般若の丘から法性寺、大日峠越え
2021年04月08日 晴れ 2名
投稿日 2021年04月13日
今回は新緑が始まった4月の好日を選んで埼玉県秩父郡小鹿野町(おがのまち)にある法性寺(ほうしょうじ)を訪れた。訪れたと言うと寺参り趣味かと思われるかも知れないが、そこは山屋のこと。しっかり山道からの参拝である。その法性寺は秩父札所32番。山号は般若山。曹洞宗の寺で本尊は聖観世音菩薩である。奥の院は舟形をした巨岩に祭られた観音菩薩と大日如来で、この奥の院へのお参りは岩登りの域(というと大げさか)である。
小鹿野町は、今の小鹿野町になるまでは多くの村が存在していた(Wikipedia 小鹿野町より)。小鹿野町の名を受け継いでいるのは、その多くの村の中の上小鹿野村であるが、次のように多くの村が存在していた。
上小鹿野村 ---> 小鹿野町
+ 下小鹿野村 ---> 小鹿野町
+ 伊豆沢村 ---> 小鹿野町
長留村 + 般若村 --> 長若村
三山村 + 飯田村 + 河原沢村---> 三田川村
藤倉村 + 日尾村 ---> 藤尾村
薄村 + 小森村 ---> 両神村
明治2年に小鹿野村が上小鹿野町になっていたが、明治22年に施行された群区町村編制法によって、下小鹿野村と伊豆沢村が小鹿野町に編入し、長留村と般若村は長若村(ながわかむら)に、三山村と飯田村と河原沢村が三田川村に、藤倉村と日尾村が倉尾村に、薄村(すすきむら)と小森村が両神村(りょうかみむら)にそれぞれ統合されている。現在はこれらの村がすべて小鹿野町に編入されている。
このように町村の歴史を見ると面白いものがある。長留と般若で長若(ながわか)、三山、飯田、河原沢から三田川。藤倉と日尾で倉尾と、それぞれ一字をとっている。薄と小森は両神山にちなんで両神村とシンボリックな命名だが、どこかが南アルプス市と名付けたのと似ている。こういう変遷を経ているが、長留や般若、薄、小森など昔の村名は地域名や川の名前などに残されている。
今回は小鹿野町般若の般若の丘公園の駐車場をお借りし、標高300から370mくらいのハイキング道を利用して法性寺に至り、奥の院のお舟観音と大日如来に詣でた。そのまま尾根筋をP478まで登り、一旦柿ノ久保に降りて札所巡礼道で大日峠を越えて小鹿野町に戻った。歩行距離は7.7kmほどであったが、般若の丘公園に戻る距離は入っていない。
般若の丘公園から法性寺までは道標の整備されたハイキング道で快適である。若葉を出したばかりの木々でうす緑色の背後に武甲山が誇らしげに立っているのが見えるし、熊倉や和名倉山なども高い。道は家族でも歩けるよう整備されている。ただ、釜の沢五峰のところもそうであったが、この辺りの木の伐採は乱暴だなと思わされるものが多いのが残念だ。小鹿野町に聞いてみたいところだ。
法性寺の奥の院参りは岩登り的なところがあるので、高所恐怖症の人には勧めないが、岩に刻まれたステップとクサリで難なく登れる。展望のよい大日如来の岩場を後にしてP478に向かう。きわどい尾根筋を注意して進むと、送電鉄塔の手前で柿ノ久保への道が下りている。それは国土地理院の破線とは違うようだ。峠状で反対側は釜ノ沢に下る。送電鉄塔の下を通過して笹の急登でP478に至る。展望のよいピークだがさらに高所が目の前にある。今回はこれ以上進まずに峠状に戻り柿ノ久保に向けて下った。滑りそうな消えかけた踏み跡を辿り、危うい木橋を渡る。尾根をへつるように付けられた踏み跡を下ってゆく。踏み跡は最後まで尾根に乗ることは無かった。
柿ノ久保は般若沢の法性寺のやや上流に位置する。顔を切り取られた古い地蔵の傍らにある道標に従って大日峠に向かう。札所31番観音院と法性寺をむすぶ巡礼道のようだ。よく踏まれている。大日峠の石仏を見て大正時代の石標が示す小鹿野町へ向かう。巡礼道だからだろうか、様々な色ののぼり旗が道しるべ代わりか。いたるところに立ててあった。
たどり着いたところは国道299号。少し西側へ、鹿野町営バスの小鹿野警察署前BSまで歩く。10分後にバスが来たのでラッキーと思いながら乗ったら、般若のほうへは行かないバスとわかり慌てて下車。徒歩で駐車場に戻る羽目に。赤平川にかかる橋まで大きく迂回させられ3.8kmも歩いて般若の丘公園に帰着。山道はいくらでも歩くが、平地は苦手。疲れました。お風呂は梁山泊にした。
般若の丘公園から法性寺、P478経由で柿ノ久保、大日峠越えで小鹿野
赤実線:GPS歩行軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)
主な通過時刻:
般若の丘公園 8:24
法性寺 9:48
お舟観音 10:34
大日如来 10:50
P478 11:12
柿ノ久保 12:07
大日峠 12:31
小鹿野警察前BS 13:27
所要時間:5時間
総歩行距離:7.7km
般若の丘公園
トイレがある広い駐車場
左の櫓の階段を登る
法性寺へのハイキング道から眺める武甲山
新緑が美しい
小洞峠(ことうとうげ)近くの林道の切通し
ここから舗装車道を歩く
小洞峠はここから小ピークを越えたところらしい
法性寺の山門
阿吽の仁王と般若の面
登山目的で境内を通過するときは300円
法性寺奥の院のお舟観音像
大きな岩の末端にある
左側危険
この岩の上に大日如来が鎮座する
岩に刻まれたステップとクサリ、手すりがあって危険はない
P478 四等三角点のピークから見る
両神山(左)と右の小さなピーク 二子山
柿ノ久保へ下る
踏み跡は薄い
この道は国土地理院の地図には描かれていない
尾根に乗らずトラバースぎみに柿ノ久保まで下る
顔の無い古い地蔵の傍らに大日峠を示す道標がある(右の小道)
大日峠
石仏が二体ある
この峠は昔から現役である
歩いて秩父札所を巡礼する場合は、31番札所観音院からこの峠を越えて
2番札所法性寺に向かうのであろう
(雅熊)