武州日野から品刕、釜ノ沢五峰、法性寺              

2019年1月26日 晴れのち曇り 2名

投稿日 2019年01月18日

秩父鉄道の武州日野駅から柴原鉱泉(しばはらこうせん)を経て、法性寺(ほうしょうじ)、小鹿野(おがの)へと、熊谷のYさんと歩いてみました。

このルートは林道と一般の山道を繋いで歩ける(ルート図の緑線)のですが、今回は二等三角点を持つ「品刕」(しなしゅう と読むらしい)と、釜ノ沢五峰を加えてみました。

柴原鉱泉は25年ほど前に宿泊した思い出の宿ですが、今回は通過しただけです。法性寺もその時に寄りましたが、今回久しぶりの再訪となりました。この寺は秩父三十二番札所で、船形をした岩頭上に観音様(お船観音)が立っておられます。

品刕は誰も読めないと思います。刕がしゅうと読めるのかどうか?です。ここに設置されている二等三角点の点名は「品藾」です。これも読めません。地図上周囲にこのような地名も無いことから、点名決定の理由を知りたいものです。なお品刕は市販地図上で「白井指」ともなっています。一般道は無いため、訪れる人の少ない静かなピークです。

釜ノ沢五峰は釜ノ沢の集落から伸びる尾根ですが、五つの岩峰が連続している興味深い尾根です。我々は品刕から下り方向で通過しましたので、五ノ峰から一ノ峰に向けて下り、釜ノ沢の長若山荘前に降り立ちました。クサリ場もあるなかなか面白い尾根です。

また、ルート中、金精神社のある文殊峠で林道を跨ぎますが、ここに長若天体観測所があります。麓の長若山荘の方が設置された私設の観測所のようです。ドーム状の観測施設です。この辺りは人里から離れているのでさぞ美しい星が見られると想像します。

地質面でも面白く、柴原鉱泉を通過してしばらく歩いた林道の左斜面にある大きな一枚岩は見物です。コンクリートを吹き付けたように見えますが自然の岩壁で、45度くらいの傾斜で一枚岩が広がっています。この辺りの山域は礫を含んだ粗めの砂岩で構成されているようで、その礫は完全に角がとれた丸いものです。おびただしいチョコボールのような丸い礫が転がっている場所もあることから、海岸で洗われた礫と思われます。つまりここは海の底または海岸だったと思われます。昔、秩父は秩父湾と言われる内湾だったとも言われますが、そのころのものかもしれません。ルート中、ところどころにこの礫岩が顔を出しているので要注意です。

秩父鉄道武州日野駅から柴原鉱泉、品刕、釜ノ沢五峰、法性寺
赤実線:歩行GPS軌跡
仏岩の鞍部から文殊峠までは一般ルートではありません
緑線ルートで歩くとハイキング・レベル
(国土地理院電子国土地図に情報追加)

通過時刻:
秩父十三番札所慈眼寺前の24H駐車場 8:05
秩父鉄道おはなばたけ駅発 8:25
秩父鉄道武州日野駅着 8:37
赤鳥居 8:56
小野原稲荷神社 9:09 
柴原鉱泉 9:29
林道脇の岩壁 9:43
仏岩の鞍部(基準点A) 9:55
品刕手前のピーク(P644 (基準点B)) 10:52
品刕(P639 二等三角点あり) 11:09
基準点のあるピーク(基準点C) 11:32
長若天体観測所 11:50
文殊峠(金精神社) 11:53
モミの大木 12:03
石祠のある鞍部 12:07
基準点のあるピーク(基準点C) 12:12 (昼食) 12:31
電線の無い送電鉄塔 12:37
布沢峠 12:42
五ノ峰 12:46
四ノ峰 12:54
三ノ峰 13:00
二ノ峰 13:09
一ノ峰 13:16
釜ノ沢(長若山荘) 13:37
法性寺 13:54 - 14:10
梁山泊(お風呂) 14:50 - 15:44
中津谷木バス停(小鹿野町営バス)発 16:03
西武秩父駅着 16:34
秩父十三番札所慈眼寺前の24H駐車場 16:40

所要時間 電車バス含む 8時間35分 歩行のみ 6時間14分
総歩行距離:14.1km

車を秩父に運び、秩父十三番札所慈眼寺(じげんじ)の前にある24H駐車場に停めました。この駐車場は広いので空いている可能性が高いとみました。24h平日500円、土日700円です。秩父鉄道おはなばたけ駅と西武秩父駅まで徒歩5分くらいですから便利です。西武秩父駅の中に祭りの湯という銭湯があるし、お腹がすけばおはなばたけ駅の正面に立ち食い蕎麦屋もあります。ここに車を置いて、一日遊び歩くには便利です。

秩父鉄道武州日野駅で下車
のんびりとした佇まいだが、空気は冷たい

おはなばたけ駅から電車で武州日野駅に移動し歩き始めます。国道140号を三つ峰方面に向け歩き、大きな赤い鳥居が見えたら分岐を曲がってくぐります。この道は県道43号です。しばらく歩くと道の屈曲部に小野原稲荷神社があります。登山の安全を祈って手を合わせます。

