分
浦山川を対岸に渡って民家を過ぎてすぐの右奥への小道に入る

道は細久保集落に至ると思われるが
手前の送電鉄塔巡視路に入る

地蔵峠
右から登ってきた
左へ下ると毛附方面に下れると思われる
お地蔵様、二十三夜塔、石祠がある

送電鉄塔を過ぎてなおも新緑の尾根筋を登る
大ドッケ
下から見ると大きく見えるのだろうか。小さなピークだが大ドッケ

峰ノ尾根はふみ後がしっかりしている
一般登山道と言ってもいいくらい
新緑が美しい

大平山山頂
三等三角点 点名 大平 1603.01m

大クビレ
天目山林道の最高点と思われる
天目山林道はさらに数km奥があるが、
今回はここから川俣16km下る

天目山林道途中から眺める大平山(右)と七跳山(左)
鞍部が大クビレ

シャクナン尾根を切通しで東側に廻る

途中にあるグミの滝入り口
​一杯水、三ツドッケに至るとなっている

仙元林道入口
どこまで続いているか一度探ってみたい

シゴー平の営林署小屋

営林署小屋の少し下の橋のところで一般車通行止めになっている
手前に数台止められる

浦山川俣に戻ってきた
左の傾斜のある道は入山時の道
中央のしゃれた建物は渓流荘
天目山林道は大クビレからここまで約16.6km

​(雅熊)

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