出牛峠から不動山、榎峠

2019年2月12日 晴れ 単独

投稿日 2019年02月14日

今回は埼玉県秩父郡長瀞町の野上にある萬福寺から不動山と雨乞山の連なる稜線を歩いてみました。

今回歩いた稜線には出牛峠(じゅうしとうげ)、ぐみの木峠、糠掃峠(ぬかばきとうげ)、不動峠、間瀬峠(まぜとうげ)、榎峠(えのきとうげ)と多くの峠があり、秩父の外周の一部であるこの稜線からお隣の本庄市とを結んでいます(いました)。

とくに出牛峠は秩父の産物を本庄市児玉から中山道のある高崎方面に運び出すための重要な峠だったようです。(大久根 茂著の「秩父の峠」が詳しい。関連記事:秩父の峠 大久根 茂著) 今では荒川沿いの国道140号が開通して物流は変わってしまいました。

また、ルート中にある苔不動尊、石尊様がアクセントとなっていますし、展望の効くところも数カ所あるので、楽しみながらのんびり歩けるルートです。稜線上は舗装林道と山道のコンビネーションとなります。途中、四等三角点の宮野入と、三等三角点の不動(不動山)があります。迷うことはないと思いますが、道標は朽ちかけたものが多いので注意が必要です。

この山域の岩質は変成岩です。群馬県の三波川変成帯がこの辺りを通過しているようです。とくに苔不動尊が祭られている、不動山の長瀞側斜面は見事な緑泥片岩が露出しています。

野上萬福寺から出牛峠、不動山、雨乞山、榎峠周回
野上下郷石塔婆に寄り、秩父鉄道樋口駅から野上駅へ移動、萬福寺に戻る
赤実線:GPS軌跡
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

通過時刻:
萬福寺 9:20
出牛峠 10:13
ぐみの木峠 10:32
四等三角点 宮野入 10:52
糠掃峠 10:57
苔不動入口 11:23
苔不動 11:27
不動峠 11:37
石尊様 11:40 (昼食) 11:53
不動山 11:56
間瀬峠 12:20
雨乞山 12:45
榎峠 13:25
野上下郷石塔婆 14:04
樋口駅 15:07 15:30発
野上駅 15:34着
萬福寺 15:50

所要時間: 6時間30分
総歩行距離:約14km(電車による移動を除く)

県道13号前橋長瀞線
この道路は唐沢から出牛方面に抜けている

萬福寺に車を置かせていただき出発です。県道13号前橋長瀞線に出て出牛峠方面へ歩きます。この県道はダンプが多いので要注意です。ラブホテルの前を通過して小さな橋を渡ると細い舗装道が右に別れます。その分岐に大正十一年の道しるべがあります。「右峠ヲ経テ出牛二至ル 左唐澤ヲ経テ出牛ニ至ル」とあるようです。出牛は皆野町金沢の集落ですが、秩父新道がここを通っていたときはずいぶん栄えたそうです。今回は出牛には行かず県道からわかれて右へ入り出牛峠に向います。

県道13号と出牛峠方面への分岐にある道しるべ
大正十一年 「右峠ヲ経テ出牛二至ル 左唐澤ヲ経テ出牛ニ至ル」

舗装道路は右へ上がっていくが、犬塚沢に沿って左奥に入る砂利道へ
この砂利道が広いのは奥の長瀞高原ヒュッテの門柱まで
そこから出牛峠までは山道となる

すぐに、ゲートがあって上にあるゴルフ場へと道は上がっていきますが、広い砂利道が左奥へ入っていますので、その道に進みます。うす暗い山道ですが、進んでいくと長瀞高原ヒュッテと書かれた門柱のようなものがあり、そこから道は山道となって左へ曲がります。傾斜がすこし出てきますが、溝状の道がはっきり付いています。

出牛峠(じゅうしとうげ)
右が長瀞町野上側 左が皆野町出牛側
林道が横切るので峠らしさはない

前方が明るくなると舗装道路に飛び出ます。出牛峠です。反対側に明瞭な道があるので、おそらく出牛まで降りられるのでしょう。地図の峠の位置とずれていますので、その点まで歩いてみましたが、何もありませんでした。