小野原稲荷神社
細工のある鳥居が美しい

引き続き植林の下の舗装道を歩くと前方が明るくなって小平地が現れ民家が数軒見えます。柴原です。左に柴原鉱泉の宿があります。25年ほど前に泊まった宿です。懐かしい思いを抱きながら、県道43号から分かれて林道に入ります。

柴原(柴原鉱泉)
前方が県道43号のつづき
ここから左の林道に入る

一枚岩の岩壁が林道わきにある
振り向いて写す

林道の左脇に岩の斜面が現れます。大きな広い一枚岩です。更に進むと林道は左へ入って行きますが、まっすく植林の下の踏み跡を拾います。傾斜が強くなると仏岩の鞍部(仮称)に出ます。25年前はこの鞍部を越えて反対側の林道に降りましたが、今回は左上にとって品刕に向かいます。この鞍部は粗っぽく伐採されていて、新しい基準点が設置されたようです。伐採された木が転がっていて反対側に降りる道がどこか分かりません。雑な伐採でとてもプロの仕事とは思えません。この後ピーク毎にこのような伐採が点在しています。

仏岩の鞍部(仮称)
雑な伐採をして新しい基準点が置かれている
昔は緑線のように越えたが、伐採された木で覆われている

左で進むとすぐに露岩が現れますが右側を注意して進みます。この辺りの露岩はキメの粗い砂岩で、風化で角が取れてのっぺりしているので、足掛かりがありません。露岩上を進む場合は要注意です。大小の丸い礫を含んだ礫岩も多く現れます。ただし通過が難しい場所はありませんでした。

P644の基準点
ここも広く伐採されて新しい基準点が設置されている

品刕山頂
二等三角点 品藾 標高638.98m
埼玉百名山の一つらしい
この三角点標石は明治22年設置との情報もある

P644も広く伐採されて新しい基準点が設置されています。伐採で少し展望が効くようになっています。P644で右に曲がり少し下って再び登ると品刕です。二等三角点があります。静かな山頂ですが、眺めはありません。

基準点Cのあるピークからの眺め
両神山が近い
右の二本の角は二子山

基準点Dのあるピークからの眺め
左端に武甲山、右端に両神山

品刕からいくつかのピークを越えて行きます。各ピークは伐採されて基準点が設置されています。左下から林道の道形が上がってきたりします。岩頭で行き止まりになるので左下に進んで登り返すと白いドームが見えてきます。長若天体観測所です。釜ノ沢の長若山荘の方が設置されたようです。観測所のすぐ下の林道が文殊峠です。金精神社があります。神社の前を通過して布沢峠に向かいます。ここからは一般道ですので、ところどころに道標があります。

長若天体観測所
私設の観測所のようです
ここから星空を見たらさぞ美しいでしょう

文殊峠の金精神社
神社にお参りし奥の釜ノ沢五峰に向かう

モミの大木(これは見事です)を見て、伐採されたピークの基準点、送電鉄塔、布沢峠を通過してさらに進むと五ノ峰です。この後四、三、二、一と岩峰を通過して釜ノ沢に降り立ちます。三ノ峰と二ノ峰の手前には鎖がかかってます。

モミの大木
森の主のような強烈な存在感

武甲山を望む

釜ノ沢五峰の三ノ峰
五ノ峰から一ノ峰までこのような小さな標石がある

釜ノ沢から宝生寺まで山道を使う予定でしたがYさんの足が痛み出したとのことで、林道を歩くことにしました。法性寺は秩父札所三十二番で通称お船観音。曹洞宗の古刹です。御朱印をいただいて、林道を小鹿野に向かいます。

釜ノ沢五峰の登山口に降りてきた
ここには林道が来ていて長若山荘がある

秩父三十二番札所 法性寺
鐘楼兼仁王門の山門

空には黒い雲が広がって白いものが落ちてきました。遠くの武甲山が白い靄に覆われ、奥秩父の高い山もなにやら怪しい姿に変わってきました。辿りついたのは梁山泊(りょうざんぱく)。冷え切った体を温めました。近くのバス停で小鹿野町営バス西武秩父駅行きを拾って駐車場に戻りました。

梁山荘
お風呂でさっぱり
近くに小鹿野町営バスのバス停があるので、西武秩父に戻るのに便利

今回は思い出の柴原鉱泉と法性寺を訪ねるついでに、埼玉100名山に数えられている秘峰? 品刕に寄り、釜ノ沢五峰の岩峰も楽しみました。秩父はチャートや石灰岩の山が多い中で、この一帯は礫岩。適度な露岩もあって楽しめました。また、いつもは見られない角度からの武甲山、奥秩父の山々、両神山、二子山などを眺めることもできました。

(熊五郎)

コメント(2)

  • 品刕これ絶対読めません。見たことのない感じです。地名や苗字って本当に面白い。我が武州の出じゃじゃないけれど、この苗字です。(agewisdom) 2019/1/28(月) 午後 4:22
  • > agewisdomさん 神道関係の方にでも聞かないと分からないですかね。難しいです。(熊五郎) 2019/1/28(月) 午後 4:40

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