ぐみの木峠
本庄市の看板から右上へと尾根に取りつく

林道を少し歩くと左奥に山道が入っています。尾根に乗りたかったので入ってみましたが、どんどん左へ進むので戻りました。林道に戻って進むと本庄市の看板があるぐみの木峠です。ここも峠らしさはありません。右上のピークへの取り付きに踏み跡があります。尾根に取り付いて藪の中をピークに登ります。

四等三角点 宮野入 標高431.15m

ピークを過ぎてなだらかに下っていくと四等三角点の宮野入があります。なんでこんなところにって感じです。夏は草に隠れそうです。しっかりした保護石も健在で新しい感じです。ゆるやかな尾根はすぐに林道に降り立ちます。

糠掃峠(ぬかばきとうげ)
この峠も林道が通過している
写真のように長瀞町側に明瞭な道が降りている

林道から長瀞町野上を眺める
中央に長瀞射撃場が見える

降り立ったところは糠掃峠です。丸太のベンチがしつらえられてあり、長瀞町側に明瞭な道が降りています。舗装林道は稜線上に続いています。下に長瀞総合射撃場が見えると南側が開けます。野上町に国道140号が走っています。関東平野、対岸の大平山、美の山、武甲山、奥秩父の山々が望めます。

苔不動尊入口
ここから急な斜面を5分ほど下る

苔不動尊
美しい緑泥片岩の絶壁の下に小さな不動明王が鎮座する
苔は無い。緑泥片岩の緑色を表現したものだろうか

更に歩くと苔不動尊入口の看板があります。急斜面を注意しながら5分ほど下ると緑泥片岩の崖下に苔不動が祭られています。剣の形をした塔婆?が幾重にも重ねてありました。信仰は続いているようです。下からの苔不動までの道は荒れていると聞きます。

不動峠
ここから尾根に取りついて不動山に向かう
途中の南斜面に石尊様がある

道は不動山に向けて山道になります。お参りして不動山と書かれた道標に従い南斜面に向かいます。ほどなく石尊様が見えてきます。暖かい南西斜面です。展望説明板に山名が書かれています。宝登山で見た看板と同じ作者のようです。暖かくのんびりした雰囲気の中で昼食としました。

石尊様
南斜面で暖かく、眺めもよい

石尊様の裏側から不動山に登ります。不動山には三等三角点 不動があり、標高は549.19mです。長瀞町の最高点とのこと。しかし植林で囲まれ展望は効きません。展望は石尊様で十分味わっておきましょう。

不動山山頂
三等三角点 不動 標高549.19m

不動山山頂からなだらかに下っていくと舗装林道に降り立ちます。間瀬峠です。すこし長瀞側に進むと小平地に庚申塔と馬頭尊の石碑が並んでいます。ここには昔茶屋があったようです。

間瀬峠の雨乞山への登り口

もどって、陣見山方面に向かう林道に少し入ったところに斜面を登る入り口に小さな道標があります。このルートで一番疲れる斜面です。前方に岩が散乱しているのを見ると細い林道に出ます。

雨乞山のハンググライダー滑空場からの眺め
荒川、国道140号が狭い谷間を関東に抜けている

4WDなら通れそうな広いでこぼこ道を進むと目の前が明るくなりハンググライダーの滑空場に出て視界が開けます。よく整備された芝生の滑空場です。眼下に長瀞町の樋口辺りの町並みがよく見えています。ここは雨乞山です。

榎峠
石祠と馬頭観音碑がある
左奥へ下る道に入ると樋口に降りられる

芝生の上で少し日向ぼっこして砂利の道を下ります。巨大な送電鉄塔の下を通過してしばらくで舗装林道に降り立ちます。榎峠です。榎が記念植樹されています。傍らに落ちそうな石祠があり、その横に馬頭観音があります。馬頭観音の前の暗い道に入ります。

野上下郷石塔婆
5mもある緑泥片岩の石塔婆
この近くにある仲山城址の城主の供養塔
応安二年(1369年 南北朝の北朝元号) 城主の夫人が建立

舗装道路に三度ほど出ますが対岸の道をさらにくだります。荒川に向けてまっすぐに向かっている車道を下ります。目の前に秩父鉄道の線路と国道140号が見えたら、その手前に野上下郷石塔婆があります。ここから140号で樋口駅に向い一駅乗って野上へ。野上駅から萬福寺まで戻りました。

(熊五郎)

